スーパーなどで梅が並び始める6月。
このころになると梅干しや梅酒、梅シロップを作るという方もいるのでは?
今回は梅の品種と嬉しい効果などについてのお話です。
【梅の起源】
梅は中国が原産といわれるバラ科サクラ属の果実で、古くから薬用として利用されてきました。
日本には中国から伝来し、奈良時代にはすでに加工して食べていたようです。
その後、平安時代中期に梅干しの原形とも言える梅の塩漬けが書物に登場し、江戸時代になるとさまざまな梅の漬け方が誕生しました。
現在、梅の生産量1位は和歌山県で約60%、2位は群馬県で約6%と、2県で全体の7割を占めています。
【梅の代表的な品種】
100種ほどあると言われる梅のなかから、代表的な品種を3つご紹介します。
■南高梅
和歌山県を代表する品種で、知名度も生産量も日本一です。
大粒で肉厚な果肉が特徴で、梅干しをはじめ、梅シロップや梅酒など、さまざまな用途に適しています。
■白加賀梅
江戸時代から栽培されていた梅の代表品種のひとつです。
群馬県など、主に東日本で多く栽培されています。
肉厚な果肉が特徴で、梅干し、梅シロップ、梅酒など、幅広い用途で使われています。
■龍峡小梅
小梅のなかでは、一番多く生産されている品種で、長野県で多く栽培されています。
加工しても果肉がかたく、食感を楽しむカリカリ梅によく使われています。
【梅の熟度と利用方法】
■青梅
見た目が青く、実の全体がかたい、熟していない梅のことです。
酸味や風味が強く、食感はカリッとしています。
梅のエキスがよく出るので、梅酒や梅シロップによく使われます。
■半熟梅
青梅が少し黄色く色づいてきた梅のことです。
青梅に比べ、まろやかな甘味があり、梅酒や梅シロップ、梅ジャムなどに適しています。
かたい食感の梅干しを作りたいときは、この時期の梅干しを使うとよいとされています。
■完熟梅
全体が黄色く熟した梅のことです。
青梅に比べて皮が薄く、果肉がやわらかいので、甘味やフルーティーな香りが楽しめます。
梅干しや梅ジャムがおすすめです。
これらの梅を購入するときは、表面に傷が無く、丸みを帯びているものを選びましょう。
【梅・梅干しの嬉しい効果】
●疲労回復効果
梅にはクエン酸が多く含まれています。
クエン酸は疲労の原因となる乳酸の発生を抑えたり、体外に排出する働きがあり、疲労回復に期待できます。
●食欲増進効果
梅に含まれるクエン酸は、唾液の分泌を促して食欲を増進させてくれます。
さらに胃液などの分泌を高め、消化吸収を助けてくれます。
●整腸効果
梅干しには植物性の乳酸菌が多く含まれ、善玉菌のエサとなり、腸内環境を整えてくれます。
また、クエン酸などの有機酸には、悪玉菌などの増殖を抑える働きがあり、より整腸効果に期待できます。
●静菌効果
梅干しには静菌作用があり、食中毒の原因となる菌の繁殖を抑えてくれます。
ただし、減塩タイプのものやアミノ酸、甘味料が加えられたものだとあまり効果は期待できません。
お弁当に梅干しを入れたから大丈夫と思わず、しっかりと冷まし、保冷剤や保冷バックも上手に活用しましょう。
【未熟な梅の生食には注意!】
未熟な梅の実には青酸配糖体の「アミグダリン」という物質が含まれています。
青梅に多く含まれ、生の青梅を大量に食べると嘔吐や下痢、腹痛、頭痛などの中毒症状を起こすおそれがあるので注意が必要です。
このアミグダリンは果実の成熟にともない、分解されて消失していきます。
また、梅干しや梅酒などは加工の段階で分解が促進されるため、通常の摂取であれば心配はありません。
梅はおいしいだけでなく、嬉しい効果がいっぱい!
そのまま食べるだけではなく、梅干しは調理の味つけに、梅シロップや梅ジャムはお菓子作りにも重宝します。
時間があるときには、生の梅を購入し、自家製の梅干しや梅シロップなどを作って楽しんでみてはいかがですか。
Text by まち/食育インストラクター