油脂分を減らす調理ポイント

このところ「塩・糖・脂」の摂り過ぎが話題となり、それらの吸収を防ぐ商品などが注目されていますね。
今回は摂り過ぎが気になるもののなかから、油脂分を減らす調理ポイントなどをご紹介します。

【油脂とは】

油脂は動植物などからとれる脂質のことです。
「油」と「脂」の違いは、常温でかたまるか、かたまらないかで、「油」は一般的にオリーブ油やごま油・大豆油といった常温でもかたまらないものに使い、「脂」は常温でかたまる、ラードやバター・牛脂などに使われることが多いです。

【脂質の働き】

脂質は三大栄養素(たんぱく質・脂質・糖質)のひとつで、私たちの体温を保つ・体を作るための材料・クッションとなって内臓を守るなど、さまざまな役割があります。
また、脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収を高めるのにも必要です。
最近では過剰摂取による肥満や、生活習慣病のリスクを高めることに注目が集まっていますが、不足すると必要な栄養素の吸収を妨げたり、便がかたくなることで出にくくなる原因になります。

【油脂分を減らす調理のポイント&摂り過ぎたときのポイント】

日ごろの生活を思い出し、油脂分を減らせる部分があるか考えてみましょう。

〇食材
肉や魚を買うときは、脂身の多い部位(肉であればバラ肉や肩ロースなど・魚であれば大トロなど過剰な脂肪があるもの)を避け、鶏ささみやムネ、豚や牛のモモ・ヒレなどを選ぶと、食材の油脂分を減らせます
また、鶏肉は肉の中に脂肪が混ざらないため、モモやムネの皮と、その下についている脂肪を取り除くことで、大幅に油脂分をダウンさせることが出来ます。

〇調理
フライや天ぷら・唐揚げなどの揚げ物は魅力的ですが、油脂を最も多くとり込む調理法ですので、まずは揚げ物を食べる回数を少なくしましょう。
「蒸す・煮る・焼く」の調理法を増やすだけでも油脂量を減らせます
どうしても食べたいときは、少ない油脂を表面にかけてオーブンで焼くなどがおすすめです。
パン粉をこうばしく炒めてかけるのも、揚げずに食感がよくなるので満足感を得やすくなりますよ。
揚げ物や脂っこい主菜の日は、副菜や汁物に出来るだけ油脂類を使わないで作るとよいですよ。
そして、意外と見落としがちなのが使い古したフライパンで、たくさんの油脂を使って炒めものや焼き物をしているパターンです。
今のフライパンはテフロン加工されている場合がほとんどです。
テフロンは使い続けると加工がはがれてくるので、フライパンに食材がつく原因になります。
それを回避するためにたくさんの油脂を入れると、結果としてたくさん摂ってしまうことになるのです。
道具を長く愛用することはいいことですが、寿命かなと思ったら思い切って新しいものに取り換えることも大切です。


〇摂り過ぎてしまったときは
摂り過ぎてしまったときは、食物繊維の多い野菜や海藻・きのこ類などを積極的に食べるようにしましょう。
食物繊維が摂り過ぎた油脂分の吸収を抑制します。

〇市販の揚げ物を買うときは
市販のお惣菜は揚げ物や中華など、油脂分をたくさん使ったものが中心ですね。
とんかつや天ぷらは手作り品と比べて衣がたくさんついています。
周りの衣は全部食べない・あらかじめ下側の衣を取ってから盛り付けるなどのひと工夫で、満足感も得られ、盛り映えもします。
日常的に購入している場合はミネラルやビタミン不足が心配ですので、野菜や果物などをとることを心掛け、栄養が偏らないように気をつけましょう。

【体によい油脂を選ぼう】

体に悪いイメージが定着していますが、先ほども書いたように、脂質は体を維持するうえでなくてはならない存在です。
脂質にはさまざまな種類の脂肪酸があり、その種類で脂質の性質が決まります。
大きく分けると、血中のコレステロールや中性脂肪を増やす「飽和脂肪酸」と、血中コレステロールや中性脂肪を低下させる「不飽和脂肪酸」があります。
飽和脂肪酸は牛や豚などの脂に多く、常温でかたまります。
不飽和脂肪酸はオリーブ油やごま油・アマニ油などの植物性油脂や魚に多く含まれます。
どちらの脂質も基本的にエネルギーが高いので、摂り過ぎには気をつけたいところですが、不飽和脂肪酸を日常的に摂ることで、体にとってよい働きをしてくれますよ。

【子どものうちから気をつけよう】

成長期の子どもは、食べてもその分体を動かすので体形的には標準という子も多いですが、豚肉や牛肉・バターなど飽和脂肪酸の多い食事ばかりしていると、知らぬ間に血中コレステロールや中性脂肪の値が高くなってしまいます。
子どもは、大人のように健康診断で血液を採って調べるということはほとんどないので、体の中の変化に気がつきにくいです。
現代社会では、子どもの肥満だけでなく生活習慣病のリスクが高まりつつあります。
一週間単位でも構いませんので、食事のバランスや量などを見直し、子どもたちの健やかな成長をサポートしていきましょう。

いかがでしたか。
ちょっと気にするだけでも習慣は大きく変わりますので、あまり気負わず、始めてみてください。

Text byさゆり/食育インストラクター