幼児食体験記~小さな子どもでも食べやすい肉の調理~

離乳食期・幼児食期を通して苦戦した事のひとつに肉料理の仕方がありました。
今回は肉の調理をするにあたって、工夫した事をご紹介します。

【脂身の少ない部位を選ぶ】

ひと口に肉といっても、牛肉・豚肉・鶏肉と様々な種類・部位がありますね。
消化機能が未熟な乳幼児期は脂身の少ない肉を選ぶのが基本
代表的な部位としては牛や豚のモモ肉やヒレ肉、鶏のムネ肉やササミなどが挙げられます。


【少しの工夫で食べやすく】

脂身の少ない部位はかたくなりやすく、パサつきやすい部位でもあります。
大人にとってはなんてことない肉でも、小さな子どもにとっては噛み切れない事も多いですね。
下記にまとめたものは私が実践して、子どもが無理なく食べられていたなと実感した方法ですので、参考にしてみて下さい。

☆肉の繊維に対して直角に切る
幼児食期の子どもは奥歯が生えていても噛み切る・噛み砕くといった作業がまだまだ難しい時期です。
繊維に沿って切ってしまうと、加熱によってかたくなった肉を噛み切るのは一苦労ですので、繊維に対して直角に切ると食べやすくなります
また、厚みのある肉は表面に細かく包丁を入れてあげるとより食べやすいですね。
鶏の場合、皮を外す事でカロリーを抑え、噛み切りやすくなります。
鶏モモ肉は足の先端に筋がたくさん残っていますので、子どもに使用する時は上の方を使ってあげると比較的食べやすいです。
薄切り肉を購入する際も、繊維と平行に切られている肉は短く切っても食べにくい事があるので、繊維を断ち切ってあるものを選びましょう。
(薄切り肉の端から端まで線をかいたように見える肉は繊維に平行に切られています。)

☆マヨネーズを揉み込む
マヨネーズの原料は主に卵・酢・油です。
マヨネーズに含まれる酢がたんぱく質を柔らかくし、乳化した油分で肉の表面を包み込む事で、パサつきを抑え、しっとりとした仕上がりにしてくれます。
また、コクも加わるので、ササミやむね肉といった淡泊な味の肉におススメです。
※乳化とは水分と油分が混ざり合った状態の事をいいます。
マヨネーズは酢(水分)と油(油分)を卵に含まれる成分が間に入る事で乳化させた食品です。

☆下茹でしてから使う
炒め物などで牛肉や豚肉のスライスを使う場合、下茹ですると、肉を柔らかく保つ事が出来ます。
ここでのポイントは湯を沸騰させない事
肉のたんぱく質は65℃前後で凝固し始めるため、高い温度帯で加熱を続けると、肉の繊維が締まってかたくなると同時に、水分(肉汁)が外に出てしまいます。
沸騰直前の湯でしゃぶしゃぶのように火を通す事で、加熱し過ぎを防ぎ、余分な脂や臭みも軽減出来ます。
また、肉は長いまま下茹でし、後から切る事で、衛生的で作業も楽になります。
キッチンバサミを使うと、まな板や包丁を用意しなくても良いのでより簡単です。
肉を加える時は、味を付ける前(仕上げ直前)に入れると良いですよ。

☆魔法の液につける
「魔法の液」と書きましたが、水に塩・砂糖(塩のみの場合もある)+お好みで香草などを入れた「ブライニング」と呼ばれる液体をつくり、肉を漬け込む技法です。
肉を加熱すると、15~20%近い水分が出ていくと言われています。
その時出る水分を補う目的で液体に漬けますが、塩・砂糖を入れると、たんぱく質の保水力を上げ、下味も付くので、一石二鳥というわけです。
濃度は水に対して3~5%の塩・砂糖を入れる場合が多いようですが、小さい子ども向けにもっと少ない量でやってもジューシーに出来ました。
日常的に分量を細かく計って作るのは大変だと思います。
私は肉の下味をつける時に、普段は塩・こしょうの部分を塩・砂糖・水(それぞれ量は適宜)にして、よくもみ込むといったやり方にしています。
水加減は揉み込んだ時に全て肉に入る位。
ブライニング液は塊肉を漬けるのが本来のやり方ですので、応用のような感じです。
(ちなみに、ブライニング液は魚にも使えます。)
漬け込む場合は、焼く前に表面の水分を拭き取るときれいに焼けます。

いかがでしたか。
私も日々試行錯誤しながらおチビが完食してくれるメニューを模索中です。
また何か実践してみておすすめの方法があったらご紹介します。

Text by さゆり/食育インストラクター