ココナッツオイルの次はこれ!「ヘンプシードオイル」とは?

ココナッツオイルの次はこれ!「ヘンプシードオイル」とは?

昨年はココナッツオイルが大変話題になり、様々なオイルがお店でも売られるようになりました。
でもたくさんあり過ぎてどの油を選んだらよいのか迷ってしまいますよね?
そこで今回は、油脂に含まれる脂肪酸(エネルギーなどに変わるもの)の違いと、2016年に流行るかもしれない注目株の油、「ヘンプシードオイル」に関してご紹介します。

【「油」と「脂」の違い】

油は大きく分けて常温で液体の油、「不飽和脂肪酸」と、常温で固体の脂、「飽和脂肪酸」の2つに分けることが出来ます。
不飽和脂肪酸は植物や魚の油に多く含まれ、体内で合成可能な一価不飽和脂肪酸の「オメガ9系」と、体内で合成できず、食べ物からの摂取が必要な多価不飽和脂肪酸の「オメガ3系」、「オメガ6系」に分類されます。
飽和脂肪酸は主に動物性脂肪のラードやバターなどに含まれ、私たちの身体のエネルギー源となる一方で、取り過ぎるとコレステロール値を上昇させたり、体脂肪として蓄積されるだけではなく、生活習慣病の一因にもなってしまいます。

【積極的に摂りたい「オメガ3系」】

オメガ3系の脂肪酸は体内で作ることが出来ないため、食物から摂取する必要があります。
主成分は「α‐リノレン酸」で、体内に入るとIPA(EPA)やDHAに変化します。
これらは、血液中の悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やすと共に、血管を若返らせ、血液を健康にします。
と同時に、脳の神経細胞を刺激し活性化させるので、認知症をはじめ脳出血や脳梗塞などの予防、また、記憶力の向上にも効果的です。
食の欧米化で魚を食べる機会が減った現代の食生活に不足しているものですので、ぜひ日々の生活で積極的に摂り入れて頂きたい脂肪酸です。
「えごま油」や「亜麻仁油」などに多く含まれています。

【摂り過ぎには注意!「オメガ6系」】

オメガ3系と同様に体内で作ることが出来ない脂肪酸です。
しかし、米や小麦、大豆などの穀物にも含まれているため、積極的に摂る必要はありません。
むしろ食事や間食などで知らないうちに摂り過ぎている場合があるので自分でコントロールして摂るようにしましょう。
主成分は子供の成長にも欠かせない「リノール酸」ですが、摂り過ぎるとアレルギー症状を悪化させたり、善玉コレステロールを減らす恐れがあります。
さらに、オメガ3系の働きを妨げてしまうこともあるため、注意が必要です。
「ごま油」や「コーン油」、「大豆油」などに多く含まれています。

【体内で作り出せる脂肪酸「オメガ9系」】

体内で作り出すことの出来るオメガ9系に多く含まれる「オレイン酸」は酸化しにくく熱にも強いので、扱いやすいのが特徴です。
オレイン酸は動脈硬化や心筋梗塞、高血圧などを予防し、さらに腸のぜん動運動を高め、便秘予防・改善に期待できます。
しかし、多く摂取するとエネルギー源として体内で蓄えられ、肥満や生活習慣病の原因となるので注意が必要です。
「オリーブオイル」、「こめ油」、「キャノーラ(菜種)油」などに多く含まれています。


【オメガ3系とオメガ6系をバランスよく含む「ヘンプシードオイル」】

油に含まれる脂肪酸の種類をご紹介してきましたが、オメガ3系とオメガ6系をバランスよく含むのが麻の種から抽出した「ヘンプシードオイル」です。
厚生労働省が薦める脂肪酸のバランスは、「オメガ3系:オメガ6系=1:4」に対してヘンプシードオイルは「1:3」の割合で含まれています。
現状の食生活ではオメガ6系を摂り過ぎる傾向にあるので、ヘンプシードオイルは脂肪酸のバランスの良い油と言えます。
ただし、他の食品でも摂取しているので、注意が必要です。

【「γ(ガンマ)‐リノレン酸」とは?】

上記でお話ししたリノール酸は体内に入ると「γ‐リノレン酸」「アラギドン酸」に変化します。
γ‐リノレン酸は母乳、月見草油、一部の藻類などの天然の食品にしか含まれていない脂肪酸で、血糖値やコレステロール値、血圧を下げる効果があり、生活習慣病の改善に期待が出来ます。
また、アレルギーや月経前のイライラや頭痛の緩和にも効果があると言われています。

ヘンプシードオイルは熱に弱いので、サラダなどのドレッシングやスープの仕上げに香りづけとして使ったりと、加熱しない調理がおすすめです。
油のことを知り、普段の食生活に上手に摂り入れましょう!!

 Text by くまこ/食育インストラクター