郷土料理から地域の食文化を知ろう!「兵庫県 明石焼き」

兵庫県のソウルフード!「明石焼き」についてのお話です。

【兵庫県の明石市ってどんなところ?】

明石市は瀬戸内海に面している、自然豊かな地域です。
なかでも明石海峡は潮流が速く、身の引き締まった魚が育つうえ、魚たちにとって栄養が豊富な漁場です。
また、「昼網」と呼ばれるセリ市により、朝に水揚げされた魚が昼ごろには鮮魚店や料理屋に届けられ、鮮度の高い魚介類が味わえます。
明石のタコは、速い潮流に鍛えられた太くて短い脚が特長で、歯ごたえのある食感が魅力です!
干しダコやタコ飯、せんべいなどの名産品をはじめ、刺身や天ぷらなど、さまざまな料理で楽しめます。

【「明石焼き」ってどんな料理?】

明石焼きは兵庫県の明石を代表する名物料理で、タコ焼きのルーツとも言われています。
地元では「玉子焼き」の名で親しまれています。
見ためはタコ焼きに似ていますが、実は生地や具材などが異なります。
どのような違いがあるのか見ていきましょう!

●明石焼き
具材:タコのみ
生地:卵がメイン。「じん粉」が使われている
かたさ:フワッとやわらかい
食べ方:冷たい出汁につけて食べる

●タコ焼き
具材:タコ、青ねぎ、紅しょうがなど
生地:小麦粉がメイン
かたさ:表面がこんがりカリッと焼かれている
食べ方:ソースを塗り、青のりやマヨネーズをかけて食べる

ここで注目したいのが、明石焼きで使われる「じん粉」!
「じん粉」とは小麦粉のでんぷんを精製したもので、「浮き粉」とも呼ばれています。
加熱してもかたくならないという特徴があります。
明石焼きがやわらかく、ふんわりとした食感になる秘密は「じん粉」にあったのですね☆

【明石焼きのルーツ】

江戸時代の末期から明石の重要な産業のひとつとして、「明石玉」が作られていました。
「明石玉」とは、卵の白身を接着剤に硝石などをかためて作られた模造サンゴのことで、かんざしなどの装飾品に使われていました。
明石焼きの起源は諸説ありますが、当時人気を得ていた「明石玉」を作る過程で大量に残った卵の黄身と小麦粉、さらに明石でたくさん捕れるタコを入れて作られたものが、明石焼きの始まりと言われています。
当時の明石焼きは1個売りもしており、何もつけず、こんがりと焼いただけのものを販売していました。
その後、その場ですぐ食べられるよう、冷たい出汁につけて食べる形になりました。


【実際に明石焼きを作ってみよう!】

<材料(4人分)> 調理時間:40分
ゆでダコ(脚)・・1本(150g)
薄力粉・・60g
じん粉・・60g
出汁・・2カップ
溶き卵・・3個分

【つけ汁】
A出汁・・1カップ
A薄口しょうゆ・・小さじ1
三つ葉(2cm幅に切る)・・1/2束

サラダ油・・適量

<作り方>

  1. タコはぶつ切りにする。
  2. 粉類は合わせてふるいにかけ、出汁・溶き卵を加えてしっかり混ぜる。
  3. タコ焼き器を熱し、内側にサラダ油をまんべんなく塗り、(2)の生地を8分目くらいまで流し入れ、(1)のタコを1つずつ入れる。
    ※時間が経つとでんぷんが沈んでくるので、使う都度必ずかき混ぜてください。
  4. 表面が膨らみ、周りがかたまってきたら形を丸く整えながら菜箸などでひっくり返し、ふっくらと焼く。
    ※生地がふっくらしているので、竹串など先が細いものでひっくり返すと形が崩れる可能性があります。菜箸や割り箸などの、先端がある程度太いもので返しましょう。
  5. つけ汁を作る。
    鍋にAを入れて火にかけ、ひと煮立ちしたら火を止めて三つ葉を加える。
  6. 器に(4)を盛り、(5)のつけ汁につけていただく。

卵の風味豊かなフワフワの生地と、コリっとしたタコの食感が楽しめます!
また、つけ汁につけて食べると、上品な味わいが口いっぱいに広がりますよ♪

【タコの栄養を見てみよう!】

●タウリン
血圧やコレステロール値を下げて、肝臓の機能を高める働きがあるほか、疲労回復効果も期待できます。

●ビタミンE
抗酸化作用があり、老化予防のほか、血行促進に役立ちます。

●銅
ヘモグロビンの生成を助け、貧血予防に効果があります。

このほか、うま味成分の一種で、血中コレステロールを低下させるベタインなども含んでいます。

 いかがでしたか?
明石焼きはシンプルな材料で作りやすいので、皆さんもぜひ、お試しあれ☆

Text byろい/食育インストラクター