子どもの成長を助ける栄養素①~丈夫な骨と歯をつくるカルシウム~

子どもの健やかな成長のためには、十分な栄養を摂ることがとても大切です。
そこで「子どもの成長を助ける栄養素」では、成長に必要な栄養と食材についてシリーズでご紹介します!
今回のテーマは「丈夫な骨と歯をつくるカルシウム」です。

【カルシウムとは…】

体内に存在するミネラルの中で一番多く、体重の約1~2%を占めます。
体内のカルシウムの約99%は骨や歯などに、残りの1%はなんと血液や体液、筋肉などに存在します。
カルシウムが血液中にあることによって、体をスムーズに動かしたり、血圧を下げたり、出血を止める働きに一役買ってくれているのです。

【成長期に最も必要!!】

小学生の高学年から中学生は、男女ともに最も成長する時期です。
また活発に運動したりするので、一日に必要なカルシウム推奨量は最大になり、30~49歳の大人よりも多くなっています。
体は小さくても、成長のためにたくさんのカルシウムが必要になるのです!!

カルシウムの食事摂取推奨量(mg/日)

骨に蓄えられたカルシウムの量を「骨量」といい、成長とともに増えていきます。
通常20代にかけて最大骨量(一生の中でピークに達した時点の骨量)に到達し、それ以後は増加しません。
そして年をとるにつれて、骨量は少しずつ自然に減っていきます。
一定量を下回ると、骨がスカスカになり、骨折しやすくなってしまいます。
この状態が骨粗しょう症です。
最大骨量が高ければ高いほど、年をとってから骨粗しょう症になりにくいといわれています。
つまり、成長期に十分なカルシウムを摂り、しっかり運動をして、骨量を増やしておくことがとても重要なのです。


【カルシウムを摂ろう!!】

カルシウムなどのミネラルは体で作り出すことができないので、必ず食事から摂る必要があります。

 ≪カルシウムが多く含まれる食品≫
●牛乳などの乳製品
●小魚や干しエビ
●ひじき
●大豆製品
●小松菜やモロヘイヤ、大根の葉など

以上の食品には多く含まれていますが、カルシウムの吸収率は食品によって大きな差があり、牛乳・乳製品は約40%、小魚は約30%、青菜は約18%です。
そうなのです!実はカルシウムは体内に吸収しにくい栄養素のひとつです。
たくさん摂っているつもりでも腸での吸収率が悪いため、身体の隅々まで行きわたりません。
よって慢性的にカルシウム不足な人が多いのが現状です。
では・・・

【カルシウムだけじゃダメ!!効率よく摂取するためには?】

カルシウムの多い食品を食べるだけでなく、吸収を助けてくれる栄養素も一緒に摂るようにしましょう。

≪骨の吸収を助けてくれる栄養素≫
●ビタミンD・・・魚介類、きのこ類
●ビタミンK・・・納豆、のり、おかひじき、春菊
●たんぱく質・・・肉、魚、卵、大豆・豆製品
●クエン酸・・・レモン、グレープフルーツ、梅干し、酢
●フラクトオリゴ糖・・・ごぼう、アスパラガス、にんにく、玉ねぎ

そのほか、マグネシウムやリン、銅、マンガン、亜鉛などのミネラル、ビタミンCや大豆イソフラボンなども健康な骨の維持に重要な役割を果たしています。
しかし、これらを摂りすぎてしてしまうと逆効果!!
例えば、リンとカルシウムを1対1で摂ることで、骨や歯の強化につながりますが、リンが多く含まれる肉やインスタント食品、加工食品を摂りすぎてしまうとカルシウムの吸収が妨げられてしまいます
日本人の平均摂取量ではカルシウムが摂取基準に達していないのに対し、リンは摂取量の約2倍にのぼっているのが現状です。
かといって、カルシウムを摂りすぎると鉄などほかのミネラルの吸収を妨げてしてしまうのです。
栄養が偏らないようにバランスよく食べることが大切ですね。
また、現在多くの子どもたちが部屋にこもってゲームや勉強など、外で運動することが少なくなってきています。
ビタミンDは日光を浴びることによって体内で生成されるため、外で元気に遊ぶことはとても大切なことなのです。

いかがでしたか?
さまざまな食品を組み合わせて、たくさんの種類の栄養素を体内に取り込むことが子どもたちの健やかな成長へのカギとなります。
カルシウムの多い食品、栄養バランスを意識して、できることから始めましょう!

Text by くまこ/食育インストラクター