新年スタート。「人日の節句」に七草粥を食べる理由とは?


2021年、新たな年が始まりました。
1月7日は「人日の節句」で、3月3日の「上巳の節句(桃の節句)」、5月5日の「端午の節句」と同じ5節句にあたります。
意外と知らない人が多い人日の節句、一体どんな日なのでしょうか?

【1月7日が「人日の節句」になった理由とは?

1月7日が人日の節句になったのは、古代中国の習慣から来ていると言われています。
古代中国では、正月の1日から7日までの各日に禽獣をあてはめ、占いをしていました。
元日は「鶏」、2日は「狗(いぬ)」、3日は「猪」、4日は「羊」、5日は「牛」、6日は「馬」、そして7日は「人」の日で、それぞれの日に対象になる禽獣を占い、大切に扱いました。
そのことから7日は「人日の節句」となり、人を大切にする日、無病息災や長寿を願う日となりました。

【人日の節句に「七草粥」を食べるようになったのはなぜ?

現代まで伝わる、人日の節句に七草粥を食べるという風習は、もともと日本にあった1月15日に7種類の食材(穀物)で作った粥を食べて五穀豊穣を願う風習と、正月に若菜を摘んで新しい生命力をいただく風習が、中国から伝わった人日の風習(7種類の野菜を入れた吸い物を食べる)と混じり合って根づいて行ったものだとされています。
かつては、1月7日の前日に野山で摘み、歳神様を祀った棚の前や大黒柱の前で七草囃子(ばやし)を唄いながらすりこ木で叩いた菜を、無病息災と長寿を願って1月7日の朝に粥にして食べていました。
平安時代では宮中だけの儀式でしたが、江戸時代には一般に定着し、幕府の公式行事となりました。
明治6年に制度は廃止されましたが、年中行事として今もなお定着しています。
七草粥だけでなく、七草を浸しておいた水で爪を濡らして切ると、風邪にかからないという「七草爪」という風習もありました。
今では冬でも青菜が簡単に手に入りますが、昔はそれが困難で七草粥は冬に不足しがちなビタミンCを補う貴重なものでもあったようです。
最近では、お正月のごちそうのあとに、胃腸を休ませるものとして広く親しまれています。


【春の七草

●セリ(芹)
「競り(せり)勝つ」
を意味します。
水辺や湿地に自生する日本原産の野菜で、ビタミン・ミネラル・食物繊維などが豊富に含まれています。
貧血の予防や整腸作用に効果的です。

●ナズナ(薺)
「撫でて汚れを払う」
を意味します。
アブラナ科の植物で、ぺんぺん草とも呼ばれています。
古くから薬草として使われており、解熱作用や血圧を下げる効果が期待できます。

●ゴギョウ(御形)
「仏の体」
を意味します。
キク科の植物で、ハハコグサとも呼ばれています。
古くは草もちに使われており、それがゴギョウの由来になったとされています。
咳を鎮める作用やのどの炎症を和らげる効果が期待できます。

●ハコベラ(繁縷)
「繁栄がはびこる」
を意味します。
ナデシコ科の植物で、ハコベとも呼ばれています。
古くから薬草として使われており、利尿作用や止血作用、鎮痛作用をはじめ、昔は歯槽膿漏の予防薬としても使われていました。

●ホトケノザ(仏の座)
「仏の安座」
を意味します。
春の七草で指すホトケノザは、キク科のコオニタビラコのことです。
シソ科の植物にホトケノザがありますが、これは食用ではないため、注意が必要です。
コオニタビラコには、胃腸の調子を整えて食欲増進に働いたり、高血圧予防に効果的です。

●スズナ(菘)
「神を呼ぶすず」
を意味します。
現在でいうカブのことです。
胸やけや胃もたれなどの不快感を改善したり、整腸作用に効果的です。
葉はビタミン・ミネラルが多く、免疫力アップや、貧血予防に期待出来ます。

●スズシロ(蘿蔔)
「汚れのない純白さ」
を意味します。
現在でいう大根のことです。
カブ同様、胸やけや胃もたれなどの不快感を改善したり、整腸作用に効果的です。
また、二日酔い予防にも期待出来ます。

【七草粥の作り方

  1. 米を洗って鍋に入れ、4~5倍量の水に30分~1時間浸水して火にかける。
  2. 沸いたら弱火にし、20~30分ほどやわらかくなるまで炊く。
  3. 七草は熱湯でゆでて冷水に取り、水気を絞って細かく刻む。
  4. (2)の火を止める直前に七草を入れ、塩で味を調え、完成です。

七草をひとつずつ探すのは大変ですが、今では季節になるとスーパーなどで七草セットが売られています。

今年1年の無病息災を願い、1月7日に家族みんなで七草粥をいただきましょう。

Text by まち/食育インストラクター