食に関わるSDGs~フェアトレード食品とは?

近年話題になっているSDGs。
見かける機会は増えているものの、項目がたくさんあるので、なかなか内容を覚えられません…。
そこで、SDGsのなかから食に密接にかかわる項目に焦点をあててお伝えいたします!
今回のテーマはフェアトレード。
しかし、SDGsの17の目標のなかに、この言葉は無さそうですが…?

【公正な取引、とは?】

フェアトレードの単語はSDGsに直接登場しませんが、複数の目標の達成に関わる重要な要素です。
まず、フェアトレード(公正な取引あるいは貿易)とはどういうものなのでしょう?
それは、適正な価格で製品を購入する貿易の仕組みのことです。
実は、立場の弱い開発途上国の製品や食品を適正な価格から大きく下回る値で購入している「アンフェアなトレード」は今も世界中で行われています。
このため、開発途上国の生産者には十分な対価が支払われず、貧困から抜け出すことができない原因のひとつとして考えられています。
つまり、フェアトレードとは、SDGsの目標の「1.貧困をなくそう」の解決策のひとつといえる取り組みなのです。
また、貧困問題が引き起こす児童労働の解決にも関わるため、「4.質の高い教育をみんなに」の達成にもつながります。

そして、このフェアトレードで扱われる品には、食品が含まれています。
例えば、チョコレートやコーヒー、バナナやスパイス類など、日本で生産が難しい食品は大量輸入することで安定供給されています。
私たちの生活のなかでこれらの食品はとても身近な存在ですが、それがフェアトレードな商品なのか確認する手段が少ない実情がありました。
現在はフェアトレードの考え方が着実に広まりつつあるため、フェアトレード認証の表記をされる食品も増えています。SDGsに貢献したい!と思われる方は、認証された食品を購入するようにされるといいと思います。


【フェアトレード問題点】

フェアトレードの理念はとても素晴らしいものですが、まだまだ課題も存在しています。
その課題を知っておくことで、より食とSDGsの繋がりへの理解度が深まります。

まず一つ目は、商品あたりのコストがかかること。
これまでアンフェアなトレードによって取引されてきた品を適正な価格で買いつけるので、その分の費用がかさんでしまいます。
もう一つは、国際基準となるフェアトレード認証が存在しないこと。
フェアトレード自体がまだ新しい考え方であることに加え、各国の経済情勢は常に変動しているため、全世界共通の基準を設けることが難しいのです。
そのため、その認証は団体ごとに内容に違いがあり、まだまだ曖昧な部分が多いことを理解しておきましょう。
認証のために費用がかかることも、ネックのひとつです。

ちなみに、フェアトレード認証が表記されていなくても、直接生産者・製造者と契約し、独自にフェアトレードを実践している企業もたくさんあります
フェアトレード商品を購入したいときは、認証の有無も大切ですが、その商品が消費者の手に届くまでどういった経緯をたどってきたのか?を明らかにした商品を探してみるのもよいですね。

実際に生活をしていく上で、すべてをフェアトレード商品で揃えることは、今はまだ難しいのが現状です(それが自然にできていれば、わざわざ認証する必要もないので)。
個人でできることは少ないかもしれませんが、一つ一つの商品の価格や生産にかかるコストなどをきちんと考える機会をつくってみてはいかがでしょう?

Text byはむこ/食育インストラクター