彩りだけではない!今がおいしい「三つ葉」の話

お吸い物や丼ものなど、料理に香りや彩りをもたらしてくれる三つ葉は、日本料理に欠かせない野菜です。
料理のアクセントとして使われがちですが、サラダやお浸し、天ぷら…と、さまざまな料理との相性も抜群です。

【三つ葉とはどんな野菜?】

1本の茎に3つの葉がつくことからこの名がついた三つ葉は、日本や東南アジア原産のセリ科の香味野菜で、「せり三つ葉」とも呼ばれています。
日本各地に自生しているので古くから食べられてきましたが、栽培されるようになったのは、江戸時代以降と言われています。
三つ葉は大きく、軟白栽培した三つ葉の根を切った「切り三つ葉」、根がついたまま収穫された「根三つ葉」、そして主に水耕栽培で作られ、根元まで緑色をしている「糸三つ葉(青三つ葉)」の3つに分けられます。
糸三つ葉は一年中出回っていますが、切り三つ葉は12月~2月ころ、根三つ葉は3月~5月ころと今がおいしい季節です。

【おいしい三つ葉の選び方】

切り三つ葉は、葉が淡緑色で、茎が白いものを選ぶようにしましょう。
根三つ葉・糸三つ葉は、葉先までハリがあり、色が鮮やかなもの、茎がピンとしているものが良品です。
いずれも傷みやすく、あまり日持ちはしないので、購入したら早めに使い切るようにしましょう。
あまったら、湿らせたペーパータオルで包み、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室に立てて保存してください。
刻んで生のまま、もしくはかためにゆでて冷水に取り、水気をしぼって食べやすい長さに切ったものをラップなどに包んで冷凍することも可能です。
ただ、香りは弱くなるので、冷凍せずに使い切るのがおすすめです。


【三つ葉の嬉しい効能】

三つ葉はβ-カロテンをはじめ、ビタミンKや葉酸などのビタミンを多く含んでいます
β-カロテンは、体内で必要に応じてビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康維持やがん予防に役立ちます。
ビタミンKは出血したときに血を止める働きのほか、カルシウムを骨に沈着させる働きがあります。
葉酸は貧血を防ぐだけでなく、胎児の発育にも欠かせないので、女性にぜひ積極的にとっていただきたい栄養素です。
そのほか、免疫力アップや美肌作りに役立つビタミンC、高血圧の予防やむくみの改善に働くカリウムなども含まれます。
さらに三つ葉特有の香りは、食欲増進やストレス緩和に効果が期待できます。

【これらの栄養素を効率よく摂るには?】

ビタミンは、「脂溶性ビタミン」と「水溶性ビタミン」に分けられ、これらを効率よく摂るには下記の方法がおすすめです。

脂溶性であるβーカロテンとビタミンKは、油脂と組み合わせると吸収率がアップします。
天ぷらにしたり、ごまなどの種実類と合わせた和え物、油やベーコンなどと一緒にサッと炒めるとよいでしょう。

水溶性である葉酸とビタミンCは、水に溶けやすい性質があり、調理法によって残存量が変わります。
栄養面だけを考えるのであれば生食がベストですが、たくさん食べるのは難しいですよね。
そこでおすすめなのが煮汁ごといただけるスープや煮込み料理です。
煮汁に溶け出した栄養素もあますことなく摂ることが出来ますよ。

【たっぷり三つ葉と鮭の混ぜごはん】

三つ葉がたっぷり食べられる、かんたん混ぜごはんです。
あとから加えた三つ葉の香りがたまりません!

<材料> 調理時間:15分(炊飯時間は除く)
米・・2合分
昆布(5cm角)・・1枚
酒・・大さじ1
三つ葉・・1束
甘塩鮭・・2切れ
炒り白ごま・・大さじ1

<作り方>

  1. 米は洗ってザルに上げ、水気を切る。
  2. 炊飯器の内釜に(1)と酒を入れ、炊飯器の2合の目盛まで水を加える。
    昆布をのせ、普通に炊く。
  3. 三つ葉は2cm長さのざく切りに、鮭はグリルなどでこんがりやき、皮と骨を外し粗めにほぐす。
  4. ごはんが炊き上がったら昆布を取り出し、三つ葉を入れてふたをし、1分蒸らす。
  5. 鮭・ごまを入れてサックリ混ぜる。

鮭をアジやサバの干物に変えてもおいしいですよ。

3月28日は語呂合わせから「三つ葉の日」と呼ばれています。
旬である今の時期には、たくさん出回っており比較的安価で購入できますので、脇役ではなく、三つ葉が主役の料理を味わい、春の訪れを感じましょう。

Text byまち/食育インストラクター