乳児の免疫力って?

よく「生まれてすぐの赤ちゃんは風邪をひかない」と聞きますが、どうしてでしょうか?
今回は、その理由と乳児の免疫力についてご紹介します。

 【免疫とは?】

外から自分の体の中に入ってきた細菌やウイルスから、体を守ってくれている防御システムです。
大きく分けて自然免疫(生まれつき体に備わっている免疫)と獲得免疫(一度感染した病原体を記憶し、再度同じ病原体にかかった際に素早く排除していく免疫)の2つがあります。
 赤ちゃんはこの免疫をママの母体から受け継いで生まれてきます。
母乳には、免疫グロブリン(主にIgA)やラクトフェリン、リゾチーム、オリゴ糖といった免疫防御因子が豊富に含まれており、赤ちゃんは母乳からこの免疫を得ることで、生後6カ月ころまでは感染症からある程度守られています。
これが「生まれてすぐの赤ちゃんは風邪をひかない」と言われる理由です。
その後、生後6カ月を過ぎると免疫が低下し、1才を過ぎると赤ちゃん自身の免疫が徐々に発達していきます。
ただし、赤ちゃん自身の免疫がまだ十分に発達していないため、生後6カ月から3歳くらいまでは風邪などの感染症を繰り返しやすくなります
特に、保育園などの集団生活の中で風邪だけでなく、いろいろなウイルスや細菌に感染しやすくなるため、発熱や下痢などを繰り返すことがあります。
ではどうしたら赤ちゃんの免疫を高めることができるのでしょうか?


【赤ちゃんの免疫力を高めるためには?】

●予防接種のスケジュールを守る
感染症の重症化を防ぐために予防接種が大切です。
早めに計画を立て、接種できる月齢になったらできるだけ早く接種するようにしましょう。

●適度な日光浴
日光を浴びると体内でビタミンDがつくられます。
ビタミンDには免疫の機能を調整する効果があります。
低月齢の場合でもベランダや庭で外気浴させるとよいでしょう。

●バランスの取れた食事
母乳には免疫物質が含まれ、生後しばらくは最適な栄養源になります。
特に濃いクリーム色をした粘度の高い初乳(出産から3日頃までの母乳)には、免疫成分が多く含まれているので赤ちゃんには飲ませるようにしましょう。
母乳を与えることで、赤ちゃんは自然に病気に対する抵抗力を身につけることができます。
また、母親の脳から愛情を高めるホルモンとして知られる「オキシトシン」が分泌され母子のつなりがりを深める、産後の子宮の回復が促進されるといったメリットもあるため、可能な限り母乳を与えることをおすすめします。
ただなかには母乳が出づらい方などもいらっしゃると思います。
育児用ミルクには、血液凝固作用のあるビタミンKや骨・歯の発育に欠かせないカルシウム、カルシウムの吸収を高めるビタミンDなど、ビタミン・ミネラルが含まれ、母乳を補完する役割もあります。
育児用ミルクだけでも赤ちゃんは育ちますし、母乳ではなければ絶対ダメというわけではありません。
こうした点を知った上で、赤ちゃんに何を与えるか考えていただけたら嬉しいです。

【離乳食が始まったらこの栄養素!】

離乳食が始まったら、免疫力アップに欠かせないたんぱく質をはじめ、ビタミンC・A、鉄・カルシウムなどを積極的に取り入れるようにしましょう。

●たんぱく質
体の筋肉や臓器・血液・皮膚・粘膜など、体を構成するあらゆるものの細胞の主要な成分で、免疫細胞である白血球を構成する栄養素でもあります。

●ビタミンC
免疫細胞である白血球の働きをサポートしたり、健康的な皮膚や粘膜をつくって病原体が体内に侵入しないようにガードする働きがあります。

●ビタミンA
目や鼻、のどの粘膜・皮膚を正常に保つ働きがあり、体のバリア機能を高めて外からの異物(細菌やウイルスなど)が侵入するのを防ぎます。

そのほか、食物繊維の一種β‐グルカンを含むきのこ、乳酸菌やビフィズス菌など善玉菌を含む発酵食品などもおすすめです。

いかがでしたか?
免疫を高めるために、予防接種や食事、生活リズムなど赤ちゃんが健やかに成長できる環境を整えることが大切です。
赤ちゃんの免疫を理解して日々のケアをしっかりしてあげましょう。

Text by くまこ/食育インストラクター