食べた栄養素は体の中でどうなるの?~ビタミンB群~

私たちは日々の食事でエネルギーや栄養素を摂取し、生命を維持したり、身体活動を行っています。
今回は、エネルギー代謝に重要な役割を担っている「ビタミンB群」についてのお話です。

【ビタミンB群ってどんな栄養素?】

ビタミンB群は、以下の8種類の栄養素の総称です。

  • ビタミンB1
  • ビタミンB2
  • ビタミンB6
  • ビタミンB12
  • ナイアシン
  • パントテン酸
  • 葉酸
  • ビオチン

 水溶性ビタミンのビタミンB群は、一度に大量摂取しても尿中に排泄されるため、毎日食事から摂取する必要があります。
ビタミンB群の主な働きは、エネルギー代謝の補酵素です。
補酵素は、代謝を円滑に行わせる潤滑油のような役割を担っています。
エネルギー源や体の構成成分となる三大栄養素(糖質・脂質・たんぱく質)だけを摂取しても、ビタミンB群が不足していると体内の代謝はスムーズに行われないため、ビタミンB群の摂取はとても重要です。

【各栄養素を見てみよう!】

■ビタミンB1
糖質の代謝に関わる補酵素として働きます。
糖質やアルコールを多く摂取する人に、ぜひ摂り入れてほしい栄養素です。
また、運動によってエネルギー消費が多い人は、より多くのビタミンB1が必要になります。

<おすすめの食品>
豚のヒレ肉やモモ肉をはじめ、植物性の食品では玄米、枝豆、豆腐に多く含まれています。
また、ビタミンB1は、にんにくや玉ねぎに含まれるアリシンと一緒に摂ると吸収が高まります。

ビタミンB2
脂質の代謝に関わる補酵素として働きます。
皮膚や粘膜、髪、爪などの細胞の再生に役立ち、「発育のビタミン」とも言われています。
脂質を分解しエネルギーに変えるため、ダイエットをしている人や、油が多い食事をとる人には重要な栄養素です。

<おすすめの食品>
豚レバーやウナギ・ブリなどの魚、モロヘイヤに多く含まれています。

■ビタミンB6
たんぱく質の代謝に関わる補酵素として働きます。
免疫機能の正常な働きを保つほか、赤血球のヘモグロビンの合成にも欠かせません。
また、肝臓に脂肪が蓄積するのを防ぎ、肝脂肪の予防にも効果を発揮します。

<おすすめの食品>
マグロやカツオなどの赤身の魚や、ヒレ肉やササミなどの脂が少ない肉類に多く含まれています。
植物性の食品では、バナナやパプリカ、さつまいも、玄米にも含まれています。

■ビタミンB12
たんぱく質の合成やアミノ酸の代謝に関わる栄養素
です。
また、正常な赤血球の生成にも関与しています。

<おすすめの食品>
カキやアサリなどの魚介類や動物性食品に多く含まれています。
ベジタリアンの人は、ビタミンB12が不足する可能性があるので注意が必要です。


■ナイアシン
500種以上の酵素の補酵素
として、エネルギー産生や、糖質・脂質・たんぱく質の代謝、DNAの修復や合成など、さまざまな機能に関わっています。
二日酔いの原因にもなる「アセトアルデヒド」を分解する酵素の補酵素として働くため、お酒をたくさん飲む人はナイアシンを積極的に摂り入れましょう。

<おすすめの食品>
マグロの赤身やタラコ、鶏ムネ肉などに多く含まれています。
熱に強いため、加熱調理でもナイアシンは失われにくいといった特性があります。

パントテン酸
エネルギー代謝に欠かせない栄養素
であり、免疫抗体の合成、薬物の解毒作用、脂質の代謝を促すHDLコレステロールの増加、副腎皮質ホルモンの合成による抗ストレス作用など、さまざまな働きがあります。
カフェインとアルコールにはパントテン酸の吸収を阻害する働きがあり、食べ合わせには注意が必要です。

<おすすめの食品>
鶏レバーやササミ、アボカドに多く含まれています。
動物性・植物性に関わらず、比較的多くの食品に含まれている栄養素です。

■葉酸
ビタミンB12とともに、正常な赤血球の生成をサポートします。
また、胎児の発育にも重要な栄養素なので、妊娠を計画している、あるいは妊娠をしている女性は積極的に摂取しましょう。

<おすすめの食品>
鶏レバーや菜の花、モロヘイヤ、いちごに多く含まれています。
熱に弱いため、生で食べられる野菜や果物から摂取することも大切です。

ビオチン
皮膚炎を予防する因子として発見された、哺乳類の体内では合成することができないビタミンです。
糖質や脂質、アミノ酸の代謝や、エネルギーを作り出す役割を担っています。
アミノ酸は体内でコラーゲンなどを合成する際の材料となります。
ビオチンは皮膚や粘膜、髪の毛を健康な状態に保つために重要な栄養素なので、積極的に摂りましょう。

<おすすめの食品>
鶏や豚のレバー、卵黄、大豆などに多く含まれています。

いかがでしたか?
いわば『縁の下の力持ち』のビタミンB群は、カフェインやアルコールの常飲、ストレスなどでも消費されてしまいます。
日々こまめに摂取することを心掛けましょう!

Text byろい/食育インストラクター