皮まで食べられる「新じゃが」を味わおう!

じゃがいもは保存が効き通年店頭に置かれている野菜ですが、「新じゃが」は春先の僅かな期間だけ出回る『旬』を感じさせる食材です。
今回は丸ごと食べたい「新じゃが」の魅力に迫ります!

【新じゃがってどんな野菜?】

新じゃがは、冬に植えたじゃがいもを通常の収穫期である秋よりも早く収穫し、貯蔵せず3~6月頃にかけて出荷したものです。
一口大の小さな丸形で、表面はツルッとなめらか。
皮が薄くて柔らかく、皮自体に香りがあるので、剥かずに調理できるのが魅力です。
また、水分が多くでんぷん質が少ないので、ホクホク感は控えめで、ポテトサラダやコロッケなどマッシュ状にする料理にはあまり適していません。

【皮ごと食べられるから、栄養を逃さず摂れる】

新じゃがに含まれている注目すべき栄養素を一部ご紹介します。

●カリウム
「カリウムの王様」と言われるほど豊富に含まれています。
カリウムは体内の余分なナトリウムを排出し、高血圧やむくみ予防に働きます。

●ビタミンC
一般的に熱に弱いとされるビタミンCですが、じゃがいものビタミンCはでんぷん質に守られているため、加熱調理をしても損失が少ないのが特徴です。
ビタミンCはコラーゲンの生成を助け、肌にハリ・ツヤを与えます。
さらにシミのもとであるメラニンの生成を防ぐ働きがあるので、美肌作りには欠かせない栄養素です。
また、ビタミンCには鉄の吸収を高める働きがあるため、カツオや青菜など鉄を多く含む食材と一緒に摂る事で、貧血予防に働きます。

●パントテン酸
脂質や糖質の代謝を助けてエネルギーにする働きがあり、豚肉などの肉類と食べ合わせると、体を疲れにくくし、スタミナアップに繋がります。

カリウム・ビタミンCは体内で生成できず、そのうえ水に溶けやすく尿として排出されやすいので、積極的に摂取しましょう。
また、皮にはポリフェノールの一種であるクロロゲン酸が含まれており、生活習慣病の予防に役立ちます。

※丸ごと食べられると言っても1つ注意しなければいけない事が…。
じゃがいもの芽や青い部分にはソラニンという有害物質が含まれており、誤って口にしてしまうと、吐き気や下痢、めまいなどの症状を引き起こす恐れがあります。
調理の際にはしっかり取り除きましょう!


【寒さと光に弱いんです!(+o+)】

皆さんはじゃがいもをどのように保存していますか?
実はじゃがいもは冷蔵保存には不向きな野菜です。
冷蔵保存すると、でんぷんの一部が糖に変わります。
これを揚げるなどの高温加熱をすると焦げやすく、見た目も味も損なわれてしまいます。
また、糖とアミノ酸が反応して、発がん性を持つと考えられているアクリルアミドという化学物質が発生します。
フライドポテトなどを家庭で作るときは、冷蔵保存していないジャガイモを使うようにし、加熱する温度や時間に注意して焦がさないようにしましょう。
(高温加熱した場合のみアクリルアミドが発生するため、冷蔵保存したものを煮たり蒸したりしても発生はしないと考えられています。)

【保存する上でのポイント】

①光の当たる場所は避けましょう
光を浴びて光合成をすることで、緑化・萌芽(芽を出すこと)が促されます。
ともに下痢や腹痛などを引き起こす恐れがあるソラニンを増加させる働きがあるので、保存する際は、蛍光灯や日の光が当たる場所は避け、暗くて風通しのいい場所を選ぶようにしましょう。

②土はよくはらいましょう
湿気が多いと腐りやすくなってしまうので、湿気の多い環境での保存には向きません。
また土付きだと湿気を呼び込んでしまうので保存する際はよく土をはらって保存しましょう。

③リンゴと一緒に保存しましょう
リンゴといっしょに保存すると長持ちします。
リンゴから出るエチレンガスには、じゃがいもの発芽を抑制してくれる働きがあるため、一緒に保存するのがおすすめです。

④常温、もしくは冷蔵庫の野菜室がおすすめ!
7℃~15℃くらいの常温下で保存することができます。
ダンボールや紙袋などに入れる、または新聞紙などで包んで保存しましょう。
冷蔵庫の庫内は0~5℃程度ですが、冷蔵庫の野菜室は5~10℃ほどと少し高めの環境なので、おすすめです。
乾燥や冷え過ぎを防止するために、新聞紙で包みビニール袋に入れて、軽く口を閉めて保存しましょう。

皆さんも店頭でお見かけの際は、是非味わってみてはいかがでしょうか?

Text by ろい/食育インストラクター