小さな粒に栄養たっぷり! しじみのすごいお話


日本人が魚好きなのは世界的に知られています。
しかし、魚だけではなく、海藻や貝など、海や川にいるものは大体食べているという方が正しいでしょう。
そんな日本人にとって最も身近な貝のひとつがしじみです。
みそ汁の具としてもメジャーな存在なので、多くの方に愛されています。
今回はしじみについてのお話です。

【しじみはどこにいる?

ほたてやあさりなど、一般的に食べられている貝は海の生き物なので、しじみもそうだと誤解されがちなのですが、しじみは海の貝ではありません
では、川の貝かというと、それもちょっと違います。
しじみは汽水域(塩分濃度0.3~1%の水域)に生息しています
砂抜きをするときなど、短時間であれば真水や海水の中に入れても大丈夫ですが、基本的には海と川の交わる河口のあたりや、汽水湖などにいる生き物です。


【天然のろ過装置!

しじみが住んでいる湖や河川はきれいで、ほかの生物も好んでやってきます。
その事実だけをみると、しじみはきれいな水の中にしか住めない。
と思われがちです。
でも、実はきれいな湖や河川をつくっている立役者こそが、しじみなのです
海や河川を流れる水には、プランクトンや有機物などがたくさん含まれています。
これらは水辺の生物にとって大切な存在ですが、時に水質の悪化を招く原因にもなり得ます(例えば、海の赤潮はプランクトンの異常発生によるものです)。
しじみはそれらを食べることで、水質を一定に保つ働きをしてくれるのですね。
当然ながら、しじみは自分たちが食べられるものを食べているだけなので、何でもろ過してきれいにしてくれるわけではありませんよ!

【小さいからと侮るなかれ!

「しじみって味はいいけれど、あさりやほたてに比べて粒が小さくて食べにくいから嫌い!」
悲しいことに、こんな意見が出ることもあります。
確かに、一粒の大きさはせいぜい2センチほどで、お腹を満たすにはそれなりの量が必要になります。
何度も貝から身を外すのも手間ですし、食べにくいという評価は事実かもしれません。
しかし、しじみの小さな粒の中には、栄養素がぎゅっと詰まっています。
食べないのは損だった!とショックをうけてしまうかもしれませんよ☆

まず、しじみの特筆すべき栄養素として挙げられるのが、ビタミンB12です。
血液を新しくするときに必要な栄養素で、造血のビタミンとも呼ばれています。
しじみの含有量は肉類と比べても圧倒的。
貧血ぎみの方は積極的にとっておきたいですね。
また、鉄や亜鉛など、ミネラルをたくさん含んでいるので、体の調子を陰から支えてくれます。
そして、しじみはオルニチンが豊富なことで知られています。
このオルニチンは肝臓の働きを助けてくれるので、新陳代謝を高めてくれます。
血色よく、つやつやのお肌づくりに役立ってくれるのですね!
そして、低エネルギーなので、味噌汁に入れて食べる程度なら、太ることを気にする心配もありません。
ちなみに、殻にはカルシウムがたっぷり入っているので、酢やレモンなどと一緒に調理すると、殻からカルシウムが溶け出します
より栄養を求めるなら、こういった調味料と合わせて調理してみるとよいですね。
なお、しじみは二枚貝なので、ノロウイルスに汚染されている危険性がある食べ物です。
生で食べることはまず無いはずですが、きちんと加熱してから召し上がってくださいませ。

食べにくいとは言われていますが、そのおいしさと栄養は折り紙付きです。
日本全国で獲れるので、比較的安価ながら、国産品が安定して食べられるのも嬉しいポイントですね。
ぜひたくさん召し上がってください☆

Text by はむこ/食育インストラクター