食べた栄養素は体の中でどうなるの?カルシウム編

栄養素についてゆる~くお伝えするシリーズ、今回のテーマはカルシウム。
骨のイメージが強いけれど、実はそれ以外にも重要な役割があるのです!?

【「健康な骨」以外の働き】

カルシウム=骨のイメージは強いものです。
人間の体の中にあるカルシウムは、なんと99%が骨と歯の中に入っているので、そのように印象づけられるのも無理はありません。
では、残りの1%のカルシウムはどこにいて、どんな働きをしているのでしょう?
実は、多くが血液の中にいて、体中を巡っています
血中のカルシウムは神経の伝達物質を細胞に渡す役割があります。
この働きによってホルモンや酵素を活性化したり、筋肉を動かしたりします。
つまり、立ったり座ったりなどの基本的な動作にも関わっています。
さらに、筋肉の動きには心臓を動かすことも含まれるので…カルシウムは私たちの命に直結する大切な栄養素なのです。

これほど大切な役割なので、血中カルシウムを不足させないように、人間の体にはある仕組みが備わっています。
どんな機能かというと、体内の血中カルシウムが不足しそうなとき、自分の骨のカルシウムを溶かし、それで血中カルシウムを補います
骨は万が一のときのカルシウムの貯蔵庫でもあるのですね。
もちろん、溶かされた骨はもろくなるので、カルシウム不足が続けば、怪我をしたときに骨折してしまうなど、重症化しやすいというリスクを抱えることになります。
不足しないように、意識して摂るようにしたいですね。


【吸収率を上げよう】

大切な栄養素であるカルシウムですが、体内で吸収されにくいミネラルのひとつに数えられています。
吸収率は食品ごとに異なっていて、カルシウムの多い食品からでも、摂取した総量から野菜で20%・小魚で約30%・乳製品で40%ほどの吸収率だとされます。
実に、摂った量の半分以上が使われていないことになります。
そのため、小魚や乳製品をあまり食べていない方が、定期的に食べるようにして摂取量を上げるのはよいことです。
しかし、食べられる量は限りがあり、体に必要な栄養素はカルシウムだけではないので、ただ量を増やせばよいものではありません。

カルシウムの多い食品と一緒に、カルシウムの吸収を助ける栄養素を組み合わせて食べれば、量をキープしながら効率がアップしますよ。
例えば、きのこ類に多いビタミンDは、カルシウムの吸収率を上げ、骨にカルシウムを沈着させるように促す働きもします。きのこ以外では鮭やかれいなど、魚介類にも豊富です。
また、ビタミンDは日光に当たることで体内でも合成できます。
15分程度の日光浴でも十分効果があるので、夜型の生活をしている人は陽のある時間に散歩するなどの習慣をつけるのもおすすめです。
そのほか、クエン酸を含む食品も吸収率アップに効果的です。
クエン酸にはカルシウムなどミネラルを溶けやすい形に変えるキレート作用があるためです。
クエン酸は柑橘系の果物や梅干し・酢などの食品に多いので、これらも上手に組み合わせるとよいですね。
特に今の季節は購入できる柑橘系の果物が多いので、食後のデザートにみかんを食べるなど、手間をかけずに実践できるのは魅力的なポイントです。

カルシウムは長年、日本人が不足しちな栄養素のひとつとして数えられています。
乳製品・小魚類・葉物野菜以外では、海藻類や種実類にも多く含むので、吸収率アップの食品と組み合わせながら、上手に食事にとり入れましょう!

Text byはむこ/食育インストラクター