知っておきたい日本の郷土料理 徳島県 茶ごめ

日本は地域ごとに多彩な風土があり、郷土料理もさまざまです。
今回は徳島県から、茶ごめをご紹介します!

【「茶ごめ」だけどお茶じゃない。茶ごめの茶は何の食材?】

茶ごめは徳島県の郷土料理のひとつで、炊き込みご飯の一種です。
その字だけ読むとついついお茶の葉を想像してしまいますが、茶ごめを作るときに茶葉を利用することはありません。(※炊き上がった茶ごめをお茶と一緒に提供することは多いそうです)
茶ごめは乾燥そら豆をじっくり煎ってから煮たゆで汁と、ザラメ糖を米と一緒に炊いて作ります
新しいそら豆の収穫期のときに、残っている古いそら豆を食べる方法として作られたのが始まりとする説が有力です。
現代でいうところのローリングストックの考え方に似た、食材を無駄にしないエコな食べ方だったのですね。
そら豆の旬は田植えの時期と近く、茶ごめは地元の農家の間で作られていたのだそう。
一つ一つ手植えする田植えは全身を使う重労働なので、しっかり甘く炊いた米とそら豆でつくる茶ごめは作業で疲れた体を労わるエネルギー源として最適だったのかもしれません。
新鮮なそら豆は鮮やかな緑色が特徴ですが、茶ごめは乾燥そら豆をよく煎って使用するので、炊き上がりのご飯の色は茶色っぽく炊き上がります。
ザラメを入れて甘めに仕上がるので、茶ごめと一緒にたくあんや梅干しなどの塩気のある漬物と一緒に食べられることもあります。
甘みと塩味で味にメリハリがつくので、お好みの漬物と合わせて食べるのもよさそうですね。


【茶ごめ】

<材料> 調理時間:60分(炊飯時間を除く)
そら豆(乾燥)・・100g
白米・・3合
Aザラメ糖・・60g
A塩・・小さじ1/3
Aそら豆のゆで汁・・2・2/1カップ

<作り方>

  1. 白米は洗ってザルに上げておく。
  2. そら豆はさっと洗って水気をきり、フライパンに入れて弱火で煎る。
    全体に焼き色がついて茶褐色になったら取り出す。
  3. 鍋に(2)とひたひたになるぐらいの水を入れて火にかけ、沸騰したらふたをして30分ほどおく。
    そら豆を取り出し、粗熱が取れていたら皮をむく。
  4. 炊飯器に(1)・(3)・Aを入れて通常通りに炊飯する。

<ポイント>

  • 皮をむいたあとのそら豆は崩れやすいので、炊き上がったご飯を混ぜるときは注意しましょう。
  • あまったら1食分ずつ小分けにして冷凍することで、1カ月程度は保存できます。

茶ごめのそら豆は乾燥したものを使用するので、生のそら豆とは栄養価が異なります。
ビタミンCは乾燥そら豆には含まれませんが、食物繊維やビタミンB群・葉酸といった栄養素はしっかり摂ることができます。
茶ごめはゆで汁を利用するので、煮汁に溶け出しやすいそら豆の栄養素を無駄なく摂れるのも見逃せませんね!

茶ごめの食べ方が広まった経緯から、春先の時期に食べるものと思われがちです。
しかし、乾燥そら豆は長期保存できる食品なので、季節を選ばずに調理ができます。
お弁当やおにぎりなどにして食べてもおいしく、塩気のあるおかずが引き立つので、乾燥そら豆が手に入ったら、ぜひ茶ごめを作ってみて下さいませ☆

Text by はむこ/食育インストラクター