
好きな食べ物として人気の高い「すし」。
握りずし、巻きずし、ちらしずしなど、いろいろな種類があり、日本はもちろん、世界中で愛されている食べ物です。
【「すし」のルーツは東南アジア!?】
「すし=日本の食べ物」というイメージがありますが、すしのルーツは、東南アジアにあると考えられています。
当時のすしは、魚を保存する目的で考えられており、塩をした魚をごはんに漬けて発酵させた、「魚の漬物」のようなものでした。
そのため、ごはんは発酵させるための材料で、食べずに捨てられていました。
魚を保存するための発酵食品として生まれたすしの原型は、中国などを経て日本に伝わったとされています。
このすしを「熟れずし(なれずし)」と呼び、奈良時代の高貴な人の食べ物として定着していきました。
室町時代になると、魚の発酵期間を短くし、ごはんも一緒に食べるようになります。
このすしを「生成(なまなれ)」といい、一般にも広く知られていきました。
さらに時代が進むと「酢」が大量に生産されるようになり、江戸時代中期には、現在のすしの原形となる、ごはんに酢を混ぜた「早ずし」が誕生し、「巻きずし」や「棒ずし」などのさまざまなすしが作られるようになりました。
そして江戸時代後期になると、屋台で「握りずし」が登場し、素早く提供されるスタイルが江戸っ子に人気を集めました。
【「すし」の漢字の意味の違い】
すしの語源は、酸っぱいから「酸し(すし)」になったという説が有力です。
漢字で書くと「鮨」、「鮓」、「寿司」とさまざまですが、一体何が違うのでしょうか?
■鮨
「鮨」という漢字は、中国最古の辞書の一つとされる『爾雅(じが)』にも見られます。中国では、もともと魚の塩辛を意味する漢字でした。
その辞書には「魚で作るのが鮨(き)で、肉で作るのが醢(かい)である」と書かれており、鮨(き)はもともと「魚の塩辛」を意味していましたが、のちに鮨(すし)と呼ばれるようになりました。
現在では、すし店の店名などに使われることも多く、江戸前ずしの店などでも見られる表記です。
■鮓
中国の後漢末期に書かれたとされる辞書「釈名(しゃくみょう)」に「鮓(さ)は魚の漬物のことで、塩と米で醸(かも)し、なれたら食べる」と記載されています。
鮓(さ)はもともと「塩と米でならした魚の漬物」を意味していましたが、鮨同様、鮓(すし)と呼ばれるようになりました。
現在では、「なれずし」や「かぶらずし」など、発酵させたすしにこの漢字を使うことが多いです。
■寿司
最も一般的で、種類などを問わず、すし全般を表すときによく用いられる漢字です。
「寿司」は、「寿」の字を使った縁起のよい当て字です。
「寿を司る」という意味にも解釈され、現在では、すし全般を表す一般的な表記として使われています。
【「すし」の郷土料理】
海に囲まれている日本は、各地でさまざまな魚介類がとれ、それを使った地域性豊かな「すし」が昔から食べられています。
数あるすしのなかから、5つの郷土ずしをご紹介します。
■ふなずし(滋賀県)
琵琶湖でとれるニゴロブナを塩漬けにし、ごはんに漬けて乳酸発酵させた料理です。
ふなずしは、発酵が進むにつれて「馴れる、熟れる」ことから名がつけられた「なれずし」の一種です。
特有の香りと酸味、強いうま味が特徴で、乳酸発酵により骨までやわらかく、薄くスライスして骨ごといただきます。
お祝いやお正月などのハレの日のごちそうであるほか、昔は滋養強壮やお腹の薬の代わりとしても食べられてきたそうです。
■かぶらずし(石川県)
塩漬けしたかぶらに塩漬けしたブリを挟み、麹で作った甘酒をのせて漬け込んで作る、「なれずし」の一種です。
その昔、とても高級であったブリは庶民が口にすることは滅多にありませんでした。
かぶらずしの由来には諸説ありますが、ブリをかぶらに挟んで食べたことが始まりという説も伝えられています。
今でも高級品のブリ。出世魚でもあることから正月に欠かせない伝統食として食されています。
■岩国ずし(山口県)
すし枠にチシャの葉を敷き、すし飯、山口県特産品の岩国れんこんの酢漬けやしいたけ、でんぶ、錦糸卵などの具材を3~5段に重ねて作る「押しずし」です。
その豪華な見た目と江戸時代に岩国藩主を喜ばせようと献上したことから「殿様ずし」とも呼ばれています。
■ますずし(富山県)
丸いわっぱに笹をしき、塩漬けしたマス、すし飯を1~2段に重ねた「押しずし」です。
富山藩主のためにアユのすしを作り、それを気に入った藩主が将軍徳川吉宗に献上し、味のよさを称賛されたことから富山の名物になったといわれています。
その後、アユの代わりにサクラマスを使うようになり、それが現在のますずしの原形と考えられています。
■手こねずし(三重県)
カツオやマグロなどの赤身の魚をしょうゆで作ったタレに漬け込み、酢飯の上に並べてしそなどの薬味をのせた料理です。
カツオ漁で忙しい漁師が、船上でとれたカツオをさばき、手でごはんと混ぜ合わせて食べたのが始まりとされています。
人が集まるときのおもてなし料理として食べられているほか、多くの飲食店でも提供されています。
新米が収穫され、魚にも脂がのる秋は、おいしいすしネタがそろう季節です。こうした理由から、11月1日は「すしの日」とされています。
今も昔も愛されている「すし」をおいしい季節にいただきましょう。
Text by まち/食育インストラクター




