妊娠中の食事の摂り方

妊娠すると、体の中ではさまざまな変化が起こります。
その中で最も大きな変化が「自分の中で別の命を育む」ということではないでしょうか。
産まれるその日まで、ママと赤ちゃんは一心同体!
今回は妊娠中にどのような食事を心がければよいかをご紹介します。

【ママから赤ちゃんへ

よく「おなかの赤ちゃんはママの食べたもので育つ」と言いますが、どのようにして赤ちゃんに栄養が運ばれていくかご存知ですか。
ママが飲食したものは胃で消化され、小腸で吸収されます。
その後、血液にのって赤ちゃんとママを繋ぐ胎盤から臍帯(胎児と胎盤を繋ぐひも状の器官)を通り、栄養が運ばれます。
ママの食事がママと赤ちゃん両方の栄養となるので、「バランスのよい食事を心がけましょう」と言われるのです。

【バランスのよい食事とは

では、バランスのよい食事とはどういったものなのでしょうか。
簡単に言ってしまえば、「同じものばかり食べない」ことです。
人の体は、たくさんの栄養素で作られているので、偏った食事では健康を維持するのが難しくなります。

  • 肉や魚・野菜など、さまざまな食材を食べる
  • 食事の塩・糖・脂はおいしいけれど控えめに
  • ジュースではなく、水やお茶(出来るだけカフェインを含まないもの)でしっかりと水分補給をする

とよいですね。
それに加え、栄養が一気に入ってきてもすべてを活用することが出来ないので、食事は一日三食を心掛けると、体に負担なく、栄養も効率よく摂ることが出来ます。


【妊娠中の食事の摂り方

妊娠中のエネルギー摂取は非妊娠時にプラスして、

  • 初期  +50kcal
  • 中期  +250kcal
  • 後期  +450kcal

を目安とした食事を心掛けます。
妊娠したら「たくさん食べなくちゃ!」と思うかもしれませんが、初期の場合だと一日あたりバナナ1/2本をプラスで食べるだけで、約50kcal摂れてしまいます。
赤ちゃんの体は初期のころに重要な部分が作られ、その後大きく成長していきますが育つにはいろいろな栄養が必要です。
妊娠中の食事で大切なことは、「量より質」
毎回同じような食材ばかり使っていると、必要な栄養素が欠けてしまうという場合があります。
出来るだけ多くの食材を組み合わせて足りない栄養を補っていきましょう。
一度にたくさんの種類を買うのは大変ですね。
まずは「今日は小松菜を買ったから、次の買い物のときはほうれん草にしてみようかな。」くらいの気持ちで「買う食材のかぶりを少なくしてみる」とよいでしょう。

献立を立てるときのポイントは

  • 主食は腹持ちがよく、さまざまな料理に合わせやすいご飯を中心に
  • 出汁を効かせて薄味でもおいしくなる工夫を
  • 野菜などの繊維質が豊富な食材を多めに使ってボリュームアップ!
  • 体を作るたんぱく源は「肉」・「魚」・「大豆製品」などからバランスよく選ぶ
  • ビタミンやミネラル(カルシウムなど)をしっかり摂る

です。
和食を中心とした献立を基本とし、洋食や中華を取り入れていくと、飽きずに続けやすいですよ。

【気をつけよう。過度な体重増加

妊娠中の悩みとして多い「体重増加」。
妊娠すると、最終的(臨月ごろ)に

  • 赤ちゃん・・・約3kg
  • 胎盤・羊水・・・約1kg(それぞれ500gずつくらい)
  • 妊娠によって大きくなる乳房・子宮や増加した血液・・・約4kg

の合計8kgくらいが増えます。
そして、上記の赤ちゃんに必要なものにプラスしてホルモンバランスによる水分・脂肪などが体に蓄えられるため、10kg前後の体重増加は必然となります。
でも、それとは別で主治医や看護師さんからご指摘をいただいてしまう「体重増加」があります。
昔は「妊娠したらお腹の赤ちゃんも分も食べるのよ。」とたくさん食べるようにと言われていたようですが、過度な体重増加は「妊娠高血圧症候群」や「妊娠糖尿病」・「微弱陣痛」・「難産」などに繋がる場合があるので、現在はそういったことは言われなくなりました。
必要以上の体重増加・・・私も経験がありますが、妊婦検診のときに前回の体重からどのくらい増えたかを確認され、増えすぎていると体重の増加を緩やかにするように注意を受けます。
どのくらい増えると注意されるのかは個人差がありますが、臨月までの増加が10kg前後と考えると、妊婦検診のたびにたくさん増えていたら・・・食べ過ぎているのかもしれません。
(ちなみに、私はつわりが治まってからの抑えきれない食欲に負けて増えてしまいました。)

妊娠中の理想的な体重増加はBMIによって決められていきます。
妊娠前の体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))で求めることが出来、以下のように分けられ、

  • 18.5未満・・・「やせ型」 推奨体重増加 9~12kg
  • 18.5~25.0・・・「普通型」 推奨体重増加 7~12kg
  • 25.0以上・・・「肥満型」 推奨体重増加 5kg

を目安とし、著しく超える場合は個別で対応となっています。
食事以外に、出来る範囲で体を動かすことを心掛け、体重を管理しましょう。

いかがでしたか。
妊娠中は喜びとともに、本人にしか分からない不安も多い期間です。
困ったことが出てきたときは、あまりため込まずに旦那さんやご家族・主治医・看護師さん・栄養士・地域のサポートをしてくれるところなど、どこでもいいですから、自分が話しやすい誰かに相談してみましょう。

Text by さゆり/食育インストラクター