日本だけではない!?世界中で愛されている「タラ」の話

タラは漢字で魚偏に雪で「鱈」と書くように、冬を代表する魚です。
日本では鍋料理やソテーなどでよく食べられていますが、世界中でさまざまな料理に使われています。

【タラの種類】

タラは世界中に生息していて、その数500種ほどとも言われています。
日本近海では、「マダラ」、「スケトウダラ」、「コマイ」が生息していますが、切り身として出回っているそのほとんどがマダラです。
マダラは身だけではなく、精巣(白子)がおいしいのでも有名ですね。
特に白子は、1~2月の時期がよりおいしいと言われているので、ぜひ、味わいたいものです。
また、タラと言えば「たらこ」も有名ですが、一般的にたらこと呼ばれているものは、スケトウダラの卵巣を指します。
スケトウダラの身は、あまり切り身などでは出回っておらず、すり身にして練り物などによく使われています。
コマイは、北海道や東北地方では食卓に登場するほどメジャーで、生だけでなく干物もよく食べられているそうです。
しかし、ほかの地域ではほとんど出回らず、あまり知られていません。

【マダラの選び方と保存方法】

マダラは、脂が少なく、やわらかくて淡白な味が特徴です。
あっさりとした味ですがうま味はたっぷりで、定番の鍋料理のほか、ムニエルやホイル焼き、フライなどの料理にもよく合います。
生の切り身を購入するときは、身の幅が広く、しっかりとハリがあるもの、ピンクがかっていて透明感のあるものを選びましょう。
すぐに食べないときには、身に塩をふってペーパータオルで包み、ラップをして冷蔵庫で保存するのがおすすめです。

【タラの嬉しい効能】

タラの主成分はたんぱく質です。
脂質が少なく低エネルギーなため、ダイエット中の方にもおすすめの食材です。
突出した栄養素は少ないものの、ビタミンやミネラルがまんべんなく含まれています。
ビタミン類では、ビタミンB群、E、Dが多く、ビタミンB群は健康な髪の維持に、ビタミンEは血行をよくする働きをします。
ビタミンDは、体内でカルシウムやリンの吸収を促し、骨や歯を丈夫にしてくれます。
たらこで注目したいのは、体内でビタミンAとして働くレチノールです。
レチノールは、口やのどの粘膜を丈夫にして風邪や感染症にかかりにくくしたり、肌の乾燥を防いでくれる成分です。
ほかにもコレステロール値を下げ、肝機能アップが期待できるタウリンも含まれているなど、淡白な味でありながら、隠れた魅力がいっぱいの魚です。

 


【世界のタラ料理】

■フィッシュ&チップス(イギリス)
衣をつけて揚げた白身魚のフライにフライドポテトを添えた、イギリスを代表する料理です。
白身魚のフライに、タラやカレイ、オヒョウなどの白身魚が使われています。
モルトビネガーと塩をかけて食べるのが一般的です。

■バッカラ マンテカート(イタリア)
イタリア語でバッカラは「干しダラ」、マンテカートは「練る、混ぜる」を意味する言葉で、水で戻した干しダラを牛乳などで煮たあと、よく混ぜてペースト状にした料理です。
カリッとトーストしたバゲットなどと一緒によく食べられています。

■タラのブランダード(フランス)
ブランダートは、フランス語で「混ぜる」を意味します。
タラを牛乳・じゃがいもと一緒に煮込み、ペースト状にした料理です。
イタリアのマンテカート同様、バゲットなどと一緒にいただきます。
そのままはもちろん、あまったら衣をつけてコロッケにして食べるのもおすすめです。

■バカリャウ(干しダラ)料理(ポルトガル)
バカリャウはポルトガル料理に欠かせない食材のひとつです。
そのバカリャウを使った食べ方は、365日毎日違ったメニューを出せるほど豊富と言われています。
干しダラと千切りフライドポテトを炒めて卵でとじた「バカリャウ・ア・ブラス」、干しダラとクリームソースを合わせて表面をこんがりと焼き上げた「バカリャウ・コン・ナタス」、干しダラがたっぷり入ったコロッケ「パシュテイシュ・デ・バカリャウ」などが有名です。

■プゴク(韓国)
「プゴ」は韓国語で干しスケトウダラを意味する、干しダラを入れてじっくりと煮込んだあっさり味のスープです。
韓国では専門店があるほど定番のメニューで、二日酔いや美容にも効果があると言われています。

鍋料理に入れるのはもちろんおいしいですが、時間のあるときに世界のタラ料理に挑戦してみるのも面白いですね

Text byまち/食育インストラクター