ピリッとした刺激的な辛さが魅力の「唐辛子」

料理にピリッとした辛みを与えてくれる「唐辛子」。
世界中で栽培されており、その数は3000種以上とも!
今回は夏に食べたくなる、辛い料理に欠かせない「唐辛子」のお話です。

【唐辛子の歴史】

南アメリカが原産で、紀元前7000年~8000年ごろにはすでにペルーやメキシコなどで栽培されていたと言われています。
世界中に広がるきっかけとなったのは、コロンブスのアメリカ大陸到達。
このときに唐辛子を調理法とともにヨーロッパへ持ち帰りました。
日本に伝来したのは16世紀ごろと言われ、「ポルトガル人が種子島に鉄砲を伝えたときに唐辛子も持ち込まれた説」、「豊臣秀吉の朝鮮半島出兵のときに加藤清正が持ち帰った説」など、さまざまな説があります。

【唐辛子の辛み成分】

唐辛子はナス科の植物から採れる野菜です。
成長によって色が変わり、緑色の未熟な状態のものを「青唐辛子」、赤色で完熟したものを「赤唐辛子」と呼んでいます。
唐辛子が辛いのは、特有の辛み成分である「カプサイシン」が含まれているからです。
カプサイシンは、実の中心にある白いワタ状の「胎座(たいざ)」という部分で作られ、この部分に多く含まれています。
また、唐辛子の辛さは「スコヴィル値(SHU)」で表され、数値が高いほど辛さが強いとされています。
現在世界一辛い唐辛子は、ペッパーXで、スコヴィル値は約269万SHU
日本で一般的な鷹の爪のスコヴィル値は4万~5万SHU程度。
ペッパーXがいかに辛いかが分かりますね。


【唐辛子を使った世界の調味料】

■七味唐辛子
赤唐辛子をはじめ、山椒・陳皮(みかんの皮を乾燥させたもの)・ごま・けしの実・麻の実などの7種のスパイスをブレンドした日本独自の調味料です。
使っているスパイスや配合は、お店やメーカーなどによって異なるので、味もさまざまです。
定番のうどんやそばはもちろん、きんぴらや焼き鳥、カレーなど、料理に辛みと風味をプラスしたいときに用いられます。

■柚子こしょう
柚子の果皮に唐辛子と塩をすり合わせた、九州が発祥の調味料です。
九州の一部地域で昔から唐辛子のことを「こしょう」と呼んでいたことからこの名がつきました。
青唐辛子を使った「青柚子こしょう」、赤唐辛子を使った「赤柚子こしょう」があります。
鍋料理や焼き鶏のほか、サラダのドレッシングやパスタの味つけなどによく使われています。

■豆板醤
蒸したそら豆・唐辛子・塩・麹などの材料を合わせて発酵・熟成させた中国四川地方の調味料です。
「豆板」は発芽したそら豆、「醤」は発酵した調味料のことを表します。
ピリッとした唐辛子の辛みとうま味が特徴で、麻婆豆腐やエビチリなどの中華料理には欠かせません。

■コチュジャン
米やもち米、麹・唐辛子などを合わせて発酵・熟成させた韓国の調味料です。
発酵時にもち米のでんぷん質が分解されることで甘みが生まれ、辛さのなかにコクと甘みがあるのが特徴です。
ビビンバやチゲ、タッカルビ、焼き肉などの料理によく使われています。

■チリペッパーソース
唐辛子と岩塩を混ぜて樽の中で熟成させたのち、酢を加えて発酵させたアメリカの調味料です。
チリペッパーソースは聞きなじみがないかも知れませんが、タバスコと言えばピンとくる方も多いのでは?
爽やかな酸味と辛みが特徴で、パスタやピザなどにかけると料理の味を引き立ててくれます。

【赤唐辛子(鷹の爪)の使い方】

一般的によく用いられる乾燥させた赤唐辛子。
「ホール」、「輪切り」などの形状で販売されています。
唐辛子は細かく刻むほどに辛さが増すので、しっかりと辛みを出したいときには、輪切りが向いています。
反対に辛みを抑え、唐辛子の香りを料理に移したいときには、ホールのまま使うのがおすすめです。
また、カプサイシンは疎水性のため、油や酢につけ込んだり、油で炒めたりすると、より辛みが引き出されます

【唐辛子の効果と注意点】

唐辛子の辛み成分である「カプサイシン」には、以下の効果が期待できます。

  • 唾液や胃液の分泌を増やし、食欲増進に
  • 血流がスムーズになり、免疫力アップや疲労回復に
  • 体温を上昇させ、発汗を促し、冷え性やむくみの改善に
  • 血圧を下げたり、塩分摂取を抑える働きで、高血圧予防に
  • 腸を刺激し、ぜん動運動を活発にすることで、便秘の改善に

嬉しい効果が期待できる唐辛子ですが、食べ過ぎはNG。
カプサイシンを摂り過ぎると粘膜が傷つき、喉や胃の痛み、吐き気、下痢などを引き起こす恐れがあります。
カプサイシンの安全な摂取目安量(大人)は「体重1㎏に対して最大で5㎎(50㎏の人の場合で約250mg)」です。
家庭でよく使われる乾燥の鷹の爪1本(約1g)のカプサイシン量が1㎎。
通常の食事をしていれば摂り過ぎる心配はありませんが、1日に鷹の爪1~2本程度が望ましいとされています。

唐辛子は辛みを与えるだけでなく、風味をプラスし、料理の味を引き出してくれます。
適切な量を心掛け、おいしく健康に唐辛子をいただきましょう。

Text by まち/食育インストラクター