メロンの味がしない?メロン味の秘密

昔ながらのレトロなレストランや喫茶店でよく見かけるメロンソーダ。
フォトジェニックなカラーで、SNSなどで人気になっています。
真っ赤なチェリーとアイスを浮かべてクリームソーダにすると、なんとも言えない清涼感がありますよね。
それにしても、メロンソーダの香りや味は、フレッシュな果物のメロンの香りとだいぶ違うように思いませんか?
今回は不思議な「メロンソーダとメロン味」についてのお話です!

【メロンソーダの始まり】

メロンソーダの原型が日本にやってきたのは明治時代だとされます。
なんと、100年以上の歴史を持つ、由緒ある飲み物なのです(!?)。
銀座の喫茶店で提供されていた記録があり、同じ頃に、クリームソーダもあったのだとか。でも、冷蔵・冷凍技術の乏しい時代には、冷たいドリンクやアイスクリームは高級品でした。
そのため、クリームソーダを口にできるのは一部の上流階級の人々だけで、当時の一般庶民にはそうそう手が届く飲み物ではありません
それでも、文明開化の後に異国からやってきたソーダという飲み物は、当時の人々にとってハイカラで憧れの飲み物だったことは間違いないでしょう。
メロンソーダが多くの人に楽しまれるようになったのは、戦後、冷蔵庫が普及してからです。
喫茶店やデパートのレストランで提供されるようになり、その時代を過ごした方のなかには、特別なお出かけの日の思い出として記憶に残っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
現代でも昭和レトロの代表的な飲み物として、若い世代から支持を集めています。

【メロンソーダの事実】

同じ緑色といえど、メロンソーダのあまりにも鮮やかなグリーンは果物のメロンとは違ってみえますよね。
それもそのはず、市販のメロンソーダの多くは、無果汁という表記がされているものが多数を占めます。
果汁配合をされていないのだから、本来のメロンの味がしないのはむしろ正解とも言えます。
当然ながら、果実のメロンに含まれている食物繊維やビタミンC・葉酸などの栄養素は、後から配合されていなければ摂ることはできません。
メロンソーダに限らず、無果汁だけれど果実のフレーバーがある食品はいろいろなところで使用されていて、ちまたには多くの果実風の香りがあふれています。
フレッシュな果物の香りほど芳醇ではなく、少しチープに感じられるけれど、それが最大の特徴として成立している。メロンソーダはそんな食品の代表格と言えそうです。


【メロンの味=香り!?】

果汁無しのメロンソーダは、主に甘味料・酸味料・香料を組み合わせて作られます。
これは無果汁の果実フレーバーの基本的な原材料なので、いちごやレモンなどのフレーバーでも内容はそれほど変わりません。
これらの味の違いを決めているのは、香りです。
においの感じ方は食品の味に大きく影響を及ぼしていて、鼻をつまんでものを食べると、おいしいはずのものが味気なく感じられますが、メロンソーダを始めとするフレーバーは、香料以外の内容がほとんど変わらないため、においがないと同じ味に感じられるのです。
つまり、私たちがメロン味だと思っているのは、メロンの香りのこと…なのかもしれませんね。

無果汁のメロンソーダはメロンではないので、摂れる栄養素はほとんど糖質です。
そして、し好飲料のなかでもエネルギーが高めなことには注意が必要です。
でも、味や香りを楽しむために生まれ、長く愛されている飲料という側面も持ちます。

日常的に飲むのではなく、レトロな雰囲気を味わう食の一環として、パーティーやお出かけの時の特別なタイミングで、楽しみながら召し上がってくださいませ☆

Text byはむこ/食育インストラクター