妊婦健診の時、毎回体重を量って増えすぎていないかな…と気になっている方も多いのでは?
「全員7kg以内で抑える」という病院もあれば「体重増加が15kgまでならOK」という病院もあります。
お医者様や病院によって上限体重が違っているのが現状です。
妊娠10カ月の赤ちゃんの増加分とお母さんの体重増加分の合計はだいたい7~8kg。
そのうちわけは赤ちゃん約3kg、胎盤・羊水約1kg、妊娠によって大きくなる子宮・乳房・血液などが3~4kgです。
残りの体重はお母さんについた脂肪です。
「妊娠中は赤ちゃんの分まで食べる!」 と言われていたのは昔の話。
食生活が豊かな今、適度な量と栄養バランスが大事です。
【体重の増減によるリスク】
妊娠中の極端な体重増加は妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病を引き起こしたり、分娩時の異常などを引き起こすリスクが高くなります。
しかしいっぽうで、近年妊娠中の無理なダイエットにより、低出生体重児(2500g以下)で生まれてくる赤ちゃん増えてきているそうです。
厚生労働省によると痩せた若い女性が増えるなか、生まれた時の赤ちゃんの平均体重は、平成22年は男の子が2980g、女の子が2910gで30年前に比べると男女とも250gも減少し、2500g未満の「低体重」で生まれる割合もおよそ2倍に増えています。
実際小さく生まれた赤ちゃんは将来、生活習慣病になるリスクが高まるという研究が報告されています。
お母さんの体重が増えすぎても増えなさすぎてもよくありません。
妊娠前からの健康なからだづくりも大切ですが、妊娠中も元気な赤ちゃんを出産するために体重増加を適切にコントロールすることが重要です。
【妊娠中の理想的な体重増加量は?】
では、いったいどのくらい増えるのが望ましいのでしょうか。
適切な体重増加量は妊娠前の体格や栄養状態によって異なり、出産までに○kgと一律に言うことはできません。
まずはBMI(Body Mass Index)で自分の状態を把握しましょう。
BMIは国際的にも信頼されている体格指数です。
厚生労働省から体格区分別推奨体重増加量が出されているので参考にするとよいでしょう。
≪体格区分別 妊娠全期間を通しての推奨体重増加量≫
体格区分(非妊娠時)
・低体重(やせ)…BMI 18.5未満 → 9~12kg
・ふつう…………BMI 18.5~25.0未満 → 7~12kg※1
・肥満……………BMI 25.0以上 → 個別対応※2
※1 体格区分が「ふつう」の場合、BMIが「低体重(やせ)」に近い場合には推奨体重増量は上限側に近い範囲を、「肥満」に近い場合には推奨体重増加量の下限側に低い範囲を推奨することが望ましい。
※2 BMIが25.0をやや超える程度の場合はおおよそ5kgを体重増加量の目安とし、著しく超える場合には他のリスク等を考慮しながら、臨床的な状況を踏まえ、個別に対応していく。
BMI(Body Mass Index):体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
例)体重60kg、身長160cmの場合、60÷1.6÷1.6=23.4 よってBMIは23.4です。
厚生労働省 「妊娠期の至適体重増加チャート」について より
おなかの赤ちゃんに必要なエネルギーや栄養素はすべて胎盤を通して母体から与えられます。その為母体にも適度なエネルギーとバランスの良い栄養素が大切です。赤ちゃんの将来を左右するのはお母さんの食事ともいえます。いつも以上にバランスのよい食事を心がけ、体重管理をしっかりして健康な赤ちゃんを産んでくださいね。
Text by くまこ/食育インストラクター