家庭菜園~茄子作りに挑戦~

自分の食べるものがどうやって出来ているのかを知ることは、とても大切です。
今回は家庭菜園のなかでも、お子さんと一緒に取り組みやすい茄子作りについてと、簡単レシピをご紹介します。

【茄子】

茄子は、ナス科ナス属の野菜でインド東部が原産とされています。
茄子はほとんど水分ですが、便通の改善に役立つ食物繊維が豊富です。
また余分な塩分や水分を体の外に出す働きのあるカリウムも含むので、高血圧やむくみを改善する効果が期待出来ます。
茄子で注目すべきは茄子紺と呼ばれる独特の色が特徴の皮です。
皮の色は、ナスニンというアントシアニン系色素で、抗酸化力の強いポリフェノールの一種です。
免疫力を高めたり、眼精疲労や視力改善に効果的なので、タブレットやゲームなどで画面を見る機会の多い現代の子にはおすすめの食材です。

【茄子の種・苗の選び方】

ひとくちに茄子といっても、さまざまな品種があります。
最も生産量の多い茄子は千両茄子という長卵形品種で、スーパーなどに広く出回っています。
皮は適度な薄さで果肉がやわらかく、炒め物や揚げ物・煮物・漬物と、さまざまな調理法に対応出来る万能タイプです。
そのほかにも長茄子や丸茄子・米茄子・水茄子などの品種があり、最近では皮の色が白や緑のもの、ゼブラ柄のものなども出回っています。
茄子は果肉の肉質で適した調理法が異なるので、使用目的に応じた品種を選びましょう。
茄子は種から育てることも可能ですが、手軽に始めたい場合や慣れないうちは、ホームセンターなどで売っている苗を買って育てると、成功しやすいです。
種も苗も育った実の写真がパッケージなどに載っているので、収穫イメージが想像出来ます。
また最適な栽培時期や栽培方法が記載されている商品が多いので購入する際は参考にしてください。

苗を購入するときは、

  • 茎が太く、葉が8枚前後ついていて、一番下に双葉があるもの
  • 一番花の蕾が付いているか、一番花が咲いているもの
  • 虫食いや葉が病気で弱っていないもの
  • 根がポット全体にしっかりと張り、下から出そうなくらい勢いのあるもの

を選ぶとよいでしょう。


【植え付けのポイント】

土をいちから作っていくのは難しいので、市販されている肥料入りの土を購入すると簡単です。
茄子は暖地では4月下旬頃、中間地では5月上旬頃、寒冷地では5月中旬頃を目安に苗を植えます。
種の場合は、発芽させてから植えることが出来る状態になるまで時間がかかるので、もっと早い時期から着手します。
購入してきた苗が上記の状態よりも小さい場合は、定植出来るようになるまで育苗してから植え変えてください。
成長すると茎は幹のように太くなり、枝も大きく伸びますので、プランターで茄子を栽培する場合、大型のプランターで深さが30cm以上あるものを選びましょう。
基本的には1本ずつ植える事が望ましいですが、複数植える場合は、間隔を30~50cm程度をあけるようにしてください。
直接地面に植える露地栽培の場合、プランター植えより大きくなる場合が多いので、間隔を50~80cm程度離して植えましょう。
植えたら風などで茎が折れてしまわないように仮支柱をします。
最初と2番目の実がついたら、もったいないと思うかもしれませんが、それらは小さいうちに収穫します。
そうすることで以降の実が大きく育ちます。
最盛期になるとたくさんの花がつくようになります。
すべての実を大きく育てようとすると栄養不足で実が大きくならなかったり、茄子本体が疲弊してしまうので、発育が順調な実を残し、そのほかは小さいうちに収穫して、おいしくいただきましょう。

 ●水やり
初夏から夏場に育てるため、晴れている日は朝夕2回水をたっぷりと与えます。
でも、水はけが悪いと根や葉が腐る可能性もあるので、曇りの日は朝1回にするなど状況に応じて調整しましょう。
また、葉が茂り過ぎると風通しが悪くなります。
余分な葉を落としたり、不必要な脇芽は取り除くなどしてください。

●追肥
茄子は栄養をたくさん必要とする野菜です。
植え付けたら、2週間に1回を目安に追肥をし、土壌の栄養を切らさないことが大切です。
即効性を期待する場合は液体肥料、時間をかけて長く栄養を与えたい場合は粒状の肥料が効果的です。
併用も出来ますので、用途に合わせて事前に準備しておきましょう。
花がつき始めたら、雌しべの状態で、栄養の過不足を確認することが出来ます。
栄養が十分なときは、花の中心にある雌しべが、まわりの雄しべよりも長く出ています。
逆に、栄養が不足している場合は、雌しべが雄しべよりも短く、見えにくい状態となります。
実がたくさんつき始めると、栄養不足に陥ることが増えますので、水やりの際に開花している花の状態チェックを習慣化するとよいですね。

 ●収穫の目安
開花後、20~25日程度
で収穫出来るようになります。
品種によって異なりますが、長卵形であれば10~15cm、長茄子は40cm前後が収穫の目安サイズです。
皮がみずみずしく、ぴんっと張ってツヤがある状態で収穫するとよいでしょう。
時期を過ぎると、皮が厚くなります。

上記はあくまで基本的な内容です。
やり方もさまざまなので、詳しくは園芸の本を見る・購入先の方や経験者に話を聞くなどしてください。

【茄子の揚げ浸し】

茄子といったら油!というくらい相性のよい食材です。
今回はお酢を加えた浸し地で、さっぱりいただけるレシピにしました。

 <材料(作りやすい分量)> 調理時間:20分(茄子のアク抜き、浸し地に浸ける時間は除く)
茄子・・5本(400gくらい) ※今回は長卵形の茄子を使用
塩・・少々
いんげん・・6本
A出汁・・1カップ
Aしょうゆ・・1/4カップ
Aみりん・・1/4カップ
かつお節・・5g
砂糖・・小さじ1~2
酢・・大さじ1~2

薬味(しょうが・みょうが・しそなど)・・お好みで

 <作り方>

  1. 茄子はヘタを落として縦半分に切り、皮面に細かくななめの切り込みを入れ、2~3等分に切る。
    いんげんは2~3等分に切る。
  2. (1)の茄子の果肉側に薄く塩を振り、5分ほどおいて出てきた水気を拭き取る。
  3. 鍋にAを合わせて火にかけ、沸いたら火を止めてかつお節を加える。
    1~2分おいてこしたら、砂糖・酢を加えて粗熱を取る。
  4. 180℃の揚げ油に茄子の皮目を下にして入れ、ときどき上下を返しながら火が通るまで揚げ、熱いうちに(3)に浸ける。
    いんげんも揚げ、(3)に浸ける。
  5. 30分~ひと晩浸け、器に盛ってお好みで薬味を添えていただく。

 <ポイント>

  • 今回は酢を加えましたが、酢を入れない場合は、出汁を1・1/4カップにして作ってください。
  • 唐辛子を加えると、ピリッとした南蛮漬けになります。
  • 生の玉ねぎを薄くスライスして加えてもおいしいですよ。

いかがでしたか。
夏を過ぎたら枝の選定や根切りなどをすると、秋茄子の収穫も可能です。
興味がある方はぜひやってみてください。
栽培は始める時期が決まっていたりして、思い立ったらすぐに作って収穫・・・とはいきませんが、いろいろな発見があって楽しいですし、お子さんの食育活動としても取り入れやすいので、ぜひやってみてください。

Text by さゆり/食育インストラクター