離乳食とBLW

世界20カ国以上で取り組みが広がっている「BLW」。
今回は従来の離乳食と「BLW」の違いやメリット・デメリットについてご紹介します。

【BLWとは】

「Baby led weaning」の略で、「Baby led=赤ちゃん主導、weaning=離乳食」のことです。
イギリスの保健師であり助産師でもあるGill Rapley(ジル・ラプレイ)氏が提唱している赤ちゃん自身が決める離乳食の取り組みです。
日本の従来の離乳食では、生後5~6カ月(ただし個人差があり、月齢はあくまで目安)に合わせて親が離乳食を始めるタイミングを決めるのが一般的ですが、BLWは赤ちゃんが離乳食の食べ始めを決めるのが特徴です。
赤ちゃんが食事に興味を持ち、食べる順番や量、ペースを決めて、自分の意志で食べるまで待つという考え方で、裏ごしたり、ピューレ状にしてスプーンで食べさせる必要はなく、固形状の食べ物を手づかみ食べさせます。

【いつから始める?】

ひとりでお座りができ、食べ物に興味を持って自分で食べることができればOK
椅子に座らせ、家族と一緒に食卓を囲んで食べましょう。
果物や火が通った野菜・肉・魚、卵、パン、パスタ、ごはんなど、手づかみしやすいように太めで長いスティック状のものから始めましょう。


【メリットは?】

①赤ちゃんの意思を尊重することができる
自尊心を高め、赤ちゃんが持つ能力をしっかりと引き出すことができると言われています。

②家族で食事の時間を楽しく過ごせる
従来の離乳食では赤ちゃんのためだけに離乳食を作り、食べさせることに時間を取られ、一緒に楽しく食事ができていない方も多いのではないでしょうか?
BLWは赤ちゃん自身が好きなように自分で食べるので、一緒に食卓を囲みながら食事をすることができます。

③赤ちゃんの摂食機能の発達を促す
従来の離乳食でも言われるように手づかみ食べは、見る・触る・嗅ぐなど五感をフル回転し、「食べたい」という意欲が脳を刺激して自発性や調整力の発達を促します。
また、手づかみ食べが上達し、目と手と口の協働ができていることによって、スプーンやフォーク、お箸、食器などが上手に使えるようになります。

④離乳食を作る負担が減る
裏ごしやペースト状にする必要がなく、食材をカットして加熱するだけなので、調理の手間が省けます。

【デメリットは?】

①窒息のリスク
月齢に合ったやわらかさで加熱や形に気を付けて提供することが大切です。

②栄養の偏り
気に入ったものだけ食べる可能性があるため、注意が必要です。
また、赤ちゃんは6カ月を過ぎると鉄不足に陥りやすいため、意識的に鉄の多い食材を出すなどして、摂らせるようにしてあげましょう。

③後片付けが大変
手づかみ食べ全般に言えることだと思いますが、食べ物を落としたり、つぶしたり、食べ散らかします。
ポケット付きのエプロンをさせたり、椅子の周りに新聞紙やマットなどを敷いて対策を取るとよいでしょう。

窒息のリスクや栄養の偏りは、BLWだけでなく従来の離乳食にも言えることなので、ポイントを抑えて気を付けてあげましょう。

 【BLWで注意することは?】

赤ちゃんは消化器官がまだ十分に発達していないため、「塩分や糖分を多く含むもの」、「ファーストフードのように添加物が多いもの」 は避けるようにしましょう。
また、魚や肉はよく火を通し、繊維が多いものは避けましょう。
はちみつは、乳児ボツリヌス症を発症する恐れがあるため、1歳未満には与えないでください。
アレルギーが出やすい食材は、少量ずつ始めるなど注意が必要です。
赤ちゃんの健康や発達に関する不安がある場合は、BLWの導入についてかかりつけの小児科医に相談しましょう。

いかがでしたか?
BLWは、赤ちゃんが自分で食べたい食材、食べたい量を自分で決めているので、「あんなに一生懸命時間をかけて離乳食を作ったのに…」「全然食べてくれない…」といったストレスが少ないところがいいですね。
ただし、BLWは、従来の離乳食よりもよいと言える明確なエビデンスがないため、実践するにはメリットだけに目を向けず、離乳に関して親が正しい知識を学ぶことが大切です。

今回はひとつの手法としてご紹介させていただきました。
BLWを実践する、しないどちらにしても、離乳食はパパやママ、赤ちゃんにとって楽しい時間となりますように。

Text by くまこ/食育インストラクター