一体いつからはじまったの?おせち料理をめぐるあれこれ

何かと忙しい現代においては、家庭で手作りすることは少なくなってきましたが、お店に予約するなどして、年始には必ずおせちを召し上がっている方はまだまだたくさんいらっしゃるかと思います。
それにしても、おせち料理の「おせち」ってなんだろう??
…改めて聞かれるとぱっと答えられないかもしれません。
今回は身近なようで意外と知らない、おせち料理にまつわるお話です。

【漢字で書くと一目瞭然!?】

「おせち」を漢字で書くと、「御節」となります。
そのまま読んだ通り、節とは節句のことを指すので、おせち料理はお節句の時にいただく料理という意味なのですね!
ですが、節句は一年のうちに何回かあるものです。
そして多くの節句が、何らかの食べ物や料理と関わりがあります。
お節句料理と言うなら、それらの料理もおせちと言われておかしくないはずなのに、どうしてお正月料理だけがおせち料理と呼ばれているのでしょうか?
それは、「一年の計は元旦にあり」という言葉もある通り、新しい年を迎えるということが一年の中で最も重要視されていたからだと考えられています。
節句を迎えた時にいただく料理は縁起を担いだり健康を願ったりする意味が強いものですが、おせち料理のお重の中は、まさに縁起物詰め合わせ!といわんばかりのラインナップです。
それだけ、これから一年間への願いが込められているということなのです。


【おせち料理に願いを込めて】

お重に詰める理由も、めでたいものが重なるようにという意味があるとされるおせち料理。
代表的な具材だけでも、これだけの意味があるのです。

☆数の子
たくさんの卵は子孫繁栄を願う意味があります。

☆田作り
片口いわしは肥料に使われることもあり、その年の豊作を祈願する意味があります。

☆黒豆
マメに働く、勤勉
の意味を込めて。
また、穀類には魔除けの力があると考えられています。

☆伊達巻
巻物に見立てられ、勉学の向上を願う意味があります。

☆栗きんとん
きんとんの金色は金銀財宝を意味し、商売の繁栄を願う意味があります。

すべてをご紹介しようと思うとあまりにも膨大になってしまうのでこの辺りでとどめますが、おせち料理には本当にたくさんの願いが込められているのですね。

昨今はおせち料理事情もいろいろと変わっていて、華やかな中華料理風やきらびやかな西洋料理風のものも珍しくなくなりましたが、時には伝統的な和の食材のおせちに、一年の願いを込めてみてはいかがでしょう?

Text by はむこ/食育インストラクター