妊娠中、いつも以上に気をつけたい食中毒

妊娠中はいつも以上に気をつけたいことがたくさんありますが、食中毒もそのなかのひとつです。
そこで、今回は気をつけたい食べ物や、予防法についてご紹介します。

【妊娠中、いつも以上に気をつけたい理由】

私たちの体は通常「免疫機能」が働くことで、ウイルスや細菌といった外部からの攻撃に対抗しています。
でも、通常レベルの免疫が働いてしまうと、おなかの中にいる自分とは異なる存在の赤ちゃんも攻撃対象となってしまう恐れがあります。
そのためママの体は一時的に免疫力を下げて、我が子を守っていると言われています。
特に注意したい時期は、「妊娠初期」です。
赤ちゃんの成長を維持するため、ママの体にはさまざまな変化が起こり、免疫力も低下しやすいので注意しましょう。

【食中毒の種類と起こりやすい時期】

食中毒は、「細菌」・「ウイルス」が原因で起こるものがほとんどです。
しかし、そのほかにもフグや二枚貝の「蓄積毒」や、毒キノコや毒性植物の誤食で起こる「自然毒」・ヒスタミンなどによる「化学物質」・魚や肉の生食などで起こる「寄生虫」による食中毒もあります。
食中毒は原因物質が複数存在するので、基本的には年間を通して注意が必要です。
でも、細菌による食中毒は「梅雨から夏にかけての暑い時期」ウイルスによる食中毒はその発生原因のほとんどがノロウイルスによるものであるため、「寒い時期」に増える傾向があります。

【普段食べているアレに注意!

通常であれば、食べても特に問題ないものでも、妊娠中は避けた方がよい食べ物があります。
代表的なものを以下にまとめてみました。

・スモークサーモン
・非加熱のナチュラルチーズ(カマンベールやゴルゴンゾーラチーズなど)
・未殺菌の牛乳
・生ハム
・肉や魚介などのパテ

などです。
これらの食品は、過去にリステリア菌という食中毒菌による感染が確認されている食品の一例です。
リステリア菌は免疫力が低下しているとかかりやすくなり、胎盤を通してお腹の赤ちゃんにも影響を与えるといわれているので、気をつけましょう。
妊娠中は免疫力の低下などで普段より体調を崩しやすいので、刺身や生ものも避けた方がベターです。
例として挙げた以外にも、食べてよいか判断に迷ったら主治医などに相談してみましょう。


【食中毒予防ポイント】

食中毒は調理のときだけでなく、生活のさまざまな場所にリスクがあります。
予防ポイントを把握して日常生活に取り入れ、リスクを軽減しましょう!

〇食材などの購入・保存
食材を買うときは消費期限などを確認し、鮮度のよいものを選びます。
肉や魚などはドリップがもれ出ないように個別でビニール袋などに入れてから、袋にしまいましょう。
保冷バッグを活用し、寄り道せずまっすぐ帰るのも、予防のポイントです。
帰宅したらすぐに冷蔵庫などに入れ、食材の温度が上がらないように気をつけて。
ちなみに冷蔵庫の詰め過ぎは庫内温度の上昇に繋がるので、ゆとりを持たせましょう。
保存をしているときも肉や魚のドリップに気をつけ、鮮度がよいうちに使い切ってください。

〇下準備や調理中
まずはしっかりと手を洗い、包丁・まな板なども使う前によく洗浄しましょう。
野菜・果物なども使う前に表面をよく洗う癖をつけるとよいですね。
サラダなど生食するものは特に念入りに洗ってください。
また布巾やタオルも清潔なものを準備し、汚れたら取り替えて。
調理をするときは、「サラダのように生食するものは調理台がきれいなうちに作って冷蔵庫に入れる」・「野菜などを先に切り、肉や魚などは出来るだけ最後にする」など作る手順を考えてから調理をすると食中毒のリスクを軽減出来ます。
また、食材は中までしっかりと加熱(中心温度が75℃1分以上目安)を意識します。
特に電子レンジを使うときは加熱ムラが起こりやすいので注意しましょう。
途中で体調が優れなくなったときは、無理せずに休憩しましょう。
そのときは、しまっておける食材は冷蔵庫に入れるとよいですね。

〇食事
器などは清潔なものを使い、食事前の手洗いを忘れずに行いましょう。
「作ったらすぐに食べる」を基本とし、室温に長時間放置しないように気をつけて。
料理が残ったり、作り置きをしたものを保存する場合は、手を洗ってから清潔な保存容器に小分けにして入れ、手早く冷まします
食べるときは中までしっかり再加熱(中心温度75℃1分以上目安)を忘れずに。
「作って時間が経ってしまったもの」・「においや状態が怪しい」場合は、思い切って処分することも食中毒を予防するうえでは大切です。

いかかでしたか。
食中毒は妊娠期間だけでなくすべての人に起こる可能性があるので、予防を日ごろから習慣づけるとよいですね!

Text byさゆり/食育インストラクター