東京野菜の秘密練馬大根編

東京野菜の秘密練馬大根編

つい先日、近所の農家さんのところに野菜を買いに行こうとしたら、畑が更地にされていて、来年に建つマンションの入居者募集のお知らせだけが残されていました。
それについての是非はともかく、食の生産地が失われてしまったのは事実。
そこで今回から不定期で、
消えつつある東京野菜にスポットを当てて、少しずつご紹介させて頂きたいと思います。
初回は私の地元、練馬区より「練馬大根」を取り上げさせていただきます。

漬物ならこれ!という時代もあった…

名前だけはやたらと有名な練馬大根。
でも実際に食べたことのある方は(特に現在は)ごくわずかかと思います。
それもそのはずで、今現在練馬区で最も生産量の多い野菜はキャベツ!その作付面積は練馬区全体の畑のうち40%を占めるという、区を代表する野菜です。
では練馬大根はどうしてしまったのか?と申しますと、今ではごく一部の契約農家さんのみが栽培しているという厳しい現状…まるで絶滅危惧種のような扱いです。
もともと練馬の土は赤土で、根菜類、特に大根の栽培に適していたため、かつては広大な作付け面積を誇りました。
たくあん漬けにするならこれ!とまでいわれていたほど名を馳せたのに、どうしてこうなってしまったのでしょう?
よく伝えられているのが、戦後の病害や純粋な農地の減少ですが、それだけではない厳しい理由が存在しているのです。


毎年引っこ抜き大会が開かれるほどです…

練馬大根が姿を消した理由、それは「収穫がとにかく大変!」という一言に尽きます。
確かに、農地は年々減少していきましたし、病害は深刻な問題でした。
ですが、一番の理由は
「収穫の困難さ」こそにあるのだと、地元の生産者の方はおっしゃるのです。
それというのもこの練馬大根、長さは一般的な青首大根に比べて長いのが特徴です。
これはつまり、地中深くまで根が埋まっているため、引き抜くのに強い力が必要になるということです。
加えて、練馬大根は根が細いため、力加減を少し間違えただけで簡単に折れてしまいます。
そのため1本に2人がかりで行うこともあるほど、収穫が難しい野菜なんです。
高齢化が進み、成り手も少ない生産者の方々にとって、この問題は決して軽視することはできないのだそうです。
そして、食の欧米化で
漬け物の需要が減ったというのも追い風になり、練馬大根は農地から姿を消していったということなんです。

いかがでしたか?現在でも、冬場に生産者さんの販売所に行けば手に入ることがありますし、漬物に加工されたものは少数ですが流通しています。
今後も応援していきたいですね。

Text by はむこ/食育インストラクター