
各地域に古くから伝わる郷土料理のなかから、今回は滋賀県の「丁稚羊羹」をご紹介します。
【滋賀県の郷土料理】
■ふなずし
琵琶湖でとれるニコロブナを塩漬けにし、ごはんに漬けて乳酸発酵させた料理です。
ふなずしは、発酵が進むにつれて「馴れる、熟れる」ことから名がつけられた「なれずし」の一種です。
特有の香りと酸味、強いうま味が特徴で、乳酸発酵により骨までやわらかく、薄くスライスして骨ごといただきます。
お祝いやお正月などのハレの日のごちそうであるほか、滋養強壮やお腹の薬の代わりとしても食べられてきたそうです。
■焼きさばそうめん
焼いたさばを甘辛く煮て、その煮汁にそうめんを入れた長浜市を中心とする湖北地方の料理です。
農家に嫁いだ娘に親が焼きさばを贈る「五月見舞い」という湖北地方特有の風習に由来します。
今でも農繁期に五月見舞いとして食されているほか、毎年4月の「曳山(ひきやま)まつり」のごちそうとして、ハレの日にも振るまわれています。
■えび豆
琵琶湖でとれるスジエビと大豆を甘辛く煮た料理です。
滋賀県では古くから大豆や小豆が栽培されており、手に入りやすい食材であったことから日常的に食されています。
また、えびのように腰が曲がるまで元気でいられるようにと長寿への願いをこめ、お正月などにも食べられています。
■丁稚(でっち)羊羹
小豆あんに小麦粉や上新粉を混ぜ、竹の皮で包んで蒸した羊羹です。
海から遠く、寒天の入手が難しいことから小麦粉を使って作られるようになったそうです。
「奉公に出ていた丁稚(住み込み、無給で雑用や仕事の見習いとして働いていた少年のこと)が里帰りのお土産に安価な羊羹を持ち帰った」、「母親が丁稚の奉公先に持たせた」、「和菓子職人などの間で「こね合わせる」ことを「でっちる」ということから」など、その名にはさまざまな説があります。
【「丁稚羊羹」を作ってみよう!】
小豆あんの素朴な甘さともちもちとした食感が楽しめる和菓子です。
<材料(2本分)> 調理時間:30分(冷ます時間は除く)
こしあん・・200g
小麦粉・・20g
上新粉・・20g
水・・大さじ2~
竹の皮・・2枚
<作り方>
- 竹の皮を水に浸けてやわらかくしておく。
- ボウルにこしあんと小麦粉・上新粉を入れ、よく練る。
粉っぽさが無くなったら水を少しずつ加え、耳たぶくらいのかたさにする。 - 竹の皮の水気をふき取り、皮の端をひも用に細く裂く。
竹の皮の内側に(2)の半量をのせ、4辺を折りたたんで包み、ひもで結ぶ。
同じものをもう1つ作る。 - 蒸気の上がった蒸し器に(3)を並べ、20分ほど蒸す。
冷めたら食べやすい大きさに切り分ける。
もっちり感をプラスするために粉の半量を上新粉にしていますが、すべてを小麦粉にしても作れます。
竹の皮は通販や製菓材料店で購入することができます。
手に入らない場合には、クッキングシートで代用可能です。
【「丁稚羊羹」は滋賀県だけではない!?】
今回は滋賀県の郷土料理としてご紹介した「丁稚羊羹」ですが、実はほかの県にも存在しています。
■福井県
水に寒天を溶かし、あんこと砂糖を加えて煮つめ、冷やしかためたものです。
奉公に出た丁稚が里帰りのときに持ち帰った羊羹を水でのばして作り直したことに由来しています。
水ようかんよりも砂糖や寒天の量が少なく、保存性が低いことから冬によく食べられているようです。
■大阪府
大阪府の北部に位置する北摂地域の特産品が寒天であることから作られるようになった羊羹です。
水に寒天を溶かし、あんこと砂糖を加えて煮つめ、冷やしかためて作られます。
高価であった砂糖の使用量は少なく日持ちしないこと、農閑期にあたる冬に寒天が作られたことから、冬によく食べられてきました。
いつもの羊羹とひと味違う「丁稚羊羹」。
材料も少なく簡単にできるので、ぜひ、作ってみてはいかがでしょうか。
Text by まち/食育インストラクター




