「酵素」ってどんな働きをするの?健康効果は期待できるの?

「酵素」という言葉は聞いたことはあるけれど、『どういうものなのか、いまいちよく分からない…。』という方も多いのではないでしょうか?
今回は、「酵素」の特性や健康効果についてのお話です。

【「酵素」ってなに?

酵素とは、体の中で起こっている化学反応に関連する必須たんぱく質です。
食べ物の消化・吸収、代謝など、生命を維持するために必要なあらゆる活動に使われていて、健康的な体を維持するには欠かせません。
それぞれの酵素は、決まった働きを持っています。
例えば、脂質を分解する酵素は脂肪を分解できますが、たんぱく質やでんぷんは分解できません。
たんぱく質やでんぷんを分解するには、別の酵素が必要になります。
そのため、人の体内には約5000種類もの酵素があると言われています。

【酵素にはどんな働きがあるの?】

酵素には主に2つの働きがあります。

●体内の代謝を促す
酵素は、食べ物を胃で消化・吸収して得られた栄養素からエネルギーを作り出します。
さらに、体内の有害物質を処理して尿などで体外に排出する働きがあるほか、正常な体の成長や免疫反応、体の調整機能のコントロールなどにも関与しています。
このようなエネルギーを作る一連の流れを「代謝」と言い、酵素は必要不可欠な物質なのです。

●消化を促す
酵素は約5000種類あると先程ご紹介しましたが、なかでも重要な役割を果たすのが消化酵素です。
消化酵素は摂取した食べ物を栄養素に分解する働きがあり、以下の3つの種類があります。

  • たんぱく質を分解する「プロテアーゼ」
  • でんぷんを分解する「アミラーゼ」
  • 脂質を分解する「リパーゼ」

プロテアーゼは、たんぱく質を『アミノ酸』に分解します。
プロテアーゼの中には、パパイヤに存在するパパインや、パイナップル由来のブロメラインなど、多くの酵素が存在します。
アミラーゼはでんぷんを『ぶどう糖』に分解し、リパーゼは脂肪を『脂肪酸』と『グリセロール』に分解します。


【酵素にはこんな注意点が…!】

●熱に弱い
酵素は主にたんぱく質で構成されていて、熱に弱いという特徴があります。
加熱するとたんぱく質の構造が変わり、酵素本来の働きが損なわれます。

●特定の環境でしか働かない
多くの酵素は人や動物の体内で働くため、35~40℃の温度帯で最もよく働きます
さらに、各酵素は、ある特定の範囲のpHの条件の下でしか働くことができません。
pHとは、酸性かアルカリ性かを0~14の数字で示す指標のことです。
人の体液のpHは7.35~7.45なので、多くの酵素は中性付近のpHで最もよく働きます
しかし、胃の中は胃酸によって強い酸性のため、胃で働くたんぱく質分解酵素のペプシンは、pH2という非常に低いpHの条件下で最も活性が高くなり、中性付近ではほとんど働かないという特徴があります。

【酵素はどうやって摂るべき?】

酵素は、日ごろの食事からも摂取できる栄養素です。
消化酵素は主に大根やキャベツなどの野菜キウイフルーツやパパイヤなどの果物に、代謝酵素は味噌や漬物などの発酵食品に多く含まれています。
酵素は熱に弱いので、野菜や果物は新鮮なものを生で食べるのがおすすめです☆
日常の食事でよく見かける、焼き魚に添えられている大根おろしや、トンカツに添えられているキャベツの千切りは、油っこい食事を食べる際に消化酵素を補うことができ、とても効果的な食べ合わせです。

酵素は加齢だけでなく、ストレスや睡眠不足などによっても減ってしまうと考えられています。
皆さんも、日々の食生活の中で上手に酵素をとり入れたり、生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか?

Text byろい/食育インストラクター