今が旬の鯛と桜鯛の秘密に迫る!

春先になると、冬とはまた違った魚が市場に並ぶようになります。
どれも甲乙つけがたい魅力のある魚ですが、今回はその中から桜鯛についてのお話です。

【桜鯛ってどんな鯛?】

…結論から申し上げると、桜鯛という種類の鯛はいません!
(とてもややこしいのですが、鯛の仲間にはいないだけでハタ科にはサクラダイという名の魚がいます。食用で見かけることはほとんどありませんが)
では、現在桜鯛と呼ばれている鯛はいったい何者なのか?と申しますと…普通のマダイなのです。
なぜ普通のマダイと同じものが、桜鯛と呼ばれているのでしょう?それは、産卵期を迎える直前の春先のマダイのメスがピンク色に色づくことが関係します。
諸説あるようですがその色合いが春の桜の開花を連想させるため、この時期のマダイを桜鯛と呼ぶようになったのだそうです。
特に天然ものの鯛は色の変わり方が顕著で、鮮やかなピンク色に染まったマダイは、一見するととても美味しそうですが……?


【春の訪れを告げる、めで「たい」魚】

人間は色味が鮮やかなものの方がより美味しそうに感じる傾向にあるそうです。
そのため、美しいピンク色の桜鯛を見て「新鮮で美味しそう!」という思いを抱く方は多いのですが……実は桜鯛はマダイの旬とは言い難い存在なのです。
マダイの旬がいつ頃なのかは地域(海水温)によって変わってきますが、産卵期に卵をつくる前に、身体にエネルギーを蓄えている段階が一番美味しいと言われています。
ですが、桜鯛は産卵期を迎える直前のメスのマダイ。
身体の中のエネルギーは卵をつくることに大きく割かれている状態です。
子持ちと呼ばれる状態の魚は、卵は美味しくても身は痩せてパサパサになっていることが珍しくありませんよね?
ですが、桜鯛という呼び名に、マイナスイメージを持つ方は少ないかと思います。
また、店舗によっては「桜鯛入荷!」と大々的に宣伝する場合もあります。
これは鯛という魚の持つ歴史に関わりがあります。
鯛はめで「たい」魚として、日本の正月や祝い事の席に欠かせない魚です。
特にお祝い事の席では尾頭付き…1尾まるごと調理することが一般的です。
縁起物にくすみや傷があってはせっかくのお祝いも台無しになってしまうため、見た目の美しさが重要な要素の1つ。
つまり、桜鯛は味よりもその色合いに大きな価値を見出された存在なのですね。

桜鯛はマダイの一番美味しい時、ではなくとも、そこは「腐っても鯛」!
クセのない上品な味は健在です。
脂が落ちているので、その分エネルギーも控えめと、ダイエット中の女性には嬉しい魚です。
調理法は普通のマダイと同じく何にでも合うのですが、やはり蒸し物やしゃぶしゃぶといった、皮目の色合いを楽しめる食べ方でお召し上がりになるのがおススメですよ。

Text by ろい/食育インストラクター