妊娠初期には、「葉酸」を摂ろう!

「葉酸」は妊婦さんにとって、とても大切な栄養素だということは知られていると思います。
実は妊娠初期はもちろん、妊娠前から摂った方がよいことをご存じですか?
その理由や葉酸が多く含まれる食材についてご紹介します。

【葉酸とは?】

葉酸はビタミンB群の一種で、ビタミン12とともに補酵素として赤血球を作り出す働きがあります。
また、DNA・RNAなどの核酸やたんぱく質の生合成を促進し、細胞の生産や再生を助けるのに重要な役割を果たしています。
細胞の分裂や成長に大きく関与するため、胎児にとっては重要な栄養素です。

【不足すると…】

通常、しっかりと食事をしていれば、不足することはまれです。
不足すると赤血球が正常に作られないために貧血をおこすことがあります。
また、妊娠初期に不足すると、胎児の「神経管閉鎖障害」の発症リスクが高まってしまう可能性があります。

【神経管閉鎖障害とは?】

妊娠初期におこる先天異常のひとつで、胎児の脳や脊髄のもととなる神経管がうまく作られず、きちんと管の形にならないことが原因でおこる病気です。
神経管閉鎖障害は二分脊椎と無脳症がその主なもので、二分脊椎は生まれたときに腰部の中央に腫瘤があるものが最も多いです。
無脳症は脳が形成不全となり、流産や死産の割合が高くなります。
胎児の神経管は妊娠6週ごろに完成します。
妊娠が分かったときには神経管がすでに完成に近づいていています。
そのため、妊娠する前から葉酸を摂取することがとても大切なのです。


【葉酸はどのくらい摂ったらよいの?

成人男女の1日摂取基準は、
20~70歳以上 男・女 240㎍/1日(耐容上限900㎍)
※厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)より抜粋

ただし、妊娠を計画している、あるいは妊娠している女性は、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを低減するために、一日400㎍の葉酸摂取が推奨されています。
このため、厚生労働省でも、通常の食事からの葉酸摂取に加えて、サプリメントなどでの葉酸摂取を推奨しています。
ただし、サプリメントなどは食品に比べ体内に吸収されやすいため、多用すると容易に耐容上限量を超えることになるので注意が必要です。
摂取量を守って上手に利用してください。

【葉酸が多く含まれる食材】

葉酸の多い食材(100gあたりの葉酸量)をまとめてみました。
・菜の花 340㎍
・枝豆 320㎍
・モロヘイヤ 250㎍
・ブロッコリー 210㎍
・ほうれん草 210㎍
・アスパラガス 190㎍
・納豆 120㎍
・オクラ 110㎍
・とうもろこし 95㎍
・いちご 90㎍
・さくらんぼ(国産) 38㎍
・キウイフルーツ 36㎍
・オレンジ 32㎍ 

緑黄色野菜、果物など身近な食材に多く含まれているので、意識してとるようにしましょう。

【葉酸のほかにも…】

妊娠を計画している方や、妊娠中の方は、葉酸と一緒にビタミンB12・鉄・ビタミンCを摂るといいですよ。
ビタミンB12は、葉酸と協力して赤血球を作る働きを助けています
基本的に動物性食品にしか含まれないので、肉類や魚介類を意識してとりましょう。
妊娠中、鉄の必要量は約3倍に。
不足しがちな栄養素で血液の材料となるため、積極的に摂るようにした方がいいですよ。
ビタミンCは鉄の吸収率を高めます
特に野菜に含まれる鉄は、そのままでは吸収されにくく、ビタミンCの助けを借りて体内に取り込まれます。
また、コラーゲンの生成に関与し、皮膚や骨、血管を丈夫に保ちます。
ビタミン類は、体内で互いに協力しあって働きます。
「葉酸」を単独で摂るのではなく、ビタミンB12やB2、B6などのビタミンB群をまんべんなく摂る方が効率がよいです。
葉酸だけを摂っていても、ほかのビタミン類が十分でなければうまく働けません。

いかがでしたか?
お腹の赤ちゃんにとって「葉酸」はとても大切。
バランスのよい食事を意識して、さまざまな栄養素を摂るように心がけましょう♪

Text byくまこ/食育インストラクター