世界一硬い食品!?“かつお節”の魅力に迫る!

和食の出汁をとるのに欠かせない“かつお節”は、かつおの重要な加工品のひとつです。
戦国時代には「勝男武士」という字が当てられ、縁起物として珍重されていました。
今回は、知っているようで知らない?“かつお節”のお話です。

【かつお節の種類】

かつお節は、大きく4つに区分されます。

生利(なまり)節
かつおを煮熟したもの、あるいは一度焙乾したもの。

出汁とりには使用せず、煮付けやほぐし身として食べられています。
※煮熟…高温の湯で煮込むこと
※焙乾…燻すこと

●荒節(水分:約19~22%)
焙乾によって、表面に燻煙成分がついたもの。
コクのある味わいが特徴です。
この状態で市販されることは少なく、ほとんどが削り節や粉末の原料になります。

●裸節
“枯節”を作るために、“荒節”の燻煙成分や脂肪を削り、成形したもの。

この状態で市販されることはありません。

●枯節(水分:約14~17%)
“荒節”に「カビ付け」をして、発酵・熟成させたもの。

カビ付けは「一番カビ」を落とし、再びカビ付けするという作業を繰り返し行ないます。
一般的に、二番カビまで付けたものを「枯節」四番カビ以上付けたものを「本枯節」と呼びます。
「本枯節」は、手間がかかるため高級品であるのと同時に、「世界で最も硬い食品」としてギネスブックに登録されています。
“荒節”に比べて、香り・味ともにまろやかで、上品なのが特徴です。


【どうしてカビを付けるの?

かつお節にカビ付けするのは、主に乾燥の度合いを高めるためです。
カビは生育に水分を多く必要とするため、その性質を利用して、荒節の表面に繁殖させることで荒節の内部に残った水分をカビが吸い上げます。
ここで用いられるカビは、「かつお節カビ」というみそやしょうゆに利用される麹カビの仲間で、発酵中にさまざまな酵素を産生します。
それらの酵素には、荒節に含まれる脂質や魚臭さを分解する働きがあり、荒節の強い燻煙香も甘い芳香性のある成分に変わります。
また、乾燥の度合いが高まる事で保存性が高まり、うま味が凝縮されるという効果もあります。

【かつお節の栄養

かつおは一生休むことなく、泳ぎ続ける回遊魚。
そのエネルギッシュなかつおを原料とするかつお節は、私たちに元気を与えてくれる健康食として注目されています。
そんなかつお節には、どのような栄養があるのでしょうか?

●良質なたんぱく質が豊富!
かつお節100g中にたんぱく質は約80g含まれ、体内で生成する事ができず食事から摂る必要がある必須アミノ酸9種すべてをバランスよく含んでいます。
健康な体づくりには欠かせませんね!

●うま味成分がたっぷり!
かつお節のうま味は、イノシン酸と約20種類に及ぶアミノ酸の相乗効果によって生み出されています。
イノシン酸は日本料理を代表する“3大うま味成分”の1つで、現在では多くの方が「かつお節といえばイノシン酸」と連想するほど、身近なものになっています。
イノシン酸の役割はうま味だけでなく、全身の細胞を活性化させ、子どもの成長促進やアンチエイジングに働きます。

●ペプチドも見逃せない!
近年、ペプチドという物質が話題になっています。
ペプチドとは、アミノ酸がいくつも繋がったもののことですが、カツオは短いペプチドを多く含み、体に吸収されやすくなっています。
乳酸の分解を促進して疲労回復を助けるほか、集中力がアップし、持続効果が長くなると考えられることから、スポーツ選手にも注目されている物質です。

【生鮮の肉・魚・卵にはない、かつお節の魅力とは!?

かつお節は肉・魚・卵と同様、たんぱく質を構成するアミノ酸をバランスよく含んでいますが、肉・魚・卵にはない魅力があります!
それは、“優れた保存性”
かつお節の場合、市販の袋入り(酸化防止のための窒素が充填されているもの)なら、未開封で製造日から約1年、削る前の状態なら約2年、常温で保存できます。
動物性のたんぱく質で、これほど保存性が高く、なおかつ調理をしなくても美味しく食べられるものは、世界でもそう多くありません。
常備しておけば忙しい時や体調不良のときに、ご飯にパッと振りかけるだけで栄養が摂れ、災害時の非常食としても役立ちます

皆さんもかつお節を上手に活用してみてくださいね☆

Text by ろい/食育インストラクター