種類いろいろ、砂糖を上手に活用しよう!

3月10日は語呂合わせで「砂糖の日」
砂糖は料理に甘みをつけるのに大活躍の調味料ですが、それだけではありません。
今回は、砂糖の種類や覚えておきたい調理効果についてのお話です。

【砂糖はどのようにして日本へ伝わったの?】

砂糖の起源は諸説ありますが、紀元前4世紀にインド遠征をしていたアレキサンダー大王が砂糖の原料である「サトウキビ」を発見したという記述から、インドで誕生した可能性が高いとされています。
日本に伝わったのは奈良時代
そのころはまだ食用としては多用されておらず、主に薬として扱われていました。
その後、ヨーロッパでサトウキビの栽培と砂糖の製造が始まり、茶の湯をきっかけに日本でも室町時代に砂糖の輸入が行われるようになりました
江戸時代に入ると日本でも砂糖の生産がはじまり、明治時代には一般の人にも手に入る調味料となりました

【砂糖の種類】

砂糖の主な原料は「サトウキビ(甘藷)」や「サトウダイコン(甜菜・ビート)」です。
これらをしぼって不純物を取り除き、煮立てながら濃縮し、結晶化させて作られています。
製造法の違いにより、大きく「分蜜糖」と「含蜜糖」に分けられます。

分蜜糖は、原料となるサトウキビなどのしぼり汁「糖液」を結晶化させ、残りの「糖蜜」を分離したものです。
グラニュー糖や中ザラメなどの「ザラメ糖」、上白糖、三温糖などの「車糖」、角砂糖、粉砂糖などの「加工糖」などがあります。
含蜜糖は、糖蜜を分離しないで、原料となるサトウキビなどの糖液をそのまま煮詰めて結晶化したものです。
黒砂糖やきび砂糖、和三盆などがあります。


【料理ごとに使い分けたい、砂糖の特徴】

■上白糖
結晶が細かく、しっとりソフトな味わいが特徴です。
ほどよい甘みとコクでどんな料理にも使いやすい、日本でもっとも一般的な砂糖です。

■三温糖
加熱によってついた薄い黄褐色が特徴です。
カラメルの風味を持ち、上白糖より甘みを強く感じます。
煮物やみそを使った料理に加えると味に深みとコクを与えてくれます。

■グラニュー糖
小さな結晶でサラサラしています。
スッキリとした甘さでお菓子はもちろん、料理にも幅広く使えます。
世界では、グラニュー糖が多く使われています。

■粉砂糖
グラニュー糖や白ザラメを粉砕し、パウダー状にした砂糖です。
水やバターに溶けやすいのでお菓子作りにおすすめです。

■黒砂糖
サトウキビのしぼり汁をそのまま煮詰め、かためた黒褐色の砂糖です。
独特の風味と濃厚な甘味があります。
和菓子で使う黒蜜は黒砂糖を水に溶かして煮詰めたものです。

【いつもの料理がワンランクアップ!?覚えておきたい砂糖の調理効果】

砂糖には料理に甘みをつけるだけではなく、さまざまな調理効果が期待できます。
今回は普段の料理に活用しやすい5つの効果をご紹介します。

①肉をやわらかくする
たんぱく質は加熱するとかたくなる性質をもっていますが、砂糖にはたんぱく質と水を結びつける作用があり、肉などのたんぱく質(主にコラーゲン)を含む食材がかたくなるのを防ぎます
そのため、肉の下ごしらえのときに砂糖をあらかじめもみ込んでおくと、やわらかく仕上げることが出来ます。
冷めてもかたくなりにくいので、お弁当のおかずにも向いています。

②卵をふわふわにする
卵のたんぱく質に含まれる水分が砂糖によって吸収されることで、たんぱく質のかたまる温度(凝固温度)が高くなり、卵がゆっくりとかたまります。
それにより、卵焼きやオムレツがふんわりと仕上がります
また、メレンゲやホイップクリームを作るときに砂糖を加えますが、これはたんぱく質の水分を砂糖が抱え込むことで泡を安定させて泡立ちをよくし、きめ細かな状態を保ってくれるからです。

③でんぷんのやわらかさを保つ
ごはんや餅などのでんぷんを含む食品を加熱し、そのまま時間を置いておくと次第に粘りを失い、かたくなってしまいます。
これはでんぷんの老化によるものですが、ここにあらかじめ砂糖を加えておくとやわらかい状態を長く保つことが出来ます
すし飯や餅菓子などがかたくならないのはこの効果によるものです。

④料理においしそうな色と香りをつける
砂糖とアミノ酸(たんぱく質)を加熱するとメイラード反応を起こし、メラノイジンという褐色色素が生まれます

これがおいしそうな焼き色とこうばしい香りの正体です。
クッキーやパン、ホットケーキなどのおいしさや見た目にも一役買っています。

⑤腐敗を防止する
砂糖は水に溶けやすい性質だけでなく、食材の水分を抱え込んで離さないという性質があります。
カビや細菌など、食材を腐敗させる微生物は、水がないと増殖できません。
その微生物の水分を奪い、活動させなくすることで腐敗をを防ぎます
この効果を最大限にいかしたのがジャムです。

毎日使う調味料だからこそ、砂糖と料理のさまざまな組み合わせを試して自分好みの味を見つけるのも楽しいですね。
普段の料理作りのヒントになれば嬉しいです。

Text byまち/食育インストラクター