胃の痛みをいつものことだと軽く考えてませんか?

風邪の症状の一つとして胃が痛くなった経験はありませんか?
私たちは身近な病気でお腹が痛くなることを経験しているので、軽い痛みだと「すぐ治るかな」とそのままにしておく人も少なくありません。
「痛み」は不調を訴える体からのシグナルです。
今回は胃の周辺の痛みの原因についてみていきましょう。

【胃の役割は?】

胃は食べたものを小腸へ送るまでの間、一時的に留めておく働きがあります。
胃の中には1日に2~3リットルの塩酸や酵素などを含んだ胃液が分泌され、留めておく間に栄養を吸収しやすいよう液状にしています。
このとき、塩酸などによって胃が分解されないのは、胃の内部が粘膜と粘液で守られているためです。
このバランスが崩れると胃の痛みが起こることがあります。

【胃の痛みの原因は】

一番に思い浮かぶ原因はストレスや暴飲暴食という方がいらっしゃるのではないでしょうか。
こういったことがなぜ起こるかというと、過剰なストレスから体内のバランスがくずれ、胃液の過剰分泌や胃を保護する成分の分泌不足などが起こり、胃壁が守られず炎症したり潰瘍ができて痛みが出てしまうからです。
このほか、ピロリ菌に感染していると胃の不調を感じることが多いようです。
ピロリ菌の除去を行うと、胃潰瘍や胃がんのリスクが減るという報告がされています。
また、痛みの強さは様々ですが、十二指腸潰瘍や胆石症、アニサキス感染が原因になることもありますので、放置せず、すぐに病院で診てもらいましょう。
なお、アニサキス感染というのは、アニサキスという線虫の一種がサバやタラ、イカなどの魚介にいて、それを生きたまま食べてしまった場合、感染して5~6時間後に猛烈な痛みを発症します。
「おなかの風邪」ともいわれる胃腸炎は、ひどい場合は激しい腹痛のほか、熱が出ることがあります。
子どもの場合、発熱や激しい腹痛、下痢などで体液が失われ、脱水症状が生じることがあるため注意が必要です。


【年代によっても注意したいポイントが違います】

高齢者の腹痛は若年者に比べて起こりにくく、ゆっくり進行する傾向だと言われています。
だから安心だというわけではなく、食道などの収縮機能が低下したり、抵抗力が弱まり胃潰瘍になることが増えてくると言われています。
乳幼児期、特に「赤ちゃん」は、うまく話ができないのと、風邪をひいても吐くなど胃に影響があることが多いため、腹痛の原因の特定が難しいと言われます。
激しく泣いているときなど、速やかに医療機関を受診しましょう。
小学生くらいで気になるのは学校や塾へ行く時間になると、おなかが痛くなる子どもです。
何度も繰り返すのが特徴で、不安や人間関係のストレスが原因の心理的な腹痛の可能性があります。
しかし、食道炎や潰瘍などの病気が原因となっている場合もあるため、注意深く対応することが大切です。

【心がけたいこと】

なるべく胃の痛くなる原因から逃れたいのが心情ですが、なかなか難しい場合もあります。
そこで、せめて胃に負担がかかりにくい生活を心掛けましょう。
まずはよく噛んで食べる習慣を身につけること、唐辛子を多量に食べたり極端に熱いものや冷たいもの食べるなどの刺激の強い食物は避け、胃を刺激するアルコールやタバコも控えめにしましょう。
また、生活習慣を見直すことも大切です。
規則正しく食事をしていると、消化液の分泌も規則正しくなるため、胃の負担が軽くなります。
それでも胃の状態が悪くなったら、かかりつけ医に診てもらい、脂質や食物繊維が多いものは避け、消化のよいやわらかい食べ物を選びましょう。
また、胃壁や粘膜の材料となるたんぱく質や修復などに役立つビタミンA・C・E・Uを摂りましょう。
最初は習慣化しにくいことも、毎日少しずつ続けて快適な毎日にしたいものです。

Text by ゆず/食育インストラクター

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