これからが旬のりんご!美味しさを保つ貯蔵法CAとは?

人類が食べた最古のフルーツとされる、りんご。
一年中食べられるのには秘密がありました!

【りんご】

りんごはバラ科リンゴ属の果物で、樹木に生ります。
諸説ありますが、起源はおよそ4000年前(8000年前説も)といわれ、世界中で食べられています。
日本では青森県が国内生産の60%近くを作っています
日本へは鎌倉時代中頃に伝来した記録がありますが、現在のような大きな実ではなく、苦味があり小さかったそうです。
大きく甘い実が栽培され始めたのは明治初期とされ、アメリカから様々な品種のりんごを輸入し、独自に品種改良されてきました。

【日本が生んだ品種「ふじ」】

りんごの品種はたくさんあり、日本で主に栽培されているだけでも100品種を超えるといわれ、世界に目を向けてみると、数千種~一万種もあるとされるほどです。
そんな中で、日本で品種改良して生み出された「ふじ」は世界各地で作られる最も生産量の多いりんごなのだそうです。
日本での生産量も、りんご全体の約半数を占めるので、その人気ぶりがうかがえます。

【幻のりんご「印度(いんど)」】

「印度」はその昔、酸味の強い品種が多かったりんごの常識を覆すような画期的な甘さで人気を博した品種です。
アメリカのインディアナ州より種を取り寄せて栽培を行ったため、この名がついたとされていますが、海外生まれではなく、日本原産の品種です。
黄緑系の皮を持つ王林や、赤い皮(袋をかけずに育てると皮が黄緑色になる)系の品種、陸奥の交配親でした。
後に誕生した「ふじ」などの果汁たっぷりで甘い品種に押され、栽培量が激減してしまい、現在は細々と栽培される程度となっています。
貴重なりんごなので、見かけたらぜひ召し上がってみて下さい。


【一年中食べられる理由】

りんごの旬は秋から冬にかけてですが、比較的安定した価格で通年流通しています。
その理由は、現在主流CA(Controlled Atmosphere)と呼ばれる貯蔵法のおかげで長期保存が可能になったためです。
果物は収穫後も私たちの様に空気中の酸素を利用して呼吸をします。
ですが、その際にエネルギーを消費するため、味や鮮度が落ちてしまうのです。
CA貯蔵法は収穫後に空気中の酸素・二酸化炭素・窒素といった成分をコントロールし、低温で保管する事により鮮度を保つ方法です。
この方法が確立したことにより、通年美味しいりんごを食べる事が出来るようになりました。

【エチレンガスに注意!!】

りんごは保存中にエチレンガスを放出します。
このガスは野菜や果実が熟すのに必要なものですが、行き過ぎると腐敗に繋がります。
冷蔵庫等でりんごを保存する際はビニール袋等で覆い、保存する事をおすすめします。
りんごは逆さに保存するとよりエチレンガスを排出するので、保存の際は向きにも注意!です。
また、「キウイとりんごを一緒にしておくとキウイが甘くなる」という話を聞きますが、これはりんごのエチレンガスを利用してキウイを追熟させた結果です。
ちなみに、他の物の熟成を促進するエチレンガスですが、じゃが芋に関しては発芽を抑制する効果があるのだそうです。
先ほどの話とは逆に、こういった利用の仕方もあるのですね。

【蜜りんごの蜜は甘くない!?】

りんごを切ると芯の周りに蜜があるものがあります。
ソルビトールという糖アルコールが染み出た物で、蜂蜜のようにみえるので蜜りんごと呼ばれています。
甘いイメージが強いですが、この蜜のような部分は実は甘くないのです。
しかし、完熟したものには蜜が入るため、食べると結果的に甘いりんごというわけです。

いかがでしたか。
身近なりんごですが、意外と知らないことだらけ。
果物は不思議がいっぱいです!

Text by さゆり/食育インストラクター

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