日本の郷土料理 ~群馬県 おっきりこみ~

各地域に古くから伝わる郷土料理のなかから、今回は群馬県の「おっきりこみ」のレシピをご紹介します。

【粉食文化が発達、群馬県の郷土料理】

群馬県と言えば、「小麦」を使った料理が多いのが特徴です。
水はけのよい土壌と冬のからっ風、そして冬でも日照時間が長いということが小麦作りに適していたため、古くから小麦栽培が行われてきました。
このことから、「おっきりこみ」、「まんじゅう」、「うどん」などの小麦加工品による粉食文化が発達、定着して行きました。

●おっきりこみ
おきりこみ」ともいいます。
太めに切ったうどんをたっぷりの野菜と一緒に汁で煮込み、しょうゆやみそで味つけしたものです。
うどんをゆでずにそのまま汁に入れて煮込むので、うどんに味がよくしみるのはもちろん、汁にほどよくトロミがつき、体を芯から温めてくれます。

●焼きまんじゅう
小麦粉ににごり酒を入れ、発酵させて蒸した生地を竹串に刺し、甘いみそだれをつけて炭火でこうばしく焼いたもの
です。
県内に1年中売っているお店は多数ありますが、焼きまんじゅうと言えば、初詣やお祭りのときの屋台に並んで買って食べるものという印象が強いです。

●水沢うどん
香川県の「さぬきうどん」、秋田県の「稲庭うどん」、そして群馬県の「水沢うどん」が日本三大うどん
と言われています。
水沢うどんは、伊香保温泉のすぐ近く、渋川市伊香保町水沢の名物で、約400年前に水沢観音の参拝者にふるまったのが始まりとされています。
強いコシと弾力、そしてツルツルとした透き通る麺が特徴です。
ちなみに、「日本三大うどん」ならぬ、「群馬三大うどん」というものもあり、「水沢うどん」のほか、幅広い麺で「ひもかわうどん」とも呼ばれている「桐生うどん」、生麺ではなく天日干しして半乾燥させた乾麺である「館林うどん」も有名です。


【おっきりこみうどんを作ってみよう】

おっきりこみ用のうどんは売られていますが、なかなか手に入りにくいことも。
そこで今回は、手に入りやすい「ゆで平打ちうどん」を使って作ります。

<材料(2人分)> 調理時間:30分
ゆでうどん(平打ち)・・2玉
豚薄切り肉・・50g
油揚げ・・1枚
大根・・5cm
人参・・5cm
ごぼう・・10cm
しいたけ・・2枚
まいたけ・・1/2パック
長ねぎ・・10cm
出汁・・500ml
Aみりん・・小さじ2
A酒・・小さじ2
Aしょうゆ・・小さじ2
A片栗粉・・小さじ1/2~1
みそ・・大さじ2
ごま油・・適量

<作り方>

  1. 豚肉は4cm幅に、油揚げは油抜きして短冊切りにする。
    大根・人参はいちょう切りに、ごぼうはささがきにして水にさっとさらす。
    しいたけは軸を落として薄切りに、まいたけは食べやすい大きさに手でさく。
    長ねぎはななめ切りにする。
  2. 鍋にごま油を熱し、豚肉を入れてほぐしながら炒める。
    肉の色が変わったら長ねぎ以外の具材を入れ、しんなりするまで炒める。
  3. (2)に出汁を入れ、沸いたらAを加えてひと混ぜする。
    再び沸いたら弱火にし、野菜に火が通るまで中火弱で煮る。
  4. うどん・長ねぎを入れ、袋の表示時間より少し長めに煮て、みそを溶き入れる。
    お好みでおろししょうがや七味唐辛子をかけてもおいしいです。

今回は、ゆでうどんで作っているので、途中で片栗粉を入れてとろみをつけています。
もし、打ち粉のついた生うどんで作る場合には、片栗粉は入れず、打ち粉がついたままうどんを煮てください。
うどんを煮る時間は好みにもよりますが、私は出汁と野菜のうま味がうどんにしっかりしみた、おっきりこみが好きなので、煮る時間を少し長くしています。
具材は何でもOK。
お家の冷蔵庫の中にある、お好みの野菜を使って作って下さい。
野菜をたくさん入れたほうが甘みやうま味が加わり、よりおいしく作れますよ。

まだまだコロナ禍にあり、いろいろな所に行き、その土地のおいしいものを食べるのもなかなか難しいですよね。
ご家庭で日本各地の郷土料理を味わい、旅行気分を楽しんでみてはいかがでしょうか。

Text byまち/食育インストラクター