“食育推進基本計画”から、食品ロスや食品リサイクルについて考えてみよう!

“食育推進基本計画”は、食育基本法に基づき、食育の推進に関する基本的な方針や目標について定めているものです。
(詳しくは、『6月は「食育月間」!食育の効果的な取り組みに欠かせない“食育推進基本計画”を深掘り!』をご覧ください。)

現在の第4次では、『持続可能な食を支える食育の推進』を重点事項のひとつとして挙げています。
今回は、私たち消費者1人1人が主体的に取り組むべき、食品ロスや食品リサイクルについてのお話です。

【食品ロスの現状】

「食品ロス」とは、まだ食べられるのに廃棄される食品のことです。
農林水産省と環境省の令和元年度の調査によると、日本では約570万トンの食品ロス(家庭から約261万トン、事業者から約309万トン)があるとのことです。
これは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料援助量(2020年で年間約420万トン)の約1.4倍に相当します。
また、食品ロスを国民1人あたりに換算すると、“お茶碗約1杯分(約124g)の食品”が毎日捨てられていることになります。

【食品リサイクルの現状】

農林水産省の調査によると、令和元年度の食品リサイクル法に基づく食品廃棄物の発生量は15105千トンで、前年度に比べ0.9%の増加となりました。
そして、食品廃棄物等多量発生事業者による食品循環資源の再生利用等実施率は、 食品産業全体で92%となっています。
業種別に見ると、食品製造業は97%、食品卸売業は66%、食品小売業は57%、外食産業は43%でした。
なお、令和6年度までに食品卸売業で75%、食品小売業で60%、外食産業で50%に向上させることを目標にしています。

【家庭での食品ロスってどんなもの?】

家庭で発生する食品ロスは、大きく3つに分類されます。

  1. 食卓にのぼった食品で、食べ切れずに廃棄されたもの(食べ残し)
  2. 賞味期限切れなどにより使用・提供されず、手つかずのまま廃棄されたもの(直接廃棄)
  3. 野菜や果物の皮を厚くむき過ぎたり、取り除き過ぎたもの(過剰除去)

【食品ロスが多いと、どんな影響があるの?】

大量の食品ロスが発生することで、さまざまな影響や問題があります。
食品ロスを含む多くのゴミを廃棄するためには、処理に多額のコストがかかります。
また、可燃ゴミとして燃やすことで、CO2排出や焼却後の灰の埋め立てなどによる環境負荷が大きくなります。


【食品ロスを減らすために、私たちができることってなんだろう?】

●外食時
食べ切れる分だけ注文し、残さず食べ切るように心掛けましょう。
どうしても食べ切れない場合は、お店の方と相談の上、食べ残した料理の持ち帰りを検討しましょう。
ただし、温度・湿度が高い時期や、持ち帰りに不向きな料理に関しては注意が必要です。
皆さんも、消費者庁・農林水産省・環境省が作成した、消費者・飲食店それぞれの実践ポイントや留意事項を盛り込んだ、“「食べ切り」ガイド”を確認してみてくださいね☆

●買い物するとき

  1. 買い物前に、冷蔵庫や食品庫にある食材をチェックする
  2. 使う分、食べられる量だけ買う
  3. 期限表示を知って、賢く買う

●自宅で調理・保存するとき

  1. 食材を適切に保存する
  2. 食材を上手に使い切る
  3. 食べ切れる量を作る

【今日からできる!「てまえどり」!】

最近ではスーパーの特売チラシに見立てたCMが放映され、耳にする機会も多くなった「てまえどり」という言葉。
「てまえどり」とは文字通り、購入してすぐに食べる場合に、商品棚の手前にある商品など、販売期限の迫った商品を積極的に選ぶ購買行動です。
食品棚の奥から商品を取ると、手前の期限が近い商品は売れ残り、返品や廃棄に繋がってしまいます。
この取り組みは、農林水産省・消費者庁・環境省・一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会が連携し、令和3年6月から呼びかけています。
具体的には、一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会に加盟しているコンビニエンスストア4社で、啓発物を商品棚に掲示するなど活用し、買い物をされる方へ周知を行うほか、ホームページ上にて啓発物の提供を行っています。

【それでも食品があまってしまったら、こんな取り組みに参加してみよう!】

●フードドライブ
家庭であまっている食品を持ち寄り、地域の福祉団体やフードバンクなどに寄付する活動
です。
全国では、スーパーマーケットや地方公共団体に常設の専用BOXが設置されている所もあります。
定期的に受付をしている施設や団体、イベント会場などもあるので、皆さんもぜひお住まいの地域でフードドライブを行っている場所がないか調べてみてくださいね。

●サルベージパーティー
「サルベージ」という言葉には、「難破船を救い出す」という意味があります。
サルベージパーティーは、家庭で使い切れない食材を複数の参加者が持ち寄り、シェフがその食材を救うため、おいしい料理に変身させるというユニークなイベントです。
どんな料理ができるか分からない楽しさに加え、あまった食材をごちそうに変える知恵も学べるのも魅力のひとつです☆

食品ロスを削減するには、私たち1人1人が『食品を無駄なく大切に使う』という意識を持つことが大切です。
皆さんも、できることから少しずつ始めてみませんか?

Text byろい/食育インストラクター