プチプチとした食感が魅力!「いちじく」

いちじくは、旧約聖書にも度々登場するほど古くから好まれてきた、歴史のある果物です。
プチプチとした独特の食感が魅力で、味にクセがないことからそのまま食べるだけではなく、料理にも使われています。

【プチプチと弾ける粒は種ではない!?】

いちじくは、アラビア半島で誕生し、紀元前6000年前から栽培されていたと言われています。
日本には江戸時代に中国から伝わり、当時は薬用として用いられていました。
その後、生産量が増えるにつれ、食用として親しまれるようになりました。
いちじくの花は実の中にあり、外からは見えないため、漢字では「無花果」と書きます。
中の赤い小さな粒は種と思っている人も多いと思いますが、実はこの部分が花で、独特のプチプチとした食感を生み出しているのです。

【いちじくの品種】

日本で多く栽培されているのは、甘みのさっぱりした「桝井ドーフィン」という品種です。
そのほか、西日本で古くから親しまれてきた「蓬莱柿(ほうらいし)」、フランス原産の黒皮で糖度が高い「ビオレ・ソリエス」など、の品種が出回っています。
それぞれの特徴をかんたんにご紹介します。

●桝井ドーフィン
明治時代に桝井氏がアメリカから日本へ持ち帰ったことで全国に広まった西洋いちじくです。
栽培のしやすさや日持ちのよさから、今では最も一般的な品種として知られています。
果皮は熟すと鮮やかな赤紫色になり、上品な甘さが特徴です。

●蓬莱柿(ほうらいし)
日本に最初に渡来したいちじくがこの品種と言われ、定着して長いことから「日本いちじく」とも呼ばれています。
西日本で多く栽培され、中の赤い部分が多く、適度な甘さとほどよい酸味が特徴です。
お尻の部分が割れやすく、日持ちしないため、関東ではあまり出回っていません。

●ビオレ・ソリエス
果肉がやわらかく、甘みの強い、フランス原産のいちじくです。
果皮が深い紫色でほかと比べ果実が小さめです。いちじくにしては酸味が強く、皮がしっかりとしていて水分が少ないので焼き菓子などに向いています。

いちじくといえば、赤紫色をした果皮が特徴ですが、最近では黄色や黄緑色をしている白いちじくも見かけるようになりました。
旬の時期には、さまざまな品種が店頭に並ぶので、自分好みのいちじくを見つけるのも楽しいですね。


【おいしい「いちじく」の選び方】

選ぶときは、全体がふっくらとして大きく、赤くなっているもの、果皮にツヤがあり、実がしまったものを選びましょう。
おしりが少しだけ開き始めているものが、完熟している証拠です。
日持ちしないので購入したら早めに食べきるのがベスト
その日のうちに食べきらない場合には、1つずつラップに包み、冷蔵庫で保存してください。
それでも2~3日のうちに食べきるようにしましょう。
洗ってから水気をしっかりと拭き取り、1個ずつラップに包んで冷凍庫での保存も可能です。
半解凍の状態で食べるとシャリシャリとシャーベットのような食感が楽しめ、暑い日のデザートにおすすめです。

【「いちじく」の効能】

いちじくは、水溶性食物繊維の一種である「ペクチン」や「カリウム」が豊富です。
ペクチンは腸を刺激してぜん動運動を活発にし、便秘の予防に働くほか、コレステロール値の増加や血糖値の上昇を抑え、生活習慣病の予防にも効果が期待できます。
カリウムは、体内の余分なナトリウムを排出し、高血圧やむくみを予防します。
そのほか、胃腸の働きを助け、消化を促進するたんぱく質分解酵素の「フィシン」や強い抗酸化作用があり、がんや動脈硬化の予防に役立つポリフェノールの一種「アントシアニン」も含まれます。
いちじくは、実と皮の間に栄養がたっぷり詰まっています。
栄養面の効果をより期待したいのであれば、皮をむかずに食べるのがおすすめです。

日本では、夏から初秋にかけて多く出回り、秋の訪れを感じさせてくれる果物のひとつです。
まだまだ暑い日が続きますが、みずみずしいいちじくを食べて毎日を元気に過ごしましょう。

Text byまち/食育インストラクター