なが~く密着度の高いお付き合い!?日本人と納豆の変遷をみる

腸活ブームで、スーパーの納豆コーナーの勢力が増すのを感じる今日この頃。
歴史をたどってみると、納豆が身近にあるのは最近のことではなさそうです。

【日本人にそっと寄り添う納豆!?

納豆がいつから食べられていたか、実は明確な記録は見つかっていません。
私たちがよく知る糸を引く「糸引き納豆」は、ワラに住み着く菌と適度な湿気、そこに煮豆が包まれていれば出来てしまうもので、あまりにも自然と身近に存在していたために記録がないのかもしれません。
今のところ、弥生時代頃には似たようなものがあったと言われています。
ただ、それが日本固有のものかというと、東南アジア方面が起源ではと唱える説もあり、正確なことは分かっていません。
いずれにしても、江戸時代には作り方や食べ方が掲載された『合類日用料理抄』という本が出ていたり、ザルにのせた納豆を売り歩いていた記録が残っているようですから、『日本の伝統食』とは言えそうです。

【販売方法も時代を映します

今では販売されている商品を購入するのが当たり前ですが、かつては家ごとに作っていたそうです。
そのため、作り方に地方色があり、雪の中に穴を掘って保管した「雪なっとう」湯の熱でつくる「湯納豆」などがあったと言われています。
その後、江戸時代には「納豆売り」が登場しました。
当時、ザルにワラと煮豆をのせて「室」と呼ばれるところで発酵させた後、売り手がかついで町を歩き、買いたい人は丼を持って量り売りしてもらうというスタイルだったそうです。
店頭売りもあったようですが、いずれも冷蔵庫がなくても発酵が進みにくい冬の風物詩でした。
やがて江戸時代も後期になると夏の早朝に納豆を売るようになってきたようです。
そして、小分けにして売られるようになったのは明治に入ってからで、ワラに包んだ納豆が販売され大ヒットしたそうです。
その後、木を薄く削った経木や紙などに包まれた時代を経て、現在のような包装容器に変わり、食品店へ行けばどこでも手に入るようになりました。
今では和食ブームにのって海外でも食べられるようになり、模造品も造られるようになったため、国際規格を定めようという動きさえあります。


【現代の納豆ブーム

最近の発酵食ブームで家庭用の発酵器具を購入した人の中には、納豆作りに挑戦する人も出てきたようです。
作り方はわりと単純で、蒸した豆に熱いうちに納豆菌をつけ、最適な温度で保温すれば完成します。
各家庭ではもちろん、メーカーにより味が違うのは、実は納豆菌は2000種類以上もいて、それぞれがつくりだす香りやうま味、糸引きの加減が異なるためです。
さらに発酵時間などによっても変わるので、このさじ加減に手作りユーザーはハマるようですよ。
そして何より納豆ブームを支えているのは納豆に期待する健康効果ですよね。
血液中の血栓を溶かすナットウキナーゼが含まれているため血液をサラサラにする働きや、ネバネバの成分がコレステロール値を下げると期待できます。
また、原材料の大豆よりも多く含まれているのが、代謝に欠かせないビタミンB2やカルシウムの吸収を助けるビタミンKです。
そもそも、納豆菌には整腸作用があるため大腸がん予防効果も期待できます。
なお、脳梗塞や心筋梗塞の治療薬を処方されている方は避けた方がよいので、覚えておきましょう。

中には食味が苦手という方もいます。
私も子どもの時は苦手でしたが、大人になった今は美味しく食べられるようになりましたし、最近は食べやすい商品も増えましたよね。
健康効果に期待しつつ、美味し文化としてこれから先も食べていきたいですね。

Text by ゆず/食育インストラクター