和食の基本のお出汁をみてみよう②

世界中で注目されはじめた日本食。
それと同時に『お出汁』にも注目が集まっています。
今回は料理をする時の出汁の魅力を探ります。

【世界的アイドル!?一番出汁】

和食の世界で一番「」のある料理が「椀もの」だと言われています。
椀もの」は、お出汁を調味した「お吸い物」の中に旬をいかして調理した具材を入れた料理で、昆布とかつお節でとった出汁を主に使います
出汁のとり方は様々で、お店ごとに原材料の昆布やかつお節の産地や品質にこだわったり、加熱や時間のかけ方も千差万別です。
いずれも、大まかに言うと昆布は『昆布臭さ』が出るのでうま味だけ抽出するよう煮だして沸騰する前に取り出します。
沸騰させたら薄く削ったかつお節を入れて火を止めて濾すという工程をたどり、目指す完成形は『最高のうま味と香り』をもった出汁です。
この出汁に世界の人たちが魅了されている一方で、最近の日本人には一番出汁を味わう機会が少なくなっているようです。
和食が無形文化遺産になった今、伝統の味を日本人自身が見直す時がきているのかもしれません。


【いい味だしてる身近なアイドル二番出汁】

昆布とかつお節は一番出汁を取っても捨てないでくださいね。
まだまだうま味が隠れているのです。
昆布とかつお節を一緒に鍋に入れて水から煮出し沸騰後に数分煮て、かつお節をひとつかみ加えた『追いがつお』をして火を止めれば『二番だし』の完成です。
これを普段食べる煮物や鍋物に使えば深いうま味が加わったお料理になるでしょう。
さらに煮だした『三番出汁』を野菜の下ごしらえに使うこともあるようですが、ご進物などで肉厚でうま味のしっかりした昆布や風味豊かなかつお節をいただいた時にチャレンジしてみるのがよいでしょう。

【個性豊かなご当地系アイドル?いろいろ出汁】

王道の出汁が、昆布とかつお節でとったものだとすれば、シイタケや煮干しなどでとった出汁はご当地系と言えるかもしれません。
もともと『出汁』はうま味を抽出した汁のことですから様々な原材料から出汁がとれます。
例えば、煮干しと言っても片口イワシを原料にしたものやウルメイワシを使ったもの、トビウオを使った「アゴ」の煮干しもあります。
さらに精進料理で使う植物系の材料を使った出汁では大豆や「かんぴょう」から出汁をとることもでき、それぞれのうま味をいかした料理に仕上げます。

このように出汁の原材料はたくさんの種類があり、おいしさの秘密はいろいろありますが、詳しくは次回、お伝えしたいと思います。

Text by ゆず/食育インストラクター