「妊娠中」に気をつけたい食事のポイント

赤ちゃんは産まれるまでの約10ヵ月の間、ママが食べたものから得られる栄養で育ちます。
日ごろ何気なく食べているものでも妊娠中は注意してとらなければいけない場合があるのをご存知ですか。
そこで今回は妊娠中に気をつけて欲しい食事のポイントをご紹介します。

【気をつけたい食べ物・飲み物】

妊娠すると、今までは気にせず食べたり飲んだりしていたものでも、注意してとってほしいものが出てきます。
よく耳にするものから、あまり話題にならないものまでありますが、以下にまとめてみましたので、参考にしてみて下さい。

〇ビタミンAを多く含む食材
ビタミンAは主に動物性食品に含まれます。
脂溶性ビタミンのひとつで、食べたあと、体内に蓄積されやすいのが特徴です。
赤ちゃんの臓器や皮膚・骨などの成長に欠かせない栄養素ですが、妊娠初期に多量に摂り過ぎると、赤ちゃんの発育に影響があるかもしれないので、注意が必要です。
でも、ビタミンAを多く含む食材は、同時に妊婦に必要なそのほかの栄養素(鉄分など)も入っているので、偏らないように気をつけながら食べて下さい。
多く含む食材は、レバー・ウナギ・卵黄(魚卵も含む)など。

〇大きな魚や水銀を多く含む魚に注意!
海水には水銀が溶け込んでいて、海の中の食物連鎖により、小さい魚よりもより大きな魚の方が水銀の含有量が高くなりやすいです。
また、大きくなくても水銀を多く含む魚もいます。
私たちが通常摂る量では体に影響が出ることはなく、また徐々に体外に排出されていくため、心配する必要はないのですが、妊娠中は一定の摂取量を超えるとおなかの赤ちゃんに影響を与える可能性があるといわれていますので注意が必要です。
気をつけたい魚の種類としては、カジキ類やマグロ(一部対象外も)・クロムツ・クジラなどさまざまな魚が挙げられています。目安としては週1回80gまでにし、食べ過ぎないようにしましょう。
また、特に注意が必要でない魚もおり、サケ・アジ・サバ・イワシ・サンマ・タイ・ブリ・カツオなどです。
赤ちゃんに影響が出ると聞くと怖いかもしれませんが、魚は良質なたんぱく質やカルシウム源、また不足しがちなIPA(EPA)やDHAを含むので、種類に気をつけながら食べて下さい。(「厚生労働省」ホームページ参考)


〇生ものや非加熱のチーズ・ハムなど
お刺身のように生食する魚介や非加熱のチーズ・生ハム・生卵・生肉・生レバーなどは食中毒菌がいることがあります。
妊娠時は通常より免疫力が低下している場合があるので、そういったものは極力食べないようにしましょう。

〇ひじき・昆布
ひじきは鉄分や食物繊維が豊富なので便秘などの改善にも効果的ですが、ヒ素が含まれるため、使用する場合は30分以上水につけ、さらに取り替えた水でよく洗ってから使いましょう。
週に数回(小鉢1個分くらい)であれば摂取しても大丈夫とされています。
昆布はヨウ素が大量に含まれています。
成長期の子どもにとっては発育を促す大切な栄養素ですがおなかの赤ちゃんにとっては過剰摂取が続くと甲状腺機能の低下に繋がる可能性があるので、頻繁に食べている場合は回数を減らすなどの工夫を。

〇アルコールやカフェイン
妊娠中の飲酒はおなかの赤ちゃんが「胎児性アルコール症候群」になる可能性があり、なかには後遺症となる場合も。
妊娠期全般を通していえることですので、妊娠が分かったら飲酒はやめましょう。
また、ブランデーケーキやラムレーズン・サバランといったアルコールがそのまま入っているお菓子にも気をつけて。
カフェインは妊娠初期にとり過ぎると血管収縮が起こりやすくなり、子宮への血液の流れが悪くなったり、早産・流産のリスクが高くなるといわれています。
気をつけたい飲料として、コーヒー・紅茶・日本茶・ウーロン茶・ほうじ茶・栄養ドリンク・ココアがあります。
また、見落とされがちですが、抹茶や緑茶入りの青汁も、カフェイン入りですので、注意しましょう。
飲みたい場合は、主治医にどのくらい飲んでもよいか確認すると安心ですね。
ちなみに、妊娠中お世話になるノンカフェインの飲み物も、ジュースや清涼飲料水・ゆず茶・野菜ジュース・乳酸菌入りドリンク・豆乳・牛乳などはエネルギーが高く、糖分も多いので、常飲はおすすめ出来ません。
またハーブティーも、種類によっては子宮収縮作用など、妊娠中は控えた方がよいものがあるので気をつけましょう。
水や麦茶を基本として、そのほかに無糖の炭酸水などを用意しておくとバリエーションが広がります。

【サプリメントと外食の時のポイント

サプリメントは足りないと思われる栄養素を補う目的で大人の体に合わせて作られていますが、製品によって含まれる成分や品質はさまざまです。
過剰症の危険などもありますので、妊婦が服用する場合は、医師に相談をしましょう。
また、子どもに飲ませたいと思っている場合も、小児科医などに相談することをおすすめします。
外食やテイクアウト・市販品はおいしいですし、気分転換にもなりますね。
しかし、塩分・糖分・脂質が多くなりがちですので、「麺類の汁は残す」・「付属の調味料類は控えめに使う」・「揚げ物は衣を残す」・「野菜を意識したメニューを取り入れる」など工夫して楽しみ、利用回数はなるべく少なめにしましょう。

いかがでしたか。
ちょっと大変だなと感じることもあるかもしれませんが、赤ちゃんと自分の健康のために、出来ることから始めてみて下さい。
食べていいのか迷ったら、まずは主治医に相談を!

Text byさゆり/食育インストラクター