海藻を使った離乳食 中期編~わかめと豆腐のとろとろ煮~

離乳食に慣れてくる中期は、初期と比べて使用出来る食材が増えてきます。
今回は7~8カ月ころの離乳食中期向けの海藻レシピです。

【海藻】

日本は四方を海に囲まれている国ということもあり、とても古い時代から海藻類を食べたり、神仏に捧げたりと、生活に取り入れてきました。
日本近海には1500種近くの海藻が自生しているといわれ、そのなかの50種類ほどを食用にしています。
海藻は、そのまま食べられるものと、加工しないと食べられないものがありますが、乾燥させたり加工して形を変えることで、保存性が高まり、いつでも使える常備食材として重宝されています。
海藻は大きく3種類に分けられ、ワカメや昆布、ヒジキ、モズクなどの褐藻類・海苔や寒天の原料であるテングサなどの紅藻類・アオサや青のり・クビレズタ(海ブドウ)などの緑藻類があります。

上記の中から、離乳食でもおなじみの海藻をいくつかご紹介します。

●ワカメ
ワカメは海底の岩などにくっついて成長する大型の海藻です。
若い茎葉部分を食べることから「ワカメ」という名がついたそうです。
天然物もありますが、流通しているものの多くは養殖です。
生のワカメはあまり保存に向かないため、乾燥させたり、塩漬けにした塩蔵品が出回っています。
小さく切った乾燥のカットワカメのほか、大きな状態で乾燥させた板ワカメ・茎を使った茎ワカメなどがあります。
ネバネバっとして、コリコリとした食感が人気のメカブは、ワカメの根に近い部分を使って作ります。
離乳食期は塩分の強い塩蔵ワカメの使用は避け、乾燥わかめを戻してやわらかく煮たりして使用します。

●昆布
昆布もワカメ同様、海底の岩などにくっついて成長する大型の海藻です。
ワカメは成長しても一般的には1~2mくらいにしかなりませんが、昆布は種類によって2~10m以上になります。
昆布はそのほとんどが北海道産で、一部東北の三陸海岸沿いでも採ることが出来ます。
真昆布・利尻昆布・羅臼昆布・日高昆布・長昆布・細目昆布・ガゴメ昆布などがありますが、私たちが日常の出汁をとったり、煮物などにするのであれば、手に入りやすい日高昆布がおすすめです。
離乳食期から、昆布出汁などのおいしい天然のうま味を食べさせることでうま味に敏感な赤ちゃんも喜びます。
また昆布はそれぞれ味の特徴が違うので、料理に合わせて使い分けるのもよいでしょう。

●ヒジキ
ヒジキは海の浅瀬に根をはって育つ海藻で、1mほどに成長します。
よく芽ヒジキ・長ヒジキと分類されいるのを見かけますが、あれは種類が違うということではなく、長い茎の部分を集めたものを長ヒジキ・茎からでた細い枝のような芽のような部分を芽ヒジキとしているのです。
それぞれ食感が異なり、長ヒジキはもちっとしたような噛み切りやすさがあり、芽ヒジキは歯切れのよい食感が特徴的です。
採ってすぐのヒジキは強い渋味があるため、加熱と乾燥などの加工作業で渋味を取って商品として販売されます。

海藻は低カロリーな食材で、骨の形成に欠かせないカルシウムや、貧血予防に効果的な、味覚や免疫力を維持する亜鉛などのミネラル類・β-カロテンやビタミンK・ビタミンEなどのビタミン類・お通じの調子を整える食物繊維など、体にとても大切な成分を含みます。

離乳食での海藻の使用は昆布出汁を除くと中期以降からが望ましいです。
今回は、栄養たっぷりの海藻のなかから、離乳食期にも取り入れやすいワカメを使ったレシピのご紹介です。


【豆腐とわかめのとろとろ煮】

<材料(1人分)> 調理時間:20分
絹ごし豆腐・・30~40g
乾燥ワカメ(カットタイプ)・・極小さなかけら1~2個
出汁・・1/2カップ~
しょうゆ・・少々
水溶き片栗粉・・少々

<作り方>

  1. 豆腐は3mm角くらいに切り、熱湯でゆでる
  2. ワカメはたっぷりの水で戻し、熱湯でサッとゆでて冷水に取り、細かく刻む
  3. 鍋に(2)・出汁を入れて火にかけ、沸騰したらワカメがやわらかくなるまで煮る
    ※ワカメがやわらかくなる前に水分が無くなってしまいそうな場合、分量外の出汁を足すか、出汁の味が濃くなりすぎているようなら水を足してください。
  4. (3)に(1)を加えてサッと煮、香りづけ程度のしょうゆを加え、水溶き片栗粉でトロミをつける

<ポイント>

  • 今回の豆腐の量は、1回の食事でほかにたんぱく質源となる食材を使用しなかった場合の量です。
    ほかのたんぱく質を使用する場合は、半量にするなど、調整をしてください。
  • 海藻類は食物繊維が多いので、大量に食べると胃腸に負担がかかります。
    離乳食中期はまだまだ離乳食に慣れてきている途中ですので、無理せず様子をみましょう。
    海藻の種類によっては後期以降に与えた方がよいものもあります。与えてよい海藻の種類や時期については、参考資料によってまちまちですので、ご自身が参考にしている離乳食本がある場合は、そちらを目安に、お子さんの離乳食の進み具合を第一にして検討してください。
  • 食材の大きさは目安です。
    目安の大きさが食べられなくても焦る必要はありません。赤ちゃんにあったサイズにしましょう。

【離乳食中期以外での使用方法】

●初期(5~6カ月)
初期は、食材に慣れる時期です。
海藻類は胃腸に負担がかかるため、この時期は与えることが出来ません。
絹ごし豆腐は湯通しし、すりつぶす・裏ごすなどしてなめらかなペースト状にすれば使えます。
食材そのものの味を味わえるように単体で与え、慣れてきたら、出汁でのばしてあげるとうま味もプラスされるのでおすすめです。

●後期(9~11カ月)
カミカミ期のこの時期は、歯ぐきを使って食材をつぶしながら食べる練習のころです。
今回使用したワカメのほか、ヒジキや焼き海苔などの海藻類も使えるようになってきます。
ただし、海藻類は私たちが思っている以上にかたい場合などがあるので、しっかりと下煮をする・与える前に大人が食感などを確認するのを忘れずに。
また、豆腐も絹ごし豆腐よりもかためで栄養価の高い木綿豆腐も取り入れられるようになります。
大きさは4~5mm角くらいから始め、後半は6~7mm角くらいにします。
後期に入ったばかりでいきなり食材のかたさがかたくなると、丸飲みや誤嚥の原因となるので、赤ちゃんの様子を見ながら大きさやかたさを調整しましょう。

●完了期(1歳~1歳6カ月)
完了期は、やわらかめの肉団子くらいのかたさのものが食べられるようになります。
また、母乳や育児用ミルクの量も減ってくるので、鉄分などのミネラル類不足も気になるころです。
海藻類は、成長に欠かせない栄養素が多く含まれるので、いろいろな種類を取り入れていきましょう。
ワカメは噛み切りにくく、消化しにくいので、引き続きやわらかめの加熱を心掛けてください。
豆腐のサイズも1cm角くらいのものが食べられるようになってきます。
完了期が終わると、今度は幼児食になります。
やわらか過ぎもかた過ぎも丸飲みの原因となるので、お子さんの食べる力の成長具合によって調節をしてあげてください。

離乳食は1~2カ月単位で次のステップへ移行するので、いろいろと戸惑うこともあるかもしれませんが、お子さんの食べる様子をしっかりと観察しながら進めていきましょう。

Text by さゆり/食育インストラクター