和食の基本のお出汁をみてみよう①

最近、「だし汁」と表記しているレシピを見かけますが疑問に思う方はいらっしゃいませんか。
これは日本人にとって「出汁(だし)」が欠かせないものだからこそ、色々な便利な形態の商品が生まれ、そこから派生した言葉だと考えられます。

【日本人の出汁の常識…?】

「だし」というと、どんなものを思い浮かべますか?
液状の形態を思い浮かべる方と、最近は顆粒を思い浮かべる方とがいらっしゃるようです。
そもそも「出汁」というのは漢字の通り、肉や魚、野菜などからうま味の成分を「抽出した汁」のことを言います。
でも、技術が進歩して手軽に使える形態が広まり、それが当たり前となった今、顆粒と液状とを区別するために「だし汁」という言葉が生まれたのも当然の流れなのかもしれません。
手料理する際に気軽に使えて大変便利なのですが、個人的には市販の顆粒だしを推奨量通り使うと、うま味と塩味がはっきりしているため、どんな料理も似た味になってしまう気がします。
素材を生かすように炒めたり煮たりして味を引き出した後で、全体のうま味のまとめ役として隠し味程度に顆粒だしを加えるのがおすすめです。


【忙しい中でもお出汁の味わいを】

昔からよく言われる出汁の取り方は、昆布を水から煮だして途中で昆布を引きあげ、沸騰したらかつお節を入れて火を止めて沈むまで待ち、濾して使用するというものです。
確かに美味しいのはわかるけど、仕事から帰って料理を作る人には、時間がないから無理だと思われる方もいらっしゃるでしょう。

そこで、「水出し」にチャレンジしてみませんか?
チャレンジといっても難しいものではありません!
昆布または出汁パックに詰めたかつお節を、水に浸けて5~6時間冷蔵庫で寝かせておくだけです。
分量の目安は水1リットルに対して昆布だと幅5cm長さ20~30cm(20~30g程度)、かつお節なら200mlの計量カップ1.5~2杯(15~20g程度)を目安にお好みで調整しましょう。
作った出汁は2日程度で使い切るか、製氷皿に入れてキューブ状に固めて冷凍保存するのがおすすめです。
なお、漬け時間が過ぎた昆布やかつお節は取り出して、いったん冷凍保存しておきましょう。
何日分かたまったら解凍し、昆布は3cm角切りにして、かつお節と一緒にみりんや醤油と甘辛く炒りつければ、自家製ふりかけの完成です。
ごはんが進むこと間違いなし!の一品に仕上がりますよ。
「和食」「出汁をとる」と考えると大変なことに感じますが、まずは水出しから始めてみませんか。

Text by ゆず/食育インストラクター