中華料理屋さんのまな板はなぜ丸いの?

中華料理屋さんのまな板はなぜ丸いの?

みなさん中華料理はお好きですか?
中華料理屋さんに食事に行った際、厨房をチラ見すると中華包丁に中華鍋、そして日本ではあまり馴染みのない丸いまな板が目に入るかと思います!
日本料理や西洋料理の厨房では長方形のまな板が主流ですが、何故中華料理は丸くて15㎝程の分厚いまな板なのでしょう?
その理由は中華包丁にありました!

【中華包丁の種類と使い方】
中華包丁にも大きく分けて3種類の包丁があります。肉や野菜など、柔らかいものを切るための薄刃。
かぼちゃなどの硬い野菜、魚や鶏を卸す事ができる万能型の中厚刃。
そして骨を叩き切るための厚刃。(骨切り包丁とも呼ばれます)
このような種類があるのですが、中華包丁の使い方はどの種類でも包丁の重みと手首のスナップを利かせてトントントンと使うので、まな板にかかる負担が和食や洋食の包丁をスライドさせて食材を切る技術と比べてかなり大きいのです。

【分厚い理由と丸い理由】
厚刃は特に、骨を叩き切ると書いたように包丁の重みを利用して上から落とすようにして使うので、ずっと使っているとまな板がえぐれてきてしまいます。
えぐれたままだと使いにくいので、まな板の表面を削り、平らにしてまた使います。分厚い理由は「長く使えるように」でした。では丸い理由はというと、2つありました。

1つ目は、昔の名残。
昔は木の切り株をまな板代わりに利用していたそうです。
まな板を削るというのも切り株を使っていたからこその知恵なんでしょうね。

2つ目は、使いやすさ。
中華包丁はご存知の通り、他の和包丁・洋包丁と比べてかなり大ぶりですから、普通の長方形のまな板だと窮屈になってしまいます。
丸いまな板だと、左右のスペースだけでなく奥に切った食材を並べられるので中華独特の包丁さばきをするのにピッタリ。
丸い方が使いやすい!という事で丸い形のまな板が利用され続けています。

現在では丸まな板の木でできたものは衛生的な問題と、良い木のものは高級品なのであまり使われていません。
プラスチックや抗菌ゴム、また層になっていて剥がしやすい物などが出回っています。
香港に行った時、少し足を延ばして深センの田舎に行き、木のまな板を使用しているのを見かけました。便利な物が増えていく中で、昔のままの形が残っているのを見かけると、少し嬉しくなってしまいますね。

中華料理屋さんに行って、厨房が見えるようなら少しのぞいてみるのも楽しいかもしれません。

Text by ふーみん/食育インストラクター