歳時記を知ろう③

今回は8月の歳時記をご紹介します。

【歳時記とは】

当初、歳時記(歳事記)は太陰太陽暦(旧暦)を基にした年中行事や四季の事物をまとめた物を指しましたが、江戸時代以降になると、俳句や俳諧の季語を分類し、解説等を加えた書物の事を指すようになりました。
現在では、「食の歳時記」や「暮らしの歳時記」「季節の歳時記」といった様々な形で行事や四季を身近に楽しみ、感じてもらえるよう出版されています。
※太陰太陽暦にも様々な計算方法があり、その中で太陽暦に変わる直前まで使用されていた「天保暦」を一般的には「旧暦」という事が多いようです。

【葉月(はづき)】

葉月は8月の別名。
名の由来は旧暦の8月が現在の9月~10月上旬にあたる事から、「葉が落ちる、葉落ち月」が転じた説や、北から雁という鳥がその年初めて飛来する月である事から「初来月」→「初月」→「葉月」となった説、稲穂が膨らみ、張ってくる時期なので「穂張り月」→「張り月」→「葉月」となったとする説等、様々です。

【8月の行事など】※2017の旧暦を基に日にちを出しています。

1日:八朔(はっさく)
旧暦では毎月1日を朔日(さくじつ)といい、八朔は8月1日を指します。
別名「田の実の節句」ともいわれ、転じて「頼みの節句」として、一足早く収穫を迎える品種の稲の初穂を、日頃お世話になっている方へ感謝の意を込めて贈る日となりました。

7日:立秋(りっしゅう)
立春からちょうど半年が経ち、夏至と秋分の中間となるのが立秋。
ここから立冬前日までを秋としています。
暦の上では秋になりますが、1年のうちで一番暑い時期です。
立秋以降(~8月末まで)の夏の書状は暑中見舞いから残暑見舞いに変わります

13~16日:盂蘭盆会(うらぼんえ)
お盆の正式名称
仏教では先祖の霊が7月15日に帰ってくるとされ、準備をして家に迎え、供養と平穏無事に過ごせる事への感謝をする日
殺生を禁じる仏教の教えにのっとり、穀類・野菜中心の精進料理をいただきます
本来7月の行事ですが、旧暦の7月は現在の8月頃にあたるため、8月に行う地域も多いです。
夏の風物詩でもある盆踊りの基は盂蘭盆会で招いた霊をあの世へ送るための踊りでした。

23日:処暑(しょしょ)
日中はまだまだ暑さが続いていますが、暑さのピークが収まる時期。
徐々に秋の気配が深まります。

24日:地蔵盆(じぞうぼん)
関西地方で盛んな行事。
子どもをお守りしてくれるお地蔵様のためのお盆で、子どもが中心となって行います。


 【味覚】

とうもろこし、すいか、かぼちゃ、なす、もも、ぶどう、すだち
カサゴ、アワビ、たちうお、ぐち など

 【盂蘭盆会の食べ物】

旧暦の季節感を大事にする意味も含め、8月に行われる事が増えたお盆。
その際にいただく精進料理は肉や魚を食べない野菜中心の食事ですが、食べてはいけないとされる野菜があるのをご存知ですか。
それは「葱・ニラ・にんにく・らっきょう・玉ねぎ(宗教や思想などによって、山椒・生姜を禁じる事もあります。)」で、五葷・五辛(ごくん・ごしん)と呼ばれる野菜です。
仏教の教えが基になっているので欲望を刺激しやすい食べ物・臭いがキツイため、修行の妨げになる食べ物が禁じられた事に由来します。
お盆の精進料理は地域性に富むため、様々なものがありますが、よく出されるものとして、精進揚げ(野菜の天ぷら)・煮しめ(野菜の煮物)・団子・そうめんが挙げられます。
夏休みの時期という事もあり、親戚一同が集まるご家庭も多いと思います。
集まった際は故人を偲びながら、みんなで精進料理をいただきましょう。

8月が過ぎれば徐々に暑さも和らぎます。
夏バテしないよう、しっかり食べ、睡眠もたくさんとって元気に過ごしてください!

Text by さゆり/食育インストラクター