日本人が大好きな魚、「マグロ」について知ろう!

寿司や刺身と言えば、多くの人が「マグロ」を思い浮かべるのではないでしょうか?
実際にマグロは、日本人がサケに次いで多く食べている魚介類(令和元年 農林水産省の調査より)で、子どもからご年配の方まで幅広く愛され、食されています。
今回は、そのマグロについてのお話です。

【「トロ」は昔、捨てられていた!?】

マグロは海外からの輸入も多い食品で、生・冷凍ともに1年中流通しています。
天然、養殖のものがありますが、国産の天然物はほとんどが10~3月ころの冬に旬をむかえます。
今では人気のマグロですが、氷がなかった時代では、鮮度がすぐに落ち、黒ずんでしまうことから下魚扱いされ、庶民もこっそり食べていたほどでした。
それが、江戸時代後期に濃口しょうゆが普及したことで、「ヅケ」にして食べるようになり、にぎり寿司の人気のネタになりました。
しかし、その当時食べられていたのは赤身がほとんどで、脂が多く傷みやすい「トロ」の部分は、捨てられることが多かったようです。

【マグロの種類】

マグロは、背や目が黒く、身が赤黒いことから「真黒(マグロ)」の名がついたと言われています。
現在、日本では「クロマグロ」、「ミナミマグロ」、「メバチマグロ」、「キハダマグロ」、「ビンナガマグロ」の5種類が多く出回っています。その特徴をご紹介します。

●クロマグロ
全長3mほどにもなる、マグロのなかでも大きな体が特徴です。
別名「本マグロ」とも呼ばれ、味もよく高価なことから、魚類の王様格として知られています。
青森県大間のマグロなどブランドものも多数あり、初セリのときには、数千万の値がつくことも。

●ミナミマグロ(インドマグロ)
その名の通り、南半球を中心に生息するマグロで、別名「インドマグロ」とも呼ばれています。
クロマグロに次いで高級品で、クロマグロと変わらない、濃厚なうま味と甘みが楽しめます。

●メバチマグロ
世界中の温暖な地域に生息する、体長2m前後のマグロです。
目が大きく、ぱっちりしていることから「目鉢(メバチ)マグロ」と呼ばれています。
漁獲量が多く手ごろなので、私たちの食卓に上がることも多いのではないでしょうか?

●キハダマグロ
メバチマグロとほぼ同じ海域に生息する、体長1.5~2mのマグロです。
体が黄色味がかっていることから「黄肌(キハダ)マグロ」と呼ばれています。
メバチマグロに次いで漁獲量が多く、脂質が少なく、あっさりとクセのない味わいをもつことから、ツナ缶の原料としても使われています。

●ビンナガマグロ(ビンチョウマグロ)
体長1mほどの小型のマグロで、世界中の海に広く生息しています。
胸ビレがとても長く、広げるとトンボに似ていることから「トンボ」とも呼ばれます。
ツナ缶の原料にされることが多かったのですが、最近では刺身でも食べられています。
脂の多い部分は「ビントロ」と呼ばれています。


【マグロの選び方】

マグロを購入するときは、色が黒ずんだりしていなく、ドリップが出ていないもの、表面が乾いておらず、ツヤがあるものを選びましょう。
出来るだけその日のうちに食べきるのがベストですが、もし残ってしまったらしょうゆにつけてヅケにしたり、焼いて食べるのがおすすめです。
解凍されたものを再冷凍するとドリップがでて、味が落ちてしまいます。
食べきれる量だけ購入するようにしましょう。

【冷凍マグロをおいしく解凍する方法】

私たちが購入するマグロのほとんどは冷凍マグロではないでしょうか。
お店によっては解凍されたものが売られていることもありますが、時には凍ったまま売られていることも。
冷凍のマグロは、そのまま解凍してしまうと味も色も落ちてしまいます。
そこで、おいしくマグロを解凍する方法をご紹介します。

① 1リットルのぬるま湯(40℃くらい)に大さじ2(約30g)の塩を入れて溶かし、塩分濃度3%の温塩水を作る。

② ①を深めのバットなどに移し、冷凍マグロを1~2分浸ける。

③ 表面についている削りかすや汚れを落として温塩水から取り出し、ペーパータオルで水気を拭き取る。

④ 濡らしてかたくしぼったペーパータオルで包み、冷蔵庫に1~2時間程度おいて半解凍させる。(チルド室がある冷蔵庫の場合、そちらに入れてください)

この方法で解凍すると、色も鮮やかでうま味も逃げることがありません。ぜひ、お試しください!

【10月10日は「マグロの日」】

毎月10日は「と(10)と(10)」の語呂合わせで、さかなの日と制定されていますが、10月10日が「マグロの日」であることを知っていますか?
これは、奈良時代の歌人、山部赤人(やまべのあかひと)が関係しています。
726年の10月10日、山部赤人が聖武天皇のお供をして兵庫県明石地方を訪れたときに、マグロ漁で栄えているこの地の様子を長歌にしました。
この句が現代まで伝わり、1986年に「日本かつお・まぐろ漁業協同組合」が「マグロをもっと食べ、マグロへの理解を深めてほしい」という願いを込めて10月10日をマグロの日と制定しました。

マグロはおいしいだけでなく、DHAやIPA(EPA)をはじめ、ビタミン・ミネラルも多く含まれる、栄養面でも嬉しい魚です。
これからどんどんと寒くなるので、おいしい旬のものをいっぱい食べ、冬の寒さに負けないカラダを作りましょう。

Text byまち/食育インストラクター