毎日の過ごし方がキモ?認知症あれこれ

毎日の過ごし方がキモ?認知症あれこれ

「認知症」という言葉が一般的になって久しい今でも、特効薬は未だに存在せず、2025年には患者数が700万人に上るという推移が厚生労働省から出されています。
実際にこの推移に大きなズレがなく進んだ場合、将来的には高齢者の5人に1人が認知症という計算になるため、気になっている方も多いのではないでしょうか。
今回はそんな認知症と食べ物についてのお話です。

【何を注意するべきなのか??】

認知症を予防すると言われる食べ物、食べるのを控えた方がいい食べ物、現在はどちらも多数挙げられています。
特に、認知症を予防するという名目で取り上げられる食べ物の数は増える一方です。
いったいどれを食べればいいのか目移りしてしまう方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、一言で認知症と言っても、その原因は様々ですし、症状の起こる脳の部位も違っています
全ての認知症を改善できる特効薬が無いのと同じく、これを食べれば認知症にならないという万能の食べ物はないと考えて頂いた方がいいでしょう。
そのため、認知症に効果のある食事で注意するべきなのはバランスといえます。
食事のバランスというと「認知症なのに生活習慣病の予防について聞いているみたいだ」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
それもそのはず、生活習慣病と認知症は決して無関係ではないんです。
例えば動脈硬化を患っている人は脳の血管も詰まりやすくなるので、脳血管性認知症の発症リスクが高まる傾向にあるといったような例が挙げられます。


【メリハリのある生活が肝心】

一概にバランスに気を付けろと言われても、漠然としていてイメージがわかない!という方もいらっしゃるかと思います。
認知症予防という点に関してだけで言えば、抗酸化ビタミンを含む緑黄色野菜を使った料理や、魚の脂に含まれる不飽和脂肪酸は一定の効果があるとされています。
ですが、だからといって常に魚を食べ続けている状況は偏りを招いてしまいます。
それに、同じような食事や調理法ばかりでは飽きてしまい、食欲そのものが落ちてしまうことも…!
様々な種類の食品を食べるようにしましょう。
特に野菜やきのこ、海藻類は意識して摂るように。
そしてお腹がいっぱいになるまで食べたいところをグッと我慢して、腹7~8分目ぐらいで抑えておくのも大事なポイントです。
そして覚えておいて頂きたいのは、認知症予防は食事だけで行うものではないということです。
例えば、アルツハイマー型認知症は身体活動が低い、つまり運動習慣がない方が罹りやすい傾向があるとされています。
運動習慣を持たないまま食事にばかり気を使っても、身体活動を原因とするリスクを減らすことはできませんよね。
これは、逆に考えれば「食事だけで予防しようとしなくていい」とも言えます。
例えば運動をした日は自分の好きなものを食べ、そうでない日は魚や野菜を中心とした食事にするといったメリハリをつけることで、運動へのモチベーションを高めることができるかもしれません。

ちなみに、認知症予防のための食事には「目新しさ」も大事だという説があります。
これまで食べたことのない食材や馴染みの薄い調理法に挑戦すると、脳が新しい情報を得ようと働くためとのことなので、認知症予防の食事を始めようと思われる方は、あまり食べたことのない食材を使ってみることから始めてみてはいかがでしょう?

Text by はむこ/食育インストラクター