ホクホク?ねっとり?種類いろいろ「さつまいも」

煮たり、焼いたり、揚げたりと、さまざまな調理法で楽しめる「さつまいも」。
甘くてほっこりする味で、料理はもちろん、お菓子の材料としてもよく使われています。

【好みの味を見つけよう!「さつまいも」の品種】

さつまいもは中南米が原産の野菜です。
15世紀末にコロンブスがアメリカからヨーロッパに持ち帰りましたが、気候が合わず、定着しませんでした。
その後、温かい地域に持ち込まれたことで世界中に広がり、日本へは1600年ごろに中国から琉球(現在の沖縄県)を経て、薩摩(現在の鹿児島県)に伝わりました。
「薩摩」からやってきた「いも」であることから「さつまいも」と呼ばれています。
生産量は、鹿児島県がトップ。次いで茨城県、千葉県、宮崎県などで多く作られています。

さまざまな品種が栽培されていますが、食感によって、大きく「ほくほく系」と「しっとり(ねっとり)系」に分けられます。今回は代表的な品種をご紹介します。

<ほくほく系>
●紅あずま
関東を中心に東日本で多く作られている品種で、濃い赤紫色の皮と鮮やかな黄色の果肉が特徴です。
ホクホクとした食感で、ほどよい甘さがあります。
繊維も少ないので、いろいろな料理やお菓子に使いやすいさつまいもです。

●高系14号
中部以西の西日本で多く作られ、徳島県の「鳴門金時」や鹿児島県の「紅さつま」はこの品種を改良したものです。
鳴門金時は栗のようなホクホクとした食感と上品な甘さがあります。
紅さつまは昔ながらのしっかりとした食感で、上品な香りと甘さが特徴です。

<しっとり系>
●紅はるか
2010年に品種登録された比較的新しい品種で、鮮やかな赤紫色の皮と濃い黄色の果肉が特徴です。
ほかのいもより「はるか」においしいことから名前がつけられ、しっとりした食感で強い甘みがあります。

●安納いも
種子島の安納地域で誕生した品種です。
糖度が高く、蜜があふれ出すほどのねっとりとしたクリーミーな食感と濃厚な甘さが特徴で、「蜜いも」とも呼ばれています。

●シルクスイート
紅はるかよりもさらに新しい、2012年に品種登録されたさつまいもです。
収穫直後はホクホクとした食感ですが、しっかり貯蔵して熟成させたものは名前のとおり、絹のようななめらかな食感になります。


【おいしい「さつまいも」の選び方と保存方法】

皮の色が全体的に均一で鮮やかなもの、ハリがあり、ふっくらとしていて持ったときにずっしりと重いものを選びましょう。
さつまいもは寒さと乾燥に弱い野菜です。
新聞紙やキッチンペーパーで1本ずつ包み、風通しのよい場所で保存してください。
室温が15℃以上になったら冷蔵庫へ。
ただし、10℃以下の場所では低温障害をおこし、品質が低下するおそれがあります。
キッチンペーパーに包んだ状態でビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存するのがおすすめです。
また、冷凍保存することも可能です。
生のまま食べやすいサイズにカットして水にさらし、水気を拭き取ってからジッパーつきの保存袋に平らに並べ、冷凍庫へ。
使うときは凍ったまま煮物やごはんなどの料理に入れてください。

【さわると手がベタベタ…「白い液体」の正体とは?】

さつまいもを切っているときに「白い液体がでて、手がベタベタ…」といった経験はありませんか?
この白い液体の正体は「ヤラピン」という成分です。
ヤラピンは、ヒルガオ科の植物に共通する成分で、一般的な食品のなかではさつまいも特有のものです。
さつまいもの皮にベタベタする黒いシミを見かけることがありますが、この正体もヤラピン。
ヤラピンは空気に触れたまま時間が経つと、ほかの成分と反応して黒くかたまります。
カビや傷みなどではないので、安心して料理に使ってください。
また、白い液体が出るとつい水で洗い流したくなりますが、ヤラピンは腸のぜん動運動を促し、便秘予防や解消に役立つ成分です。
ヤラピンをできるだけ残したい場合は、水にさっとくぐらせる程度にしましょう。
また、ヤラピンは皮のまわりに多く含まれているので、皮つきのまま調理するのがおすすめです。

【「さつまいも」の甘さを引き出す方法】

収穫直後のさつまいもにはあまり甘みがありませんが、一定の温度と湿度の場所で追熟することで甘みが増します。
これは、時間をおくことで、さつまいもの主成分であるでんぷんが「β-アミラーゼ」という酵素によって分解され、麦芽糖に変化するからです。
スーパーで売られているものは、この工程を踏んでから出荷しているため、購入してすぐに調理しても甘いさつまいもが食べられます。
そして、調理時により甘みを引き出すには、加熱する温度帯が重要です。
β-アミラーゼは、60~65℃の温度で最も活発に働くため、調理時にこの温度帯でじっくり加熱するほど、さつまいもの甘さが引き出されます。
しかし、75℃以上になってしまうとβ-アミラーゼが失活してしまうので、電子レンジのように中心部まであっという間に加熱されてしまう調理法は、酵素の力が発揮されず、さつまいもの甘みを最大限にいかすことができません。
お店などで買う焼きいもが甘いのは、この温度帯でじっくり加熱しているからですが、お家で同じように調理するのはなかなか難しいもの。
そこで、お家でできるさつまいもを甘くする方法を3つご紹介します。

①オーブンで加熱する
時間がかかるのが難点ですが、温度が一定に保てるオーブンは、手間をかけずにさつまいもを甘くすることができます。
方法はかんたん!
洗ったさつまいもをアルミホイルで包み、160℃のオーブンで60~90分、竹串がスッと通るまで加熱するだけです。
オーブンは予熱せず、徐々に温度を上げていくとより甘みが引き出されます。

②電子レンジで加熱する
電子レンジもW数をうまく設定すれば、さつまいもを甘くすることができます。
濡らしたキッチンペーパーでさつまいもを包み、ラップをしてから電子レンジに。
500~600Wの電子レンジで約2分加熱したあと、200~300Wにして10分ほど加熱すると、ゆっくりと火が入り、甘く仕上がります。

③ごく弱火でじっくり加熱する
煮物などにするときは、カットしたさつまいもを水に入れ、弱火にかけてじっくりと煮ることで甘くなります。
ポイントは、ずっと弱火のままで加熱すること。
沸くまではつい火を強めてしまいがちですが、そうすると甘みが引き出される前に火が通り、煮崩れの原因にもつながります。

さつまいもがおいしくなるのは、10月~1月のこれからの季節です。
甘くてホクホクしたものから、ねっとりとしたものまで、さまざまな食感が楽しめるさつまいも。
ぜひ、おいしい季節にいろいろな料理で楽しんでください。

Text by まち/食育インストラクター