あまりがちな調味料活用術③ ナンプラー編

冷蔵庫の片隅に鎮座している、あまった調味料を使いきりたい!
そんなときにたくさん使える、お役立ちレシピをご紹介します!
今回のテーマはタイ料理でおなじみ、「ナンプラー」です。

【なんともいえない、あのにおい】

タイではナンプラーの味が好まれ、多くの料理に使われています。
一家に一瓶常備されていると言われるほどで、日本人にとってのしょうゆに等しい調味料なのですね。
しかし、ナンプラーは日本では扱いが難しい調味料のひとつといえます。
その最大の原因は、ナンプラーが持つ独特のにおいです。

ナンプラーの原材料は、主にカタクチイワシ類の魚です。
これを塩漬けして熟成させるので、魚醤の仲間に数えられています。
魚由来のこの香りは、嗅げば即座にエスニック料理を連想するほど強い印象が残ります。
日本の食文化は魚と密接な関係がありますが、ナンプラーの持つあまりにも強い香りが出汁などの風味を消してしまうので、和食との相性は難しいことがあります。(※しょっつるなど、日本にも魚醤の仲間の調味料はあります)
そのため、ナンプラーが登場するのはエスニック料理を作るときのみになるのは珍しくありません。
次にいつエスニック料理を作ろうか迷っている間、買ったナンプラーが冷蔵庫内で鎮座するオブジェになる悲劇が起きることも…!?

【ナンプラー消費のコツ】

ナンプラーのにおいを消すことはたいへん難しく、無理に隠そうとすると失敗のもとになりがちです。
また、塩味が立つので、しょうゆの代用として直接何かにつけて食べることは、食べ慣れていなければ難しいと思います。
そのため、エスニック風の味つけだけれど、調理の手間が少なく普段使いできるレシピで消費するとよいですね。
今回は、コクのある鶏手羽肉と一緒に煮込む「スープ煮風レシピ」をご紹介します。
切るものが少なく、じっくり煮込めば煮込むほど鶏肉がやわらかく仕上がりますよ☆


【鶏手羽とナンプラーのあっさりスープ煮】

<材料> 調理時間:35分 
鶏肉(手羽元)・・6本
もやし・・1/2袋(100g)
しょうが・・1かけ
にんにく・・1かけ
サラダ油・・小さじ1
A水・・1カップ
A酒・・1/4カップ
A酢・・大さじ2
Aナンプラー・・大さじ2
Aしょうゆ・・小さじ1
A砂糖・・小さじ1
A塩・・少々
粗挽き黒こしょう・・適量
パクチー・・適量

<作り方>

  1. 鶏肉は余分な油や皮を除き、骨の両側に切り込みを入れる。
    しょうがは千切り・にんにくは包丁の腹でつぶす。
  2. フライパンにサラダ油を熱し、(1)のしょうがを炒め、香りが立ったら鶏肉を皮目から入れ、色が変わるまで炒める。
  3. 鍋に(2)とA・にんにくを入れて火にかける。
    沸騰したら弱火にし、蓋をして15~20分煮込む。
  4. もやしを入れて中火にし、再沸騰したら火を止める。
    器に盛り、粗挽き黒こしょう・パクチーを散らす。

<ポイント>

  • しょうが、にんにくはチューブタイプで代用可能です。
    その場合、生のにんにくよりも香りがこもりやすいので、しょうがと一緒に炒めるのがおすすめです。
  • お好みでレモン果汁やごま油などを加えると、より風味が引き立ちます。

ちなみに、ナンプラーと似た風味の調味料に、ベトナムのニョクマムがあります。
こちらも魚醤の一種で、カタクチイワシを熟成させて作られています。
味の傾向はナンプラーの方が少し塩味が強めとされますが、慣れている人でなければ判別しにくいのだそうです。
そのため、今回のレシピはニョクマムでも代用可能ですよ☆
なお、エスニック調味料は会社ごとに味や風味が大きく違うことがあるので、購入したら初めに味見をしてみるとよいですね。
もし、これらの調味料を使った料理がおいしく作れなかったり、前回と味が違う!?と思われたときは、調味料そのものの味の違いをチェックしてみるとよいですよ!

日本でも購入しやすくなったとはいえ、エスニック料理は食べ慣れない方も少なくありません。少しずつ、自分が食べやすい味つけを開拓できるとよいですね!

Text byはむこ/食育インストラクター