日本の郷土料理~埼玉県 かてめし~

各地域に古くから伝わる郷土料理のなかから、今回は埼玉県の「かてめし」にスポットをあて、その歴史などを紐解いていきます!
かてめしのレシピもあわせてご紹介しますので、お楽しみに☆

【郷土料理とは】

郷土料理は、風土や気候・産物などの違いに影響を受けて出来た、日本各地に伝わる料理のことをいいます。
隣接する地域でも知らないような料理がある一方、離れた地域で名前は違っても似たような料理が存在することもあります。

【埼玉県ってどんなところ】

埼玉県は関東平野の西部に位置し、山地・丘陵地・平野部からなる海と隣接しない内陸県です。
渋沢栄一をはじめ、さまざまな偉人を輩出している埼玉県は、自然豊かな秩父や長瀞・「小江戸」とも呼ばれ、古き日本の街並みを残した川越など多くの観光スポットがあり、観光客がたくさん訪れます。
そんな埼玉県は県の愛称を「彩の国」としていますが、豊かな自然の織り成す色彩や多彩な分野での発展を表しているそうです。
埼玉県の人口は約700万人で、2003年4月1日にさいたま市(旧浦和・大宮・与野の三市合併により2001年5月に誕生)が政令指定都市に指定されています。
県鳥は国の天然記念物に指定されている「シラコバト」・県木は「けやき」・県花は国の特別天然記念物に指定されている「サクラソウ」です。

 【かてめしとは】

かてめしは米の生産量が少ない地域で米の消費を抑えるために考えられた料理です。
ご飯を炊くときに具材を加えてカサを増し、日常の食事のほか、来客をもてなす際にも作られました。
埼玉県で有名なのは秩父地方のかてめしで、白いご飯や味をつけて炊いたご飯に別で煮た具材を汁ごと加え混ぜて作ります
煮汁がご飯にしみ、奥深い味わいになります。
具材は、里芋の茎を干して作る「干しずいき」や干ししいたけ・人参・ごぼう・油揚げなどが入ります。
また、かてめしは埼玉県だけでなく、米が穫れにくい日本の各地域で古くから食べられてきました。
その地域でたくさん穫れる食材が使われることが多く、大根・さつま芋・海藻など、カサを増すための食材は地域ごとに異なります。
現在は、米のカサを増す目的で作られることは少なくなってきましたが、伝統食としてお正月などの節句行事や八十八夜・お盆のときなどに作られています

それではレシピのご紹介です。
今回は白いご飯に混ぜるタイプのかてめしです。
さまざまな具材を盛り込んだ彩り豊かなかてめしは、「彩の国」にぴったりの一品です。


【かてめし】

<材料(2合分)> 調理時間:30分(米を炊く時間・しいたけを戻すは除く)
米・・2合
人参・・30g
大根・・80g
つきこんにゃく・・80g
干ししいたけ(乾燥)・・2~3枚
ごぼう・・50g
油揚げ・・1枚
絹さや(またはいんげん)・・5枚
サラダ油・・小さじ2
A砂糖・・大さじ1~1・1/2
Aみりん・・大さじ1
Aしょうゆ・・大さじ2~3
Aしいたけの戻し汁・・100ml ※足りない場合は水を足して分量にしてください。

<下準備>
干ししいたけはサッと汚れを取り、200mlくらいの水で戻す。(前日にやっておくとよいです。)

 <作り方>

  1. 米は洗ってザルに上げて水を切り、炊飯器で普通に炊く
  2. 人参・大根は3cm長さ、6~7mm角の棒状に切り、こんにゃくは食べやすい長さに切って熱湯で1分ゆで、乾煎りする
  3. 干ししいたけは水気をしぼり、軸を落として薄切りにする
    戻し汁は漉し、計量する
  4. ごぼうはささがきにして水にさらし、油揚げは長さを半分に切って5mm幅に切る
  5. 絹さやは塩(分量外)を加えた湯で30秒ほどゆでて冷水に取り、ななめ3~4等分に切る
  6. フライパンにサラダ油を熱し、絹さや以外の具材をかたい順に入れ、炒める
  7. 火が通ってきたらAを入れ、沸騰させてから中火にし、落しぶたをしてときどき混ぜながら煮汁が少し残る程度まで煮る(最初の1/6量くらいを目安に)
  8. 炊き立ての(1)に(7)を汁ごと入れて全体をよく混ぜ、器に盛り、絹さやを散らす

<ポイント>

  • ごはんは炊き立ての方が煮汁をよく吸うので、今回は炊飯中に具材を煮るレシピにました。
    あらかじめ炊けているごはんを使う場合は、温かい方がよいので、電子レンジなどで温めたごはんをご準備ください。
  • ごぼうは使う直前まで水にさらしておき、しっかりと水気を拭き取ってから炒めましょう。
  • 最近の油揚げは油抜きをしなくても使えるので、そのまま使用していますが、気になる場合は油抜きしてください。
  • 絹さやではなく、いんげんを使う場合は、太さによってゆで時間を調整して下さい。

いかがでしたか。
昔の人々の生き抜く知恵が詰まったかてめしは、食材のうま味がたっぷり詰まったご馳走です。
流行り料理のような派手さはないかもしれませんが、食べればどこか懐かしさを感じ、心が和みます。
ぜひ一度お試しください。

Text byさゆり/食育インストラクター