風邪のこと、誤解していませんか?

大昔は風邪の神様がいると信じられていたとか。
人が弱っているところにつけこんで病をもたらす疫病神として絵に描かれていたり、落語の演目に登場することもあったそうです。
今と違って原因が分からず治療法も確立されていなかった時代には、生死をも分ける深刻な病気で、大流行するとお祓いが行われていたようですよ。

【風邪の神の名残りかも!?】

例えば、自分や家族などが呼吸器系の症状、せきや鼻水、くしゃみなどが出たり発熱をした時、お腹が痛くなったり気持ち悪くなる、下痢をするなど、いわゆる「風邪」の症状のいずれかが出ると「風邪ひいたみたい」と思いますよね。
これらが全て一つの原因で起きたとすれば「風邪菌を退治しよう」、昔でいう「風邪の神を追い払おう」となるでしょう。
ところが、医学が発展した現代では原因がそれぞれ違うものから起きると分かっているため、「風邪菌」という特定のものは存在せず、病名が「風邪です」とはならないのです。
病院へ行くと「いわゆる風邪ですね」と診断されるのは、そのためです。

【風邪の原因は?】

「いわゆる風邪」は微生物に感染して起こるもので、微生物とは病原菌やウイルスを指し、なかでもウイルス感染によるものが主だと分かってきています。
感染したウイルスの型により少しずつ症状が異なり、人にうつる可能性があるだけでなく、まれに髄膜炎や肝炎など重篤な症状を引き起こす事もあります。
このようなことを考えると、昔から「風邪は万病のもと」と言われていたのは、現代でも間違ってはいないようです。
さらに高度な技術のおかげで「お腹の風邪」の中には、ノロウイルスのように胃腸に症状がでるウイルスや、細菌感染による、いわゆる「傷んだ食品を食べた」ことが原因のケースの時があるというのも分かってきています。


【対策はどうすればいい?】

そもそも症状が出ないようにするためには、抵抗力を高める、つまり免疫力をアップさせることが大切で、さらに手洗いうがいをして体内に入らないようにする努力も必要です。
日ごろからバランスのよい食事と規則正しい生活を送り、適度な運動をすることが重要ですが、忙しくてこのような生活ができない時が続き免疫力が下がり症状が出る方も多いでしょう。
「いわゆる風邪」にかかってしまったら、まずは病院で原因を解明してもらい、改善に適した対策を取ることが治療の第一歩です。
万一、症状が出たら自己判断はせず、早めに対処していきましょう。

Text by ゆず/食育インストラクター